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モンキーなのか、ボノボなのか 『ガンズ&ゴールド』

sonofagun_posterこれはなかなかの拾い物!予想外の秀作でした。
囚人映画はやっぱり好き。男臭いクライム・ムービーだけど、実は無駄がなく、台詞がすごくカッコイイんですね。予想していたよりずっと出来の良い作品でした。大満足!

オーストラリア映画って、どういう特徴があるのかイマイチ良く分からんなあと、この間『荒野の千鳥足』を見て思った。これがなかなかの怪作で、西部劇好きにはたまらん作品だった。あの乾いた土に、むせ返すような埃っぽさ、感情を排除したようなザラザラした手ざわりの男達…。
オーストラリアで好きな映画はと考えてみると、すぐに思いつくのは『プリシラ』に『マッドマックス』。今回の『荒野の千鳥足』もそれに加えたくなった。あらこうして見るとなかなか素晴らしいじゃない、オーストラリア映画って。土の乾いたザラつきが人間を浮き立たせる作品が効いてくる。

こちらのオーストラリア作品もまた、地味でありながら実は傑作でした。ユアン・マクレガーが味のある悪役をやっていて、なかなかに魅力的な演技。でも彼は脇役であって、この作品の主役は新人君、ブレントン・スウェイツ君。この彼が素晴らしかった!ピュアッピュアな瞳で、いかにも人を信じそうな、まだ世間の波に晒されていないけれど、どこか信念が固そうな感じ。

牢屋で、JR(ブレントン・スウェイツ)はチェスが得意ということで、リンチ(ユアン・マクレガー)と親しくなるキッカケを作るのだけれど、その後釈放された後の最初の仕事でも、チェスをやっているマフィアにちょっとしたアドバイスを交わす。このシーンも秀逸なんですよね。チェスというゲーム自体が、人生を思わせるものであるし、思わず『第七の封印』を思わせるような、言わば“運命をも弄ぶ、今後の未来と命を賭けたゲーム”。これに得意であるJRは、まだ年こそ若く未熟であるものの、並外れた頭の切れと度胸があり、今後の彼の打つ“手”がどんなものであるかが楽しみにさせるから。もしかしたら彼は、純粋さを持ちながらも悪の世界を上手く乗り切っていけるのではないか、と期待させる。こうした危うさを上手に描けているために、この作品をより面白いものにしているんですよね。自殺した同じ収監部屋の若い男を見て、リンチ(ユアン)の言うアドバイス、「手を打つ時は、遊びでやらずに死に物狂いの全力で打つんだ」も良く効いている。

マフィアのボスに向かって、JRがチェスのアドバイスをする時、「犠牲の駒(sacrified rum)」と言う台詞があるんですよね。この緊張感!だってつまり、「JRこそ“犠牲の駒(sacrified rum)なんじゃないの?」っていう疑問ですよ、リンチ(ユアン)にとっての。その後も「作戦をする際に先頭に立ち、目隠しになるモンキー」という台詞に重なっていく。そしてそのこの台詞は更に、後に出てくる“モンキーとボノボ”という台詞にも変わっていくんですよね。憎しみ合って生きるモンキー側の人間と、愛を信じるボノボ側の人間という考え方。自分は一体モンキーなのか、ボノボなのか、考えてしまうところも素晴らしかったと思う。『猿の惑星 新世紀ジェネシス』を思い出すような言葉ですよね。

こうして考えてみると、後から後から「あの台詞はカッコ良かったなあ」というものが案外多いことに気づくんですよね、この作品。台詞も味があって、人間や人生そのものを描くという“洞察力”を感じさせる、いい言葉が多いんですよ。こういう深みを増すための装置が、いくつもあって、物語のエッジを深くしていく。結果、良い映画を形作っていくんだなあと、つくづく感じ入ってしまった。
この監督が脚本も書いているんですよね。この監督の作品は、今後も追いかけたい。絶対実力ありますよ、この人。

P.S…私の好きな水中ファック&飛行機内ファックも出てくるし、もー言うことなし!

’13年、オーストリリア
原題:Son of a Gun
監督・脚本:ジュリアス・エイバリー
製作:ティモシー・ホワイト
製作総指揮:アーロン・L・ギルバート
撮影:ナイジェル・ブラック
音楽:ジェド・カーゼル
キャスト:ユアン・マクレガー(ブレンダン・リンチ)、ブレントン・スウェイツ(JR)、アリシア・ビカンダー(ターシャ)、ジャセック・コーマン、マット・ネイブル、トム・バッジ

 

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コメント(7件)

  1. とらねこさん☆
    あらら、とらねこさん水中と飛行機のファックがお好きなの?(笑)
    ほんと、拾い物の映画だったねー
    名台詞の数々は完璧には覚えてないのだけど、作品のキモになっていて見事だったわ。
    主役の彼が色々な表情を見せれくれて、実に魅力的だったね。

  2. ノルウェーまだーむさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    はいはい。水中、海辺、飛行機内ファックのシーンのある映画を集めてます。
    こちらは2つもクリアしちゃって!もう優秀すぎ。嬉しくなっちゃいます。
    (最近ですと、『エル・ニーニョ』も海辺ファックのシーンがあったなー。)

    名台詞は、台詞自体がカッコ良くて含蓄があるばかりでなく、物語の展開に沿っていて、シークエンスを深めていく役割も果たしていました。
    本当によく練られた脚本ですよ!

  3. ガンズ&ゴールド

    オーストラリア、バース。 その日刑務所に収監された19歳のJR(ブレントン・スウェイツ)は、初犯で刑期も短く、模範囚なら半年で出られるはずだった。

  4. >ピュアッピュアな瞳で、いかにも人を信じそうな、まだ世間の波に晒されていないけれど、どこか信念が固そうな感じ。
    そうそう、JRのキャラクターがしっかり作られていて、一見薄っぺらくて“ありがちなキャラ”に見えるのに、意外と厚みがありましたよね!
    ブレントン・スウェイツの印象が、「マレフィセント」の時とは一変しました。

    >この監督が脚本も書いているんですよね。この監督の作品は、今後も追いかけたい。
    同じく!!
    長編2作目が楽しみです。

  5. 哀生龍さんへ

    おはようございます〜♪コメントありがとうございました!

    ほんと、JRのキャラがしっかりしてましたね。犯罪行為に踏み入れながらも、自分らしさと真っ直ぐさを失わないキャラクター。危なっかしくて、目が離せなくなってしまいました。
    彼の役柄の描き方が良かったおかげで、よりストーリーに入り込めるんですよね。
    よくある話なのにとても魅力的に感じてしまったのが不思議ー!

    哀生龍さんもこの監督を追いかけたくなったなんて嬉しいな♪
    ユアンも、改めて演技が上手いと感じましたし、魅力を再発見出来た感じです!
    ブレントン・スウェイツ君は、『マレフィセント』に出ていたのをすっかり忘れていました…というか、同一人物とは気づかなかったです!すごいすごい。
    こっちの作品では魅力的でしたよね〜!

  6. 水中ファックは水の侵入に注意が必要なの?(過激なレビューにドキッとしましたよ・笑)
    これは本当に拾いものでしたね。

    オーストラリア産は全般に質が高いと勝手に思っているんです。
    どこか土の匂いがしてくる心地良さがありますな~(笑)

  7. itukaさんへ

    こんばんは〜♪お返事遅くなってごめんなさい!
    北海道に旅行に行っていたのと、帰って仕事があって遅れてしまいました。

    >水中ファック
    どうでしょう。もし良かったらチャレンジしてみて、結果をご報告く(ry
    …なーんて(笑)。
    (でも、水中は砂の上より難しくない…←小声)

    オージー映画って、どこか「俺達ハリウッドじゃねえ」みたいなプライドがあっていいですよね〜
    土埃と誇りですな。きゃーカッコエエ♪




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