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今年一番チャーミングな映画 『フランシス・ハ』

poster2等身大の彼女にグイグイ惹かれちゃう。
“ありのままの自分”がキーワードな今年、エルサよりずっと“素のまま“なフランシス(グレタ・ガーウィグ)に、軍配を上げたくなる。
疾走するシーンの軽快さには、思わずドキドキするほどときめいてしまった。一映画好きとして。
それから、彼女のクルクル変わる表情も、本当に親しみやすくて温かくて。思わず友達になりたくなるキャラクターだし、楽しくなってくる。彼女と話したくなってくる。自分にも似ているように感じたりして。

グレタ・ガーウィグはこの作品において、ノア・バームバック監督と脚本を共同執筆してる。初期の段階からコラボレーションでやろうとのことだったとかで、彼女がダンサー設定なのも彼女がチョイスしたからだとか。
 監督がインタビューの中でウッディ・アレンの名を出しているように、確かにこの物語は、NYを舞台にした会話劇中心の物語。にも関わらず、少しもアレンテイストに似ていないように感じる理由はいくつかある。1つには彼女が極めて感覚的な人であり、感情を放出しながら生きている、この眩しさかも!?日々の生活の中、“魂のもがき”をし続けながらも、どこかのほほんとした彼女の個性を強烈に感じる。言わば、彼女のキャラクターが優っているからカナ。
「これまでの自分の幾分かをシュレッダーにかけ、少しづつ新しい自分になる。そんな必要にかられ、そのための努力を余儀なくされる。そんな年齢は幾つになったってやってくるもの。」という、グレタ・ガーウィグ自身による言葉はさすがの説得力。

「Undatable」。非モテ非モテと繰り返されるこの言葉、一体何度この映画の中で出てきただろ。少なくとも10回以上は言ってたっけ。この言葉を聞いて、思わず懐かしくなってしまった。私もちょうど彼女ぐらいの頃、友人とこんなやり取りをしてたなあ、なんて。同性の友人ではなく異性の友人だったけれど…マークという名のニュージーランド人。彼らと週に3回は一緒に遊びに行くという時期が、ほぼ1年以上に渡ってずっと続いていたっけ。彼のことを思い出したのは、周りと心置きなくいろんな話が出来る、フランシスに似ているからかも。

フランシスにとって、自分の一部みたいにいろんな話を出来るソフィー(ミッキー・サムナー)が何より大事。まさかと思ったけれど、「自分の理想の瞬間は、自分と同じ世界を共有する相手と、パーティー会場で目が合って…」などと話す。まだ見ぬ理想の相手について語っていたと思うのだけれど、“とりあえずは彼女にとって、その理想の相手はソフィー”というオチ。…で、良かったのかしら!?気持ちは分かるのだけれど、女同士の友情って、男次第で思わぬほど変わってしまうもの。女の友情に依存するには、27歳は年を食い過ぎなんじゃないか…。そう思ってしまった私は、フランシスほどピュアじゃないから!?フランシスも今回その一端を味わったと思うけれど。
 でも、彼女は忘れたくないのよね。ソフィーと仲良しこよしを共有していた、その時間を。これから少しづつ大人の階段を登るにしても、“彼女と一緒だった自分”が核にあって、しっかりと自分を曲げずに生きていくんだと思う。真っ直ぐで等身大の彼女のまま。

彼女を非モテ扱いしたベンジー(マイケル・ゼゲン)も、「当時の自分こそ、非モテだった」と認めたのは、等身大の自分で居られるフランシスの強さ、たくましさに気付き、改めて彼女に惹かれたからだね。フランシスって、時が経っていつの間にか彼女の良さを気づいてもらえる。ああ、素のままの人って、まさにそんなタイプ多いよね!







’12年、アメリカ
原題:Frances Ha
監督:ノア・バームバック
製作:ノア・バームバック、スコット・ルーディン他
製作総指揮:フェルナンド・ロウレイロ、ロウレンソ・サンターナ
脚本:ノア・バームバック、グレタ・ガーウィグ
撮影:サム・レビ
音楽監修:ジョージ・ドレイコリアス
キャスト:グレタ・ガーウィグ(フランシス)、ミッキー・サムナー(ソフィー)、アダム・ドライバー(レヴ)、マイケル・ゼゲン(ベンジー)、パトリック・ヒューシンガー他



 

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コメント(5件)

  1. 『フランシス・ハ』 (2012) / アメリカ



    原題: Frances Ha
    監督: ノア・バームバック
    出演: グレタ・ガーウィグ 、ミッキー・サムナー 、アダム・ドライバー 、マイケル・ゼゲン 、パトリック・ヒューシンガー
    鑑賞…

  2. なんだかねえ、ここ最近さめざめと泣いた作品ってなかったんだけど、というかこれで泣くとは思わなかったよ。
    最後の「ハ」のとこですよねー。やられました。

  3. rose_chocolatさんへ

    こちらにもありがとうございます♪
    うん、あの最後のハのところで泣けましたよね〜。
    「ハ」は彼女が自立をしたってことを表現してたんですよね。

  4. フランシスの自然体な部分はホント素のままでしたね。
    一時期“ありのまま”ってフレーズがアニメから流行りましたが
    これ実行するには、可なりの勇気が必要ですよね。
    コンプレックスをさらけ出す勇気、でもフランシスは
    それすら気が付いていないほどピュアなんだろうか(笑)

    こういう作品のレビューってマジ難しいと思うワタシですが
    とらねこさんの記事、読み易いしかっこいいよ!

  5. itukaさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    フランシスは、コンプレックスをさらけ出しては居るんですけど、変に自分を作ったりしないところが彼女の魅力でしたNe。

    読み易いしかっこいいって嬉しい一言です♪ありがとうございます!
    本当は、「モラトリアムだった女性が成長する物語で…」とか格好良く説明すべきなんですけど、ついつい“自分の言葉”で言ってみたくなってしまったのは、
    フランシスが等身大そのままの人だからかなあ〜。
    すごく語りたくなるような物語でした^^*




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