rss twitter fb hatena gplus

*

『ハングオーバー』よりディープな二日酔い映画!? 『荒野の千鳥足』

poster2ぶっ壊れた男による、ぶっ壊れた映画。
そして近年稀にみる、“素晴らしき邦題”のつけられて作品でもある。
それから、日本のチラシアートワークの素晴らしさと来たら!
’71年の映画を、今頃掘り起こすだけのことはあるんでしょうね!?
向こうのこの映画のチラシなんて、こんなんですよ(笑)↓
f027535b
ちょうど先日見た、『VHSを巻き戻せ!』という映画の中で
アメリカでVシネ映画がたくさん作られたけれど(正確には“Vシネ”という呼称は登録商標らしいけれど)、「ビデオを売り出すにはいかに表のアートワークが素晴らしいかに限る」、なんて言う話が出ていたけれど
この作品のタイトル、アートワークはまさに完璧!
 ついでながら、「初日ビール飲み放題!」を敢行した配給会社の戦略にまんまと乗っかった私は、初日に行くつもり満々でした。
ところが残念ながら、2時間前に満席御礼。残念ながら初日のイベントには顔を出せずでした。
うう、前もって買って置かなかったのが悔やまれる…。
(シネマカリテさんは、当日券を2日前に売るのだけれど、オンライン予約等が一切出来ないので、わざわざ劇場まで行かなければならないのだ。)

いかにもかさついた砂漠の中に住む、しがない教師の男は、
夏休みが終わるとすぐ、全財産を持って賭博場へ。
あっという間にスられ、夏休みの計画はオジャン。
ところがオーストラリアの辺境の小さな町ティプンダでは、すかんぴんのまま誰もがヘベレケな毎日を過ごしている。
その日暮らしの医師に拾われ、朝「水をくれ」と声をかけてみれば、
「この町には水なんか無いよ、ビールでも飲め」と、蝿のたかる薄汚い廃屋で仕方なく迎い酒。
「飯探しに行こう」と連れられると、そこは荒野に住むカンガルーの群れの中だった…。
(このカンガルー猟のシーンが結構残酷なのだけれど、いかにも昔の映画ならではの鬼畜さ。私的にはガッツポーズ!)

私が何が嫌いって、アルコール中毒をことさら罪悪のように描くアメリカ映画で、
例えば『フライト』なんかは良く出来た映画だったのだけれど、アル中の描き方が大っ嫌いだったので、完成度は高いと思うもののあまり好きではない。
アメリカのアル中に対する概念て、ドラッグ中毒とどこか一緒くたにされているんですね。
実際、仕事中もアルコールが手放せないレベルのディープなアル中は困り者だけれど、そこまで行かず普通に楽しむ分には、アルコールは、日々の労働の中で唯一憂さを晴らす、社会的家畜のための飲み物なんですよ。必要悪なんです。

主人公はビールに溺れる自分とその人生を嫌うかのように、ティプンダの人の親切(「俺のビールを飲んでけよ」)をも避けようとするのだけれど
悪夢を見て目が覚めれば、そこも変わりない薄汚い地獄。
悪夢の続きでしか無いんですよね。

ようやく夏休みを終えて、元の現実に戻るラストのあの感じ…、
GWやお正月休みを終えたサラリーマンの気持ちと一緒なんですよね。
休みのツケを支払って“現実社会”に戻ってみると、浦島太郎だって何となくホッとする…。



’71年、オーストラリア
監督:テッド・コッチェフ
製作:ジョージ・ウィロービー
製作総指揮:ハワード・G・バーンズ、ビル・ハーモン
原作:ケネス・クック
脚本:エバン・ジョーンズ
撮影:ブライアン・ウェスト
音楽:ジョン・スコット
キャスト:ドナルド・プレザンス(ドク)、ゲイリー・ボンド(ジョン・グラント)、チップス・ラファティ(ジョック)、シルビア・ケイ(ジャネット)、ジャック・トンプソン(ディック)、ピーター・ウィットル(ジョー)他


 

関連記事

『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義

80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む

『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの

一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む

美容師にハマりストーカーに変身する主婦・常盤貴子 『だれかの木琴』

お気に入りの美容師を探すのって、私にとってはちょっぴり大事なことだった...
記事を読む

『日本のいちばん長い日』で終戦記念日を迎えた

今年も新文芸坐にて、反戦映画祭に行ってきた。 3年連続。 個人的に、終...
記事を読む

856

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑