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イーストウッドが初のミュージカル 『ジャージー・ボーイズ』

poster2イーストウッド監督最新作!
果敢に色々な作品にチャレンジする、巨匠イーストウッドだけれど、何と最新作はミュージカルですか。何となく懐かしさの漂うテイストが逆に見事だった。暖かな色合いの映像は、古典的物語構造にのっとって、とても見やすい。物語展開がパッパとテンポ良く進む、早さを感じる部分がありながらも、描きべき葛藤や登場人物の心理描写をじっくりと炙り出していた。

キャストは、グループ4人中の3人がオリジナルの初回のミュージカル俳優さん達を使っているのね。フランキー役のジョン・ロイド・ヤングを初めとして、ボブ・ゴーディオ役のエリック・バーゲン、ニック役のマイケル・ロメンダまで一緒なんだな。
脚本家のマーシャル・ブリックマンは、ウッディ・アレンと良く仕事をしてきた古参で、『アニー・ホール』や『マンハッタン』等を始めとして、アレンと共に脚本執筆をしているのね。懐かしさを感じるのはしっかりした職人技が効いているからか。しかも脚本家の二人は、オリジナルのミュージカル版の台本を書いた人達でもあるという。さらには、実在人物によるプロデュース(フランク・ヴァリとボブ・ゴーディオ)だったりもする。フランク・ヴァリは余計な一言なんかも言ったようだけれど(今回の作品は音楽が少ない、なんて言ったらしい)。
長い時間軸を追いかける優れた脚本で、最近のハリウッド作品と較べ、一見すると「中だるみ」と思えるような後半の展開を、極めて丁寧に描いていた。主人公の複雑な心の機微が、ふわっと浮かび上がり観客と歩みを共にするラスト。見事だった。
クラシカルなタッチでありながら、新鮮さがどこかある。かつて何度も目にしたバンドの栄枯衰退、成長とその破滅…ではあるけれど、何かが目新しいような気がする。ちょうど『J・エドガー』がそうだったように、“イーストウッド効果”としか言えないような驚きと心地良さをもたらしていたなあと。

私はフォー・シーズンズは全く知らなくて、最後の曲『Can’t Take My Eyes Off You』で初めて、実在の出来事を元にしていたのか、と気づいてしまったほどでしたけど。基本的には皆どこかで聞いたことあるようなメロディで、耳障りが良さそう。
途中、ホテルのTVでイーストウッドが映るシーンがあった。モノクロの西部劇。イーストウッドのみがアップになるシーン。ちなみにこちら、イーストウッドに詳しい映画好き曰く、『ローハイド』だったそうです。一瞬のシーンで分かるなんてさすがだなあ。あと、こういう形で映画に出てくるのってイーストウッドには珍しいんじゃないか?と思ったら、やはり初めてのことだったのね。貴重!?

P.S…作品は大好きだったので、ケチをつける気は毛頭無いんですけれど、正直音楽が全く好みじゃありませんでした…。
ポップスが少しも好きじゃなくて、私…。聴いてると体が痒くなってくるんですよね〜。単に好みの問題なんですけど。

’14年、アメリカ
原題:Jersy Boys
監督:クリント・イーストウッド
製作:グレアム・キング、ロバート・ローレンツ他
製作総指揮:フランキー・ヴァリ、ボブ・ゴーディオ、ティム・ムーア他
脚本&ミュージカル版台本脚本:マーシャル・ブリックマン、リック・エリス
撮影:トム・スターン
作詞:ボブ・クルー
作曲:ボブ・ゴーディオ
キャスト:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ビンセント・ピアッツァ、クリストファー・ウォーケン

 

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コメント(10件)

  1. 『ジャージー・ボーイズ』 (2014) / アメリカ



    原題: Jersey Boys
    監督: クリント・イーストウッド
    出演: ジョン・ロイド・ヤング 、エリック・バーゲン 、マイケル・ロメンダ 、ビンセント・ピアッツァ 、クリストファー…

  2. これ、よかったなあ。
    あっさりとしてるんだけど、それでもちゃんとツボを外さないところがさすがのイーストウッドでした。
    塩梅って言葉があるけど、ちょうどいい塩梅の映画ってこんな感じなのかなと。

  3. rose_chocolatさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    なんか熟練の仕事という印象でした。
    まさにツボを押さえている仕事。素晴らしかった!
    これ、本国ではそうでもないのに、日本ではすごく評判が良くて
    聞こえてくる絶賛の声に嬉しい気持ちになるばかり。

  4. 映画:ジャージー・ボーイズ 今年一押しの音楽映画。まさかあの名曲の誕生秘話まであるとは…(涙)




    全く予備知識なしで観賞。
    元はミュージカルだし、どうせ架空のグループのストーリーなんだろうと高をくくっていた。

    ので、まず驚き!
    あのグループの話だったとは…


    ところが…

  5. 相変わらずハズサないイーストウッド「JERSEY BOYS」


    クリント・イーストウッドはハズしません
    何年か前に ブルース映画の特集みたいなんが組まれていて通っていたのですが
    その中にクリント・イーストウッドもんがあって
    なんでイー…

  6. 映画内映画のイーストウッドは
    同時代に自分はこの戦場で戦ってたんやのーとゆーのを
    照れくさそうにかましてくれたよーな気がしました
    この映画が今んとこ2014年の一等賞かなと思いました

  7. よしはらさんへ

    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。

    >同時代に自分はこの戦場で戦ってたんやのーとゆー

    あー、なるほど。ちょうどその頃イーストウッドも生きていた、時代考証的にありということですもんね!
    冗談めかしてOKしてしまったのだけれど、後からやめようと思ったらすでにサッサとスタッフが作ってしまったそうです。

    何やら、「Can’t take my eyes off you」の作った経緯は、娘が死んだ話より前だとか何だとかケチをつけている人がいるらしいのですが、そういうことで文句をつけるような映画ではないのにねー。なんて思ったり。

  8. >何と最新作はミュージカルですか
    イーストウッドがミュージカル映画を撮ったと知ったときは、もっともっとミュージカル(会話の途中からいきなり歌になったり踊ったりするタイプ)を想像してしまいました。
    この作品のように、ステージ・シーンを沢山盛り込んだ作品も、もちろん好きですが。

    >こういう形で映画に出てくるのってイーストウッドには珍しいんじゃないか?と思ったら
    イーストウッドって自分の作品にあんな形でカメオ出演する人? と、不思議に思ったところだったので、珍しいことだったと知ってスッキリ!

  9. ジャージー・ボーイズ

    1950年代、イタリア系移民が集まる貧しい街、ニュージャージー州ベルヴィル。 理髪店の見習い、16歳のフランキー・カステルッシオ(ジョン・ロイド・ヤング)は天性の歌声を…

  10. 哀生龍さんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    確かにこの作品て、いかにもミュージカルミュージカルしたものではなかったですよね。おっしゃるとおり、音楽のかかるシーンはステージ上であったりレコーディングであったりと、自然に音楽が流れ、とてもスムーズでした。
    こちら、ミュージカル嫌いな人にも楽しめそうですよね!

    イーストウッドのカメオでの、自分の出演作シーンて珍しいですよね。
    前の方のコメントで、「この時代俺はこんなことやってたんやで(照)」という意味じゃないか、と言ってる人が居て、あーなるほど!と膝を打ちました♪
    なんだかそう考えたら余計、この作品に対する愛がフツフツと湧いてきます!




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