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『ヘカテ』『デ・ジャ・ヴュ』『カンヌ映画通り[email protected]

ヘカテ

素敵素敵!もともと私は、男女の熱愛が壊れゆく様を描いた作品が好きなのだけれど、ダニエル・シュミットの手にかかると、ググッと心を掴まれてしまう。端正でありながら耽美的、現実を描きながらもどこの国の物語でもないような、ファンタジックな世界。

冒頭の出会いからして惹き込まれる。少し退屈なディナー風景の最中、窓から顔を出して夜風に身を任せる女。風に揺れるふわふわ漂う髪、けだるそうな話し方。あとは彼が女神に翻弄されて、手の内でコロコロと転がされ地獄行きになるだけ。ベルナール・ジロドーはなかなかのイケメンで、苦悩する様が似合うので眼福でございました。しかし彼の生きる時代は戦争が止まず、どんな身の振り方をしても所詮、同じ辛い現し世なのだから、こんな風に残酷な女神に身を焦がして、愛の虜になるのもそれはまた良き人生、なのかも。しかし、フランス大使は仕事楽勝すぎだろ。

「今何を考えてるの?」という台詞は誰もが交わしたことのある会話だと思うけれど、「女は何も考えてないのよ」ってすごいわ。言ってみたい。いつも「うーんとね、あのね、それでね…」なんて私は喋りすぎだな。自分の過去は断固として語らない、旦那の話もしない。あまり喋らない残酷な女神は完璧に私の好みであった。良し、これで行こう!ローレン・ハットンは、ハリウッド映画であんな魅力的な姿など見たことなかった。ダニエル・シュミットにかかると、どんな女も素敵に見える。私も夏はいつもスリップ姿なのだけれど、あれだな、勿体ぶった感じが足りなすぎる。がんばろう。

’82年、フランス、スイス
原題:Hecate
監督・製作:ダニエル・シュミット
脚本:パスカル・ジャルダン、ダニエル・シュミット
原作:ポール・モーラン
台詞:パスカル・ジャルダン
撮影:レナート・ベルタ
音楽:カルロス・ダレッシオ
キャスト:ベルナール・ジロドー(Julien Rochelle)、ローレン・ハットン(Clothilde)、ジャン・ブイーズ(Vaudable)、ジャン=ピエール・カルフォン(Massard)、ジュリエット・ブラシュ(Henry)

デ・ジャ・ヴュ

20081204015209ダニエル・シュミット作品の中で一番不思議なテイストの物語かもしれない。謎が謎を呼ぶ、ミステリータッチの作風で、現実と地続きで別の世界が広がっている。
ユングの言葉を借りるなら、人間の外面的な側面は“ペルソナ”である。人間は社会的な生き物であり、そうした仮面を被って日々生きている。シュミットの作品は、どれを見てもこうした“ペルソナ”をかなぐり捨てていく人物を描くことが多い。それは情熱的な恋によってであったり、自分の妄執そのものからであったり。人を熱中させる何物か。そうした境界線を越えた向こう側の世界にこそ、憧れ、焦燥を掻き立てられ、手を伸ばそうとする。その意味でこの作品は、もっともシュミットらしさの集結した一作と呼べるかもしれない。

前世の記憶を、現実の中に見る新聞記者。それらは次第に現実を蝕んでゆく。前世的な記憶が彼の現世を映し変えてしまう。かつての忘れられない恋人(キャロル・ブーケ)の記憶は、現実の恋人(クリスティーヌ・ボワッソン)の味気無さと比較しようもないほど濃厚だ。彼も其処に生きていた。17世紀の仮面舞踏会で、かつての恋人と再会するシーンはゾクゾクするほどだった。

’87年、スイス、フランス
原題:監督ダニエル・シュミット
脚本・原案:マルタン・シュテール、ダニエル・シュミット
製作:テレス・シェレール
撮影:レナート・ベルタ
音楽:ピノ・ドナジオ
キャスト:ビットリオ・メッツォジョルノ(イェナッチ)、ミシェル・ボワタ(クリストファー)、クリスティーヌ・ボワッソン(ニーナ)、ジャン・ブイーズ、キャロル・ブーケ、ラウール・ヒメネス他


カンヌ映画通り

146851_1 フェイク・ドキュメンタリー形式の、カンヌ映画祭に入り込もうとした素人の映画好きの物語。
登録カードを作るために別のカードを作らなければいけない…等始まって、偶然何とか入り込もうといろいろと画策する。
ニジンスキーの娘のドキュメンタリー、キーラ・ニジンスキーのインタビューは長々と映る。だがなかなか思うようにカンヌ映画祭内に入り込むことが出来ず、電話をしても受付入り口に行っても拉致があかない。ジャック・ニコルソンのファンらしく、一度遠目に彼のインタビューを見ることが出来たのだが、彼の出演した映画にはなかなか入り込めない。「ケラール・ラ・プロダクシオン・ド・ムッシュー・ニコルソン?」
フェイク・ドキュメンタリーの中に、チラと本物の昔の映画祭の様子が差し挟まれる。ブリジッド・バルドーにクラウディア・カルディナーレ、そして何と言ってもマリリン・モンロー!彼女がしゃなりしゃなりと歩く様の、何て魅力的なこと!ああーやっぱりマリリンは違うなあ。

’81年、スイス
原題:Notre Dame de la Croisette 1981
監督:ダニエル・シュミット
製作:オーギュスタ・フォルニ
撮影:レナート・ベルタ、ブノワ・ニクラン
キャスト:ビュル・オジエ、キーラ・ニジンスキー、
ボブ・ラフェルソン

 

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コメント(3件)

  1. 趣味の問題・・・オカネモチの考えることは・・

    映画「私家版」の原作を読んだあと
    思いついて、同監督ベルナール・ラップの
    「趣味の問題」を数年ぶりに観る。
    強烈に好きです!こういう類のはなし。
    まず・・・
    「趣味の問題 …

  2. シュミットに関しては当方、
    とらねこさんのように研究熱心ではありませんが「ヘカテ」はうれしいノックダウンを
    享受いたしましてね。^^
    若く美しかったベルナール・ジロドーも
    すきっ歯も妙に色っぽかった
    ローレン・ハットンも、ほんとよかった。映画
    全体がこれでもかのあの倦怠感がたまりません
    でした。単にジロドー関連で約9年前の苔むした
    記事、TBさせて頂きました。
    本文よりコメント欄のほうがもっぱら姦しい。(笑)

  3. vivajijiさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    『ヘカテ』良かったですよね〜!私も結構お気に入りです。
    アンリ・ジロドー、初めて見たんですが、この作品での翻弄されるイケメン役が似合ってて、雰囲気ばっちりでしたよね〜!
    そう言えば『ラッシュ プライドと友情』のところで、クリス・ヘムズワースの役柄が好みだと言ったら、vivajijiさんにブーイングを食らっていましたが(笑)、
    こちらではようやく最小公約数の好みがかぶさったようだなあ〜♪

    シュミットは結構何を見ても気分良く見れて、いいんですよ〜^^*




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