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『ポケットの中の握り拳』『肉体の悪魔』@マルコ・ベロッキオ特集

ポケットの中の握り拳

20100422175309背筋のゾッとする傑作。これどんな話なのだろう…よく分からないな…と思いながら見ていくと、あれよあれよと形づくっていくもの。これが非凡な味わいに漂着する。ヌーヴェルヴァーグ風なのかなと思いきや、いやいやこんな物語見たことないし!
 殺人事件について盲目の母親に読み聞かせるシーン、人生に退屈しきったアレッサンドロの表情でこの物語のテーマはそこなのかな、と思ったのだけれど、まだまだ続きがあった。狂気が蔓延していくじわりじわりとした出だしから、いよいよ狂気がドライヴし始める歪(いびつ)さを捉えた画の数々が見事。アレッサンドロとジュリア、二人のドライヴのシーンは、彼らが人生に飽き飽きしたゲーム感覚であることを漂わせ、精神的にどこか未熟なまま大人になってしまった歪みを描き出す。このゲーム感覚がアレッサンドロを家族を殺すというゲームを始めさせた。「葬式があると、生き生きする家庭」だなどという台詞があり、死体を挟んだ二人のショットが来て…。ラストシーンが来る辺りには、「面白いけど早く終わって欲しい」などと、この物語が幕を閉じてくれることを願ってしまった。

’65年、イタリア
原題:I pugni in tasca
監督・脚本・原案:マルコ・ベロッキオ
製作:エンツォ・ドリア
撮影:アルベルト・マルラーマ
音楽:エンニオ・モリコーネ
キャスト:ルー・カステル、パオラ・ピタゴラ、マリノ・マッセ、リリアナ・ジェラーチェ


肉体の悪魔

マルーシュカ・デートメルスの美しさをビシビシ感じる素敵な作品。「ずっと見ていたい」と思えるような被写体を選んでくれただけで、映画は至福になる。陶然とした時間。
 冒頭のシークエンスだけでグッと引き込まれた。屋根の上でのブラック系の女性と見つめ合って、ハラハラと涙するスリップ姿の美人。主人公が夢中になる気持ちがここだけで分かる。フレッシュで魅惑的な肉体をあられもなく晒す。セックスシーンの激しさではなく、女性の美をそのまま写し取っただけで、十分にセクシーさを感じる。そういえば、オゾンの『十七歳』もまさにその手のエロチックさだったなあ、なんて思い出した。
 映画の舞台となる彼の通う学校と、彼女の家が屋根伝いに繋がっていて、恋愛の高揚感とハラハラさせるような高度が伝わってくる。
ラディゲの原作とはいろいろと違っているところがあるけれども、これはベロッキオならではの表現だと思うと、面白くもあるし興味深くもある。ラストのアッと驚くような終わり方も。まさかあんな風に終わるとは思いもしなかったな…。

’86年、イタリア、フランス
原題:Diavolo in corpo
監督:マルコ・ベロッキオ
製作:レオ・ペスカローロ
原作:レイモン・ラディゲ
脚本:マルコ・ベロッキオ、エンニオ・デ・コンチーニ
撮影:ジュゼッペ・ランチ
音楽:カルロ・クリベッリ
キャスト:マルーシュカ・デートメルス(ジュリア)、フェデリコ・ピッツァリス(アンドレア)、アニータ・ラウレンツ、リカルド・デ・トレブルーナ他

 

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