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澁澤龍彦『快楽主義の哲学』を読んだ

澁澤龍彦はサド本は読んだことあっても、その他の著作を読むのは初めて。何とも直球なタイトルで、一体どんなことが書いてあるんだろうなんて手に取った。

冒頭で「人生には目的なんか無い。」とガツンと始まるところからして面白い。「食って、寝て、性交して、寿命が来れば死ぬだけです」。などと言うんですね。人生の目的について直ぐ様答えることが出来るのは、宗教を信じている人間だけだ、などと言ったりもする。そして文明のもたらした幸福論について、その欺瞞を明かしていく。とにかく飽きさせない話術と知識とで、こちらを撹乱する。麻薬みたいに面白い。カントの厳格主義、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」のけちくささ、ソクラテスのホモ好き。エピクロスを奨励し、ユイスマンスの『さかしま』が讃えられ、オスカー・ワイルドやサド公爵の生について語りまくる。ディオゲネス、ジャリ、ジル・ド・レー…。「奇人列伝」は特に面白い!

性感帯を限られた部位、性器だけにしておくのは不遇な現代人であって、社会に消耗され疲れているだけだと言う。口淫を嫌がるなどともってのほか…この時代はおそらく、こうしたことをおおっぴらに語れる時代ではなかったのかもしれない。でも未だに、自分はしないという男も女も居ますよね。それから色々な穴を開発すべき、全身は性感帯…あっ後者は、キム・ギドクの『メビウス』にもあったな(笑)

まあ、ここに書いてあることを大真面目に受け取るなら、社会の歯車になってしゃかりきに働く仕事など出来なくなるし、紳士を冒険に駆り立てることを良しとせず、小さな所有を大事にする”結婚”なんて出来なくなってしまう。読者をケムに巻く、澁澤氏一流のやり方であって、むしろ気の利いた韜晦(とうかい)として楽しむべきものだろう。しかしながら、こうした価値観をユーモアのセンスとして、心のどこかに入れておくなら、人生は何と豊かで幸せなものになるだろう!少なくても、「死にたくてたまらない」などと語るのは、ユーモアのセンスが無さ過ぎて駄目だ。どうせ人間は皆虫けらであり無為に死ぬ運命なのだから、今ある生を狂乱のままに生き、やりたいことをやって生きるべきだ!…と、こういう心の境地に達することが出来たのは、私が快楽主義の真髄を得たからかもしれない?

 

2014/07/04 |

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コメント(2件)

  1. お久しぶりでございます

    おや、澁澤本はサド本のみ読了だったとは意外ですわん

    >飽きさせない話術と知識とで、こちらを撹乱する
    内容が内容なんですが口当たりまろやかで読み易いんですよね~澁澤エッセイ…マイルド衒学っつーかwww

    >気の利いた韜晦
    あー言い得て妙な良いタームだ。今度どっかでパクらせて頂きます

    お時間あれば『高丘親王航海記』あたりもどぞー
    エロなしグロなし、まさかのファンタジー小説www

  2. みさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    わーん、随分お久しぶりです〜!みさん、今頃どうしてるのかなあ…と思っておりました。

    本当、口当たりやわらかくて、軽快なテンポで、気持ちいいことこの上ないんですよね〜
    >マイルド衒学
    上手い!本当、一歩間違えば嫌味っぽくなって衒学的なのに、的確なツボついてくるともはやそれが素晴らしいとしか思わざるを得なくなります…。

    >気の利いた韜晦
    本書内では、澁澤先生はこれをフランス語で表現してたんですよね。ただ他で聞いたことのない言葉だったので、使うのをやめてしまいました。

    >高丘親王航海記
    へえ〜。エロなしグロなし…と聞くとあまり心は惹かれないんですが、私何でも美味しくイケるクチだからなあ(照)
    みさんのオススメとあらば!行かせていただきます〜
    今は他の本が溜まってるんで、少し先になりますけれども。




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