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『結婚』『傘』『ピロスマニのアラベスク』『田園詩』@ソヴィエト・フィルム・クラシックス

結婚

georgia_03ミハイル・コバイーゼの短編その一。こちら、映画大学の卒業制作だとか。
バスで知り合った女性に恋した青年の物語。台詞が1つもなく、映像に被さる音楽はまるでサイレント映画のよう。と思いきや、途中で音楽が完全にやみ、コツコツと足音を鳴らす音だけが強調されたりする。青年の恋に決定を下す、運命的な瞬間の訪れ。そしてまた映像と音楽だけで表現する。彼の妄想も含まれたり。ラスト、これが妄想であれば良いのに…と思う瞬間が訪れるが、“現実”が繋がっていく。彼の落胆を感じる寂しいラストショットが素晴らしい。

’64年、ソ連
監督:ミハイル・コバイーゼ

georgia_05こちらもミハイル・コバヒーゼの同じく実験的な短編。自由に跳ね回る傘と、軽やかにスキップする男に引き寄せられる少女。ファンタジックでキュートで、不思議に思いながらもついつい見入ってしまう。どことなくフワリとした印象を与える、みずみずしいセンスが素敵!
ディズニーアニメの『ブルー・アンブレラ』はこちらが元ネタなんじゃないかな!?。『モンスターズ・ユニバーシティ』に同時収録されていた短編。

’67年、ソ連
監督:ミハイル・コバイーゼ

ピロスマニのアラベスク

20090815021908セルゲイ・パラジャーノフがグルジアの画家、ニコ・ピロスマニに捧げた短編。
映像のコラージュが現れたり、まるで絵が動き出したかのような映像がパタリパタリと繰り返される。とにかく美しくて、思わず目を奪われる。
扉が目の前にたくさん現れる映像は、すぐ向こう側に絵の中の世界が広がっているかのよう。あるいは夢の中のような。不思議な感覚に襲われる。
前衛的で、感覚的に来る作品だった。ロシアの前衛芸術の凄さを体感した。ロシアの懐の深さって凄い!おそロシア。

この作品、今度やるパラジャーノフ特集でも見られるので、見れる方は是非!

’85年、ソ連
原題:АРАБЕСКИ НА ТЕМУ ПИРОСМНИ
監督:セルゲイ・パラジャーノフ
脚本:K・ツェレテリ
撮影:N・パリアシヴィリ

田園詩

georgia_12こちらもまた、ロシアの知る人ぞ知る傑作!?
イオセリアーニは初めて見たのだけれど、こんな静かな美しい作品だったのね。グルジアの田園風景をまるごと捉えた作品。物語がある訳ではなく、人々の生活がただ、そこに在る。まさに目の前で存在し、働き、普段通りの姿を魅せる田園地方に暮らす人々。
音楽隊がやって来て、宿屋で彼らは演奏をし、物珍しいのか見に来る子供たち。灌漑用水路を2つに分かち、手づから水が流れていく。種を撒き、刈り取る。小競り合いや喧嘩も起きる。レンガを積み重ねてこれから家を作るというところで、向かいの家から苦情が出る。でも決して人々を下に見ている訳ではなく、風刺的ですらなく、ただそれは“人々の生活”であるから。

途中、電車に乗った人の目線が交わされる。トラックの荷台に何人も乗る片田舎の人々と、物珍しそうに見る都会の人々。線路の向こう側と此方側で、視線が何となく交わされるだけだ。通り過ぎて行く都会の人の目に映るグルジアの人々の、なんとのどかなこと。いわばこの映画を見る我々と映画の中の人物が、一瞬出会う風景のようだった。

’76年、グルジア
原題:PASTORALI
監督:オタール・イオセリアー二
脚本:レゾ・イナニシヴィリ、オタール・イオセリアー二、オタール・メフリシヴィリ
撮影:アベサロム・マイスラーゼ
音楽:テイムラズ・パクラーゼ

 

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