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ドイツもコイツもクソ。 『渇き。』

kawaki首を長くして待っている邦画の監督作品なんて余り無くて、うん、中島哲也ぐらいかな。『告白』同様今回も、これから夏本番という季節にやって来た。もし私が今学生だったなら、夏休みを楽しみに過ごすこの時期に、『告白』やらこんな映画やらに出会ってしまったら、人間も社会も怖くなり、思わず夏休みの間中引きこもりになってしまいそうだ。もうとっくの昔に学生ではない私としては、見ている間中、子供を持つのって怖いなあと震えながら見た(いじめっ子だろうといじめられっ子だろうと、子供を育てるのって怖すぎる…!)。

映画は、気持ちいいくらいエグい路線を突っ走ってる。そのエグさときたら、去年の『凶悪』なんて頑張って背伸びした子供のように思えたし、園子温の『冷たい熱帯魚』も、ヒネリもないストレートな感動作に思えるぐらいだ。

『告白』は良く練られた緻密さが魅力だった。今回のこちらは勢い推し。前作同様の勢いや面白さ、吸引力はあるけれど、ストーリーが収束に向かうところの先しぼみ感は少々残念だったかな…。考えてみたら、『告白』にも同じような短所が見いだせたかもしれないけれど。

子供たちもヤクザも、教師ですら、さらには我が子ですら、どうしようもないほどゲスで反吐の出るような奴らばっかり。社会のどうしようも無さに対して呪詛の言葉を吐き、無力なままにボロボロになりながら疾走する主人公藤島(役所広司)。彼の姿はまるで、『哀しき獣』のハ・ジョンウ同様、“のたれ死にする運命の犬”。彼の心にいくばくかの正義感を見ながら、狂ったようなドライブ感のみで映画を牽引していく。クソったれな世の中に真正面に向かい合い、取っ組み合い続けるオヤジ。いや、むしろ“オヤジ力”と言わせていただこう!主人公藤島の名前は“昭和”。現代の時代に唾を吐きまくる、“昭和のオヤジ”なんですよ。何故この作品が学生もしくは加奈子が主人公でなく、藤島が主人公なのか。それは、この世の中の絶望と戦うには、虚無ではあり得ないから。それこそが“オヤジ力”なんです!そう、この社会もSNSも、何もかもクソ。そんな物に真正面から対抗する力なんて無いけれど、諦めることは出来ない。諦めないオヤジ、どうしようもないオヤジだからこそ、彼がこの作品の主役なんですね。うん、すごく勇気をもらった。いい映画だった!

P.S.レザボアドッグスオマージュの耳切り、ソナチネオマージュの指ふっ飛ばしはいいよね!あと、腸の中身を出されて殺される瞬間に「うわあ〜ぐえええドゥルルルル」って声をだすのも良かった。
役所広司も小松菜奈も最高〜!やっぱり中島監督の映画って、主役級の女性がホント、最高に魅せてくれるんだよね。
妻夫木も最高でした。思わずバッグの中に入ってた、ジジのペロペロキャンディー(友人にもらったジブリ美術館のお土産)を舐めながら見ちゃった!



’14年、ギャガ
監督:中島哲也
製作:依田巽、鈴木ゆたか
原作:深町秋生
脚本:中島哲也、門間宣裕他
撮影:阿藤正一
キャスト:役所広司(藤島昭和)、小松菜奈(加奈子)、妻夫木聡(浅井)、清水尋也(ボク)、二階堂ふみ(遠藤那美)、橋本愛(森下)、國村隼(辻村医師)、黒沢あすか(桐子)、青木崇高(咲山)、オダギリジョー(愛川)、中谷美紀(東里恵)


 

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コメント(3件)

  1. とらねこさん☆
    駅にいっぱいポスターがあって、あまりに数が多すぎて「もうこの映画ぜったい観たくないっ」って思っていたら、「告白」の中島監督と知って迷いだしたところでした。
    すごく興味湧いてきちゃったけど・・・
    かなりオススメ??

  2. ノルウェーまだ〜むさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    おっ、ノルさんは『告白』好きだった派でしょうか?
    なんか、私の想像だと、『告白』好きだった人はこの作品も好きで、そうでなかった人は嫌いなのかと思ってたんですが。ところが、twitterのTLですと、『告白』嫌いだったけど、この作品みたいにここまでやるなら有り!とか、『告白』好きだったけどこの作品は嫌い!とかいろいろな人が居て、もう全然一概には言えない感じみたいで…
    ま、いずれにせよ、ものすごい賛否両論です。パッカリ分かれているという感じなんです。

    私は好きだったけど、人に勧めるのは難しそうです^^;

  3. 「渇き。」

    他の人はどうか知らないけど、どうという事はない作品だった、私にとっては。役所広司の独壇場。帰りの電車の中でお綺麗な役所広司の「一番搾りプレミアム」の窓上広告を見た瞬間、…




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