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『出発』@爆音映画祭

le-depart吉祥寺バウスシアターが、とうとう閉館に。今回はバウス最後のイベントの爆音映画祭の拡大シリ-ズ。これまでも大人気だったバウスのイベントが、一ヶ月半という長期間に渡って開催されます。個人的には、音楽が印象的で爆音で見てみたい映画を選ぶつもりだったのだけれど。今回選んだのは、純粋に見てみたい初見作ばかり。でも、こんなチョイスがなかなか楽しめていて、何より、爆音で見ることで私の記憶領域に、収まるべきところにぴったりと収まるイメ-ジ。

『出発』はスコリモフスキ監督4作目。初期のスコリモフスキでは『不戦勝』が私は好きだけれど、どことなく似ているかも。もろ、ヌ-ベルバーグ調でゴダ-ルっぽい。ジャン=ピエ-ル・レオが主演だから余計そう思うのかもしれない。

レースに出るために何でもしようと、忙しなく動き回るJ=P・レオ。あらゆる手立てを試みて、少々強引なやり方をしようとするものの、なかなか目的に到達出来ない。落ち着いてゆっくり考える、などということは彼にはどうやら無理のよう。目の前の算段に矢も盾もたまらず飛びつく、といった具合。いきなり怒り出したり、大声でわめき散らしたり、まるで普段と違うJ=P・レオの姿。いかにもマニッシュなスコリモフスキの初期作。一言で言えばとても男らしい感じがする。

ラストの燃えるフィルムと、目的に真っ直ぐなレ-サ-ということで、どことなく『断絶』を思い出す人も居るかもしれない。『断絶』ではゴ-ル途上の果てしないレ-スが人生に取って代わるけれど、こちらはそれどころかレースの競技場にすら辿り着かない。若者の焦燥感、青春が訪れる前の嵐まっただ中といった風情。ところどころにジャジーなサックスの音が流れるのだけれど、お洒落な雰囲気どころか、むしろ焦燥感を煽るもの。人生における果てしない欲望。爆音で聞くと、音楽はまるで暴力のように、心を掻き乱すものだった。

’67年、ベルギー
原題:Le départ
監督:イエジー・スコリモフスキ
脚本:アンジェイ・コステンコ、イエジー・スコリモフスキ
音楽:クリストフ・コメダ
撮影:ウィリー・クラン
出演:ジャン=ピエール・レオ、カトリーヌ・イザベル・デュポール、ジャクリ−ヌ・ビル

 

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