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『シンプル・シモン』北欧発ハッピーでキュートなヒューマン・ラブコメ

T0018780pポップで幸せ感いっぱいの、スウェーデン発の作品。’12年のノーザンライツ・フィルム・フェスティバルで大人気を博した作品なのだけれど、その映画祭のメンバーが中心になって公開にこぎつけた、影の努力があったのですって。

北欧作品は割と重厚なものが多いイメージだったので、こんなキッチュでポップな作品があるんだ!と驚き。でも、可愛くて思わず好きになるタイプの、共感を呼ぶ物語でありながら、アスペルガー症候群を扱うこのバランスが北欧風?

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シンプルを好むシモンは、自分の周りに図形を置くのが好きな様子。特に好きなのは丸の形。ピタっと時刻通りのスケジュール管理をしたり、生活から“感情”を省く徹底ぶり。映画の中の画もシモンの気持ちに見合い、綺麗に統制が取れているのよね。特に冒頭のリズム感と、図式的な画面構成。この辺がいい具合にハマっててスタイリッシュ。なんだか理系のシモンの気持ちが伝わってくる。人間の割り切れない感情に振り回されない世界は、逆に心地良いものなのかも。感情と本能に翻弄されっぱなしの私には180度驚きの世界だったけれど、確かに子供の頃はもっとシンプルに世界を見ていた。単純な時間割に規則通りの毎日。そしてその頃は幸せだった。そう考えれば、シモンの気持ちも分かる気がする。

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シモンはアスペルガー症候群ではあるけれども、少なくとも人の表情を見て理解しようとしていて、表情をパターン化して読み取ることを学んでる。そして、“自分には兄が必要であり、兄は恋人が必要である”という、兄の方程式に自分を合わせて行こうとする。必要に応じて。むしろこの辺りを理解しないのは、そんな方程式を頭に描いてみない兄の彼女の方だ。つまり、感情に赴くがままに生きている人種、その辺は我々の方が大いに反省すべき点なのかも。

“コミュニケーション能力”については、健常者の我々だって、実は得意でない人間の方がずっと多いくらいだ。少なくとも私はあまり自信がない。自分の好きな相手にだけ周波数を合わせることの出来る、壊れた宇宙船みたいなもの。だから、シモンのプレゼントを素直に感動出来る、イェニファーは何て魅力的なんだろう。感覚的人間であっても純粋だから、彼女もとってもシンプルなのね。

ところで、ビル・スカルスガルド!私は今回、初見でした。ステラン・スカルスガルドの息子シリーズの隠し玉ですね(笑)。エンドロールを見て驚いた。今まさに売れっ子街道驀進中のアレクサンダー・スカルスガルドのもう一人の弟。アレクサンダー・スカルスガルドは『ザ・イースト』『メイジーの瞳』『ディス/コネクト』と今年3本もすでに公開されて、それら全部が面白いという大当たりぶり。そして彼の弟の一人・グスタフ・スカルスガルドは去年公開の『コン・ティキ』。そして今回の一番若い、ビル!息子たちの出演作が、どれもこれも面白いって、ステラン親父は鼻高々じゃないですか?息子ガルド達から目を離せない!

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’10年、スウェーデン
原題:I rymden finns inga kanslor
監督:アンドレアス・エーマン
製作:ボニー・スターグ・フィーニー、ヨナタン・シェーベルイ
脚本:アンドレアス・エーマン、ヨナタン・シェーベルイ
撮影:ニクラス・ヨハンソン
音楽:ヨセフ・トゥールセ
キャスト:ビル・スカルスガルド(シモン)、マッティン・バルストレム(サム)、セシリア・フォッシュ(イェニファー)、ソフィー・ハミルトン(フリーダ)、ロッタ・テイレ(シモンのママ)

 

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コメント(4件)

  1. シンプル・シモン

    アスペルガー症候群の18歳のシモン(ビル・スカルスガルド)は、思い通りにならないことがあると“ドラム缶型宇宙船”に閉じ篭ってしまう。 そうなると、両親(イングマール・ヴ…

  2. >少なくとも人の表情を見て理解しようとしていて、表情をパターン化して読み取ることを学んでる。
    >“コミュニケーション能力”については、健常者の我々だって、実は得意でない人間の方がずっと多いくらいだ。少なくとも私はあまり自信がない。

    アスペルガー症候群の人は相手の表情が読めない、言葉の裏や含みを理解できない、ということは知っていたので、シモンの「表情パターンとその時の感情」を模式図的に活用してコミュニケーションをとろうとしているところに、彼の前向きな姿勢が感じ取れて嬉しくなりました。
    あれは本人のアイデアなのか、お兄さんのアイデアなのか。
    他人と関わったりコミュニケーションをとったりは大の苦手だから、と言うだけで努力しない哀生龍とは大違い。
    哀生龍に比べたら、とらねこさんは何百倍もコミュニケーション能力があると思います!

  3. 哀生龍さんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。

    相手に対して努力を積み重ねることで、コミュニケーションて開けていく。それは健常者の我々だって同じですよね。中には何をやっても誤解されてしまう時期というのもあり、相手自身が、自分のことしか考えていない時期もあるかもしれないけれど、それでも相手にとって大事なことを行っていく。シモンの努力がすごく滲みました。
    哀生龍さんはそうやって褒めてくださるの、嬉しいんですけど、私実はそんなにコミュニケーションが得意な訳じゃないんですよ。ただ、好きな相手は大事にするなあ。本当にそれだけなんです。そして、シモンも同じだなあと思いました。

  4. 『シンプル・シモン』をユーロスペース2で観て、可愛い事作りやがるなふじき★★★

    五つ星評価で【★★★寓話だと思う】
    一見リアルでにありそうに見える話なのだが、
    主人公のアスペルガー症候群持ちのシモンが
    ちょっとほっとけない系のイケメン分類という所が …




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