rss twitter fb hatena gplus

*

鏡花文学を映像で楽しむ 『白夜の妖女』

image003泉鏡花は好きですか?ラヴクラフトの好きな人に、「泉鏡花も是非読んで!」とオススメしたくなる私。慣れない人には彼の文体はちょっと読みづらいのだけれど、それでも、あの何とも幻想的で荘厳な雰囲気が堪らないのです。

鏡花文学の最高峰の一つ、『高野聖』の映像化である今作。邦画で見たいのは、私にはこういうもの!『白夜の妖女』なんていうタイトルだったので、泉鏡花の高野聖が原作だったとは、想像してなかった。いつも出来るだけ映画の前情報を詰め込むのが嫌いな、勉強不足な私がいけない。でも、こうやっていきなり出会えるなんて幸せ。

鏡花文学の真髄にズズイと迫った、素敵な邦画でしたよ。落ち着いてずっしり構えたカメラもイイ。幻想的であると同時に、しっかりリアリティを感じさせる美術もイイ。とっても気に入ってしまいました。妖女役の月丘夢路の眼力、肢体のみずみずしさ。思わず牛にされた薬売りが言うように、「あんな女を抱けるなら、この身がどうなっても構わねぇや」、思わずゾクっとするような美貌が、モノクロ画面から匂い立ってくるかのよう。

ただ、物足りないと思える点がいくつか。修行中の身である坊さんの性的葛藤を、もっと映像で語ってくれたら物語に深みが増していたと思える。それから途中の展開で、妖女が坊さんへ恋心を抱くようになり、妖術すら得ているはずの女が、マトモな女として生まれ変わり、彼を助けようとすること。この辺りがアレアレっと思えるほどアッサリ描かれているので、主題が存分に描かれている感じがないんですよね。坊さんが話を語りきった後、高野山の坊主達に戻ってくる。高僧の話に呑まれ皆が思わず固唾をのむ姿、そしてラストに坊さんが残す一言。この重みまで描けてこそのこの物語だと思うので…。

そうだ!この話は是非ともリメイクして欲しいな。性欲を我慢するということ自体、今の日本人には縁遠いものかもしれないけれど。

201307191848553

’57年、日本
原題:the Temptress
監督:滝沢英輔
原作:泉鏡花
製作:高木雅行
撮影:横山実
キャスト:月丘夢路(女)、葉山良二(宗朝)、小林正(白痴)、大矢市次郎(白髪の翁)、浜村純(与平次)、河野秋武(薬売り)、木室郁子(山の娘)、冬木京三(白藤屋敷の男一)、西村晃(農夫)他

 

関連記事

『殿、利息でござる』の志高い傑作ぶりを見よ!ただのイイ話と思いきやとんでもない!

選挙が終わった。今回の選挙はもしかしたら戦後最大の争点になるかもしれな...
記事を読む

『我が至上の愛 アストレとセラドン』泥沼悲劇は途中から転調して…

“愛”について語る時に必ず付いて回る、R...
記事を読む

『フルスタリョフ、車を!』 ロシア的なるものの恐ろしさを堪能せよ

ロシア映画で1番ロシアらしさを感じるのは、私にとってはこの作品かもしれ...
記事を読む

『神々のたそがれ』 泥土と汚物と臓物と

ぐおお!!
グチャグチャの泥土&飛び出る臓物&臭そうな臭気にまみれた映...
記事を読む

新たな古典 『悪童日記』

なんて素敵な怪作なんだろう。 狂った時代の、狂った兄弟とその家族の物語...
記事を読む

2,494

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑