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リンクレイターの中で最も地味? 『バーニー みんなが愛した殺人者』

130502アメリカの陪審員制度の怖さを、ひしひしと感じてしまう作品だった。

アメリカの田舎町、ほとんど殺人犯罪の無いのどかな町。圧倒的に人望が厚く、地元に絶大な人気のある男が殺人を犯した。被害者は、そんな小さな田舎の町で何故これほどまでに、と思ってしまうほど嫌われ者の金持ちの未亡人。この事件の顛末を、地元の人々の証言を交えながら追っていくストーリー。

ドキュメンタリーとしてではなく、あくまでも劇映画として事実になぞらえて撮るのが、リンクレイター式なのかも?『ファーストフード・ネーション』がそうだったように。ドキュメンタリーを撮るのではなく、あくまでも事実ベースの劇映画に彼がこだわるのはどうしてだろう?「実際にあった」というエクスキューズの上に、逆にその一判例の特殊性に縛られてしまうとも言えるわけで。逆にフィクションという形に残す意味は、その特殊性から離れ、そこに物事の一般性を見る上で有用である、前回にそう思ったのだけれど、いかがでしょう。

ジャック・ブラックが演じるバーニーは、あまりにも地元民に愛されているが故に、そこで裁判を行ったら必ずや無罪になるだろう、そう判断して、“公平な”判決を得るために別の町に行かざるを得なかった。こんな例はアメリカでもまず無いことだそう。

ただ、今回のこの作品、リンクレイターの割にギラッと鋭い視点を感じなかったのが残念。少々退屈してしまった部分も。そう言えば前作の『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』も、なかなか面白かったのに劇場未公開のDVDスルーだったっけ。『ビフォア・ミッドナイト』がやっぱり楽しみ。ちなみに『ビフォア・ミッドナイト』は、来年のお正月公開だそうです。まあこちらはみんな、楽しみですよね~♪


’11年、アメリカ
原題:Bernie
監督:リチャード・リンクレイター
製作:セリーヌ・ラトレイ、マーティン・シェイファー他
製作総指揮:ドン・フォックス、ダービー・パーカー他
脚本:リチャード・リンクレイター、スキップ・ホランズワース
撮影:ディック・ポープ
音楽:グレアム・レイノルズ
キャスト:ジャック・ブラック(バーニー・ティーディ)、シャーリー・マクレーン(マージョリー・ニュージェント)、マシュー・マコノヒー(ダニー・バック・デビッドソン)


 

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コメント(4件)

  1. いかにもリンクレイターらしい捻った作りの映画だけど、ついこの前この事件の再現ドラマをテレビで見てたからなんか既視感を感じてしまいました。
    顛末を知らないで観たら新鮮だったかも。
    まあ本命は「ビフォア・ミッドナイト」待ちって事で。

  2. ノラネコさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    この事件の再現ドラマをご存知だったら、確かに面白みは感じないですよね。
    でも、シュガーマンなんかはノラネコさん、以前に同じようなVTRを見たことがあって、あちらは評価されてるんですよね?
    既視感だけじゃないかなと。

    うん、評価はビフォア・ミッドナイト待ちにしてあげて下さい♪

  3. シュガーマンはテレビでやってたのは映画のメイキングみたいな作りだったから。
    映画みるまでわからなかったディテールも多いんです。
    対してこっちは時間が長くなってるだけで、事実関係はほとんど一緒だったんで、検事のキャラくらいしか新しい要素が無かったんです。
    まあ再現ドラマのキャストをドキュメンタリー部分と混ぜて、フィクションとノンフィクションの境界を溶かしてしまうというのは面白い試みでした。

  4. ノラネコさんへ

    こんばんはアゲイン♪
    あーそっか。シュガーマン、映画のメイキングのような作りだったんですね。
    確かに、そしたらバッティングしてしまうような物にはならないかも。
    『ファーストフード・ネーション』は結構面白かったんですけどね。今回はちょっと地味だったかなあ。




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