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自分の人生をリセットして得たもの 『偽りの人生』

o04500637org_20130418000201_1『瞳の奥の秘密』のスタッフがプロデュースに携わったアルゼンチン映画。但し、新人監督のアナ・ピーターバーグが監督し、脚本も手がけているので、『瞳の奥の秘密』とは、テイストや印象が少し違うかも。

自分の人生をリセット出来たら。もう一度誰か別の人生として生きてみる、というのが主人公の狙いだったのだろうな、と。

登場人物が入れ替わってしまうタイプの“入れ替わり物”なのでした。一時入れ替わって、また元に戻ったり。コメディには良く使われる手法で、古くはシェイクスピアの『十二夜』から始まって、パッと思いつくところだと『フォーチュン・クッキー』や『ホット・チック』、『フェイス/オフ』などなど。でもこの作品はシリアスなドラマ。サスペンスタッチでハラハラはするけれど。自分そっくりの双子の人生の入れ替え、死期を前にしてもう一度生き直す男の物語。

この先、ネタバレで語ります******************

冒頭に病院から診断を下されるシーンがあって、彼が何かしら重篤な病気であることが伺える。子を望む妻とは意見の一致から、別居騒動になってしまう。そこへガンの末期になった双子の弟が現れて、自分を殺すよう頼まれる。謝礼はミツバチの箱の裏に隠したと言って。
もともと慎重な性格のアウグスティンは、勇気があって無鉄砲なペドロへの憧れが子供の頃からあったのかもしれない。危篤状態の父親にとっても、一番会いたかったのはペドロの方。子供の頃からの悪友・アドリアンも、ペドロは唯一無二の親友として慕う。

アウグスティンは、ペドロの人生に降りかかったトラブルまで引き受けて、自身の人生より一層深い泥沼へと入り込んでしまう。彼にとって唯一心の拠り所となるのは、若い恋人クラウディアの存在だけ。
もう少しテーマを浮き彫りにさせるような、情感的なシーンがあっても良かったかもしれない。アウグスティンの気持ちに観客が寄り添えるような。
たとえ選んだ人生が失敗であっても、何か一つでもその人生に喜びがあれば、それで満足がいく…そんなほろ苦い感傷が残れば良かったかも。あの歳若い恋人に「俺のことを覚えておいてくれ」と言っても…一瞬で忘れられてしまいそうで寂しい。(あーあ)
でも、ヴィゴ・モーテンセンが頑張っていて、見どころは何と言ってもココなのでした。

’12年、アルゼンチン、スペイン、ドイツ
原題:Todos tenemos un plan
監督・脚本:アナ・ピーターバーグ
製作:マリエラ・ベスイエフスキー、ヘラルド・エレーロ、バネッサ・ラゴーネ
編集:イレーヌ・ブレクア
音楽:ルシオ・ゴドイ
キャスト:ヴィゴ・モーテンセン(ペドロ/アグスティン)、ソレダ・ビジャミル(クラウディア)、ダニエル・ファネゴ(アドリアン)、ハビエル・ゴディーノ(ルーベン)、ソフィア・ガラ・カスティリオーネ

 

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コメント(2件)

  1. とらねこさん☆
    うんうん、主人公のアウグスティンにもう少し寄り添えると良かったんだけど・・・
    そこまでして成り代わり語った訳に理解を示せなかったなぁ。

    冒頭医師から病気を告げられたの、気付かなかった!(爆)
    それで余命を自分らしく生きようとしたのかな。
    そこ大事ですねー(苦笑)

  2. ノルウェーまだ〜むさんへ

    こちらにもありがとうございます♪
    ですよねー、アウグスティンの気持ちにイマイチ共感が出来ないのがもったいなかったですね。
    医師から病気を告げられてショックを受けてるのって、本当最初の方でした。その後、奥さんなんかも「あなたがこんな時にごめんなさい」との台詞ありましたね。
    双子のお兄ちゃんの方もおそらくは同じ病気だったんじゃないかなと思いました。彼の方が煙草吸う分、癌の進行が早かったんでしょうね。




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