rss twitter fb hatena gplus

*

ヨーロッパ観光地型、軽快コメディ第三弾 『ローマでアモーレ』

106-63899roma_de_amoreパリから舞台を変えて、今度はローマ!

というのは、日本で公開された前作『恋のロンドン狂騒曲』が、実は『ミッドナイト・イン・パリ』より前に製作されていたから、なのです。日本では『ミッドナイト・イン・パリ』の大ヒットと高評価を受けて、後から公開されたけれど。

なんでも『恋のロンドン狂騒曲』は、その少々塩っ辛いテイストのためか、興行的には大コケしてしまったらしい。続く『ミッドナイト・イン・パリ』が、ウッディ・アレンとは思えないほどどこか甘い雰囲気があったのはそのためかも。しかしローマが舞台の今作。大ヒットし、アカデミーノミネートにも至った『ミッドナイト・イン・パリ』の後に来る作品であるせいか、多少気の抜けたテイストの空騒ぎコメディだった模様。十分、面白くは見れたけれど。私は正直、『ミッドナイト・イン・パリ』の楽しさ、『恋のロンドン狂騒曲』の人生の苦さの方が何倍も好き。でも、アレンの観光地シリーズ、各地でやってもイイナ!

この先、ネタバレで語ります**********************

今回は、イタリアで出会い付き合い始めたカップル、アメリカ人女性ヘイリー(アリソン・ピル)とミケランジェロ(フラヴィオ・パレンティ)が、互いの両親を合わせることになり一騒動。この物語が全体のコメディテイストを強くしているとも言える。婿の父が風呂場で歌うオペラが素晴らしいと、感動した嫁の父が彼をスカウトして前衛オペラに引きずり込んだり。また、同棲中の安定したカップル、ジャック(ジェシー・アイゼンバーグ)とサリー(グレタ・ガーウィグ)の中に割り込んでくる、見た目には地味だけれど実は小悪魔なモニカ(エレン・ペイジ)。ジャックが出会う、成功した建築家のジョン(アレック・ボールドウィン)は、すぐには気づかないが、実は彼はジャックの心の中の声だ。それから、お洒落をすると出かけたままはぐれてしまう夫婦。どこにでもいる平凡で安定した、浮気など考えたこともない夫婦が、それぞれに恋の国イタリアならではの展開を迎える辺りがとても可笑しい。また、平凡なイタリア人レオポルド(ロベルト・ベニーニ)が突然有名人になるという不条理コメディ部分もある。ここは少し尺が短くても良かったかな。

一番好きだったエピソードは、はぐれた夫婦がお互い浮気をして難なく元サヤに収まるところ。夫婦それぞれが平等に浮気し、ちゃんちゃんと大団円が来るなんて楽しくて。こういうエピソードで共感が出来るなんて、自分もすっかり大人の苦味が味わえるようになったものだな、なんて思ったり。

ジェシー・アイゼンバーグは早口がさすが得意である一方、抑えめな演技で好感が持てた。エレン・ペイジも、にわかアート好きの知的風な台詞が難なく似合ってる(その諷刺的色合いも)。『おいしい生活』では、ヨーロッパ旅行に行く妻に「5000kmも飛んで遺跡を見るつもりなのか?」なんていう台詞があったけれど、今回は「遺跡を見るとオジマンディアズ憂鬱に駆られてしまう」なんていう台詞が二度出て来て、思わずニヤリ。

個人的には、モニカが昔の自分みたいで目を覆いたくなった。そう言えば私も、サークルに入った時に、私に聞こえないと思ってとある先輩が、「ええっ!?あの程度で美人?」なんて言っているのを耳にしたことあったな…。それから、「お前は恋多き女だ!」とも言われたっけ。覚えたばかりの本からの引用をして知識ある素振りをして、“特別な子”を装って相手の気持ちを引いたり。思えば男にはそういう部分、見透かされていたんだろうな。

P.S…ペネロペ・クルスは多少太ってムチムチになってきても、相変わらず綺麗で見とれちゃう。

’12年、アメリカ、イタリア、スペイン
原題:To Rome with Love
監督・脚本:ウッディ・アレン
製作:レッティ・アロンソン、スティーブン・テネンバウム他
撮影:ダリウス・コンジ
キャスト:ウッディ・アレン(ジェリー)、アレック・ボールドウィン(ジョン)、ロベルト・ベニーニ(レオポルド)、ペネロペ・クルス(アンナ)、ジュディ・デイビス(フィリス)、ジェシー・アイゼンバーグ(ジャック)、グレタ・ガーウィグ(サリー)、エレン・ペイジ(モニカ)、アントニオ・アルバネーゼ(ルーカ・サルタ)、ファビオ・アルミリアート(ジャンカルロ)、アレッサンドラ・マストロナルディ(ミリー)、オルネラ・ムーティ(ピア・フザーリ)、フラビオ・パレンティ(ミケランジェロ)、アリソン・ピル(ヘイリー)、リッカルド・スカマルチョ(ホテル強盗)、アレッサンドロ・チベリ(アントニオ)

 

関連記事

『帰ってきたヒトラー』 このご時世じゃ笑いたくてもワロエナイ!

ヒトラーは生きていた!? 「源義経はモンゴルに渡り、チンギス・ハーンに...
記事を読む

『神様メール』 新・新約聖書がもし書かれたなら

映画の面白さについて語るのはいつも難しいことだけれど、とりわけこの作品...
記事を読む

『これが私の人生設計』 窮屈なイタリア社会を笑う

イタリア映画祭で評判だったこの作品は、イタリアの国民性を感じるコメディ...
記事を読む

パン・ホーチョン 『愛のカケヒキ』 女同士のバトルが面白い!

中国映画週間にて。 そうか、香港は中国に返還されたから、“香港映画”で...
記事を読む

アレックス・デ・ラ・イグレシアでデラ上がる! 『グラン・ノーチェ!最高の大晦日』

ラテンビート映画祭にて鑑賞。 アレックス・デ・ラ・イグレシアに遅らばせ...
記事を読む

1,366

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑