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自らによって封印されていたキューブリック幻のデビュー作 『恐怖と欲望』

news130415_stanley_mainキューブリック幻のデビュー作ですって!?巨匠によって忌み嫌われ、わざわざフィルムを買い占めてまで上映されないように封印されていたという、『非情の罠』以前の劇場デビュー作。

この完成度の作品を「これは映画ではない」と言い切っちゃうんだ…なんと完璧主義者なんだろう。私は十分面白く見れたけれど。後に『突撃』や『フルメタル・ジャケット』で描かれた、戦争が人間をどのように変えてしまうか、というテーマに繋がっていく。荒々しいけれど、野心的。強いコントラストのモノクロ映像が目に焼き付いた。以下、ネタバレで語ります。

敵の食事中に襲撃するシーンでは、死体のすぐ横でまだ薬莢の匂いがしそうな中、敵が食していた食べ物を貪り食う。ふと気づいたように戦争に対する嫌悪感を初めて顕にする。それから、村人の女性を襲って見張りを立てるも、女子に嫌われたくない思いで支離滅裂な話を一生懸命話しかける兵士。見張りにと残された男はだんだん精神が病み始めていて、木に縛られた村人の女性と兵士とをぐるぐると執拗に映す映像などは、緊張感が漂っていていまにも忌わしい事が起こりそうな奇妙な雰囲気に満ち満ちている。

ラストのモノローグと川に流される死体と兵士の映像を組み合わせるシーンも静かに衝撃的。「戦争が終わったら、一介の平凡な自分に戻るだけ。一生に一度は名を上げたい」という自己実現の虚しさ。真実の手触りがザラリと残る。


’53年、アメリカ
原題:Fear And Desire
監督・製作・撮影・編集:スタンリー・キューブリック
脚本:ハワード・サックラー(『非情の罠』『ジョーズ 2』)
音楽:ジェラルド・フリード(『突撃!』『ルーツ』)
キャスト:ケネス・ハープ(コービー中尉/将軍)/フランク・シルヴェラ(マック軍曹)/ポール・マザースキー(シドニー二等兵)/スティーブン・コイト(フレッチャー二等兵)/ヴァージニア・リース(女)

 

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