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ドキっ!女だらけの魔法の世界 女性に嘘をつかずにいられるか? 『オズ はじまりの戦い』

poster“オズ”と言っても、オリジナルとはまるで別物。そして副題通り、オズ・ビギニングでもある。オズが魔法使いになるまでの物語のみならず、西の魔女が魔女に変身するまでを描いた物語でもある。何より何より、ライミイズムが満載なのでーす!楽しいったら楽しいっ!!

いやあ、実は全く期待してなかったんですよ。いくらライミと言っても。「どうせつまんないんでしょ?」と鼻くそを人差し指でほじくって、あさっての方向を向いていた。見るまでは。
だって予告を見る限り、あのイラつかせる『アリス・イン・ワンダーランド』(ティム・バートンの)に映像がそっくりじゃないですか。しかも、製作チームまで一緒と来た。おかげでカラフルな映像を見るたび、頭が痛くなる思いでしたよ。何っ?ライミはローバジェット作品の方が面白いんじゃないかって?いやいや、『スパイダーマン』はあんなに面白かったし(ライミの方ね!)。でもこの映像はちょっと…。しかし開けてみたらこんなに面白いとは!ディズニーの実写ファンタジー映画としては、『魔法にかけられて』以来、とっても気に入ってしまいました。楽しいよ〜♪

嘘をついたり女性を口説いてポイっと捨てたりするのが得意な女たらしのオズ。このオズがリアル世界から抜け出てやって来た魔法の世界は、何と女だらけの世界なんですよね。魔女が3人も出てくるこの世界で、それぞれ彼女たちとどう対峙するかが物語の肝だったりする。それも初めはそれぞれ、どの女性がどういう役割分担なのか、すぐにそれと分からない。ココが面白いのです。女性を上手く描いた物語であるからこそ、この作品が成功するポイントになっているんです、意外にも。もう、まるっきり大人のためのファンタジー。

女性の様々なタイプの描き分けも面白いんですね。見た目や初対面での愛想の良さとは裏腹に、その実いろいろと見透かしている頭脳派性悪女・“東の魔女”、本当は真っ直ぐで良いところもあって、だけどちょっぴり思い込みが激しくて、一旦怒らせると手のつけようがなくない、“西の魔女”。彼女は、心変わりした途端、見た目まで変わったりして、恐ろしいやら面白いやらで最高でした!指を動かす仕草や魔女になってからのルックスは、思わず『スペル』を思い出してしまってまた爆笑。

この物語の肝の部分では、東の魔女であるエヴァノラ、彼女がオズの力を本当の意味で認めることで、今回の騒乱はおしまいになるのだけれど。私のお気に入りは断然、西の魔女セオドラなのです。ちょっと西の魔女について言及してもいいかな。彼女は、オズがこの世界に初めてやって来て接する女性で、女たらしのオズは彼女のこともアッサリ陥落し、ホイホイといただいてしまう。そして、贈り物にとオルゴールを差し出すのだけれど、このオルゴールこそが、オズがこの世界に追放されるハメになったオズの“嘘”の象徴。オズは現世界でも、何かと言えば女性たちにこのオルゴールを送ったり、口先一つでその場を切り抜けたりしてきていたんですよね。こちらの世界にやって来た理由となったのがあのオルゴールであるのに、こちらの世界に来てまたも、このオルゴールをきっかけに、西の魔女を悪の世界へと突き落としてしまう。

顔すら変わってしまった彼女が「魔女はホウキに乗ってビューンと飛ぶんだよね!?」なんて言って、ビューンと飛ぶと、その様は影絵みたいになっちゃって、緑の背景に黒い影絵、よくクリスマスで見る悪者の魔女にそっくりになってしまう!恐ろしいというよりもこの描写、なんだか子供っぽくて楽しく描かれている。真っ直ぐで怒り狂ってる人で、やることは酷いはずなのに、ちょっぴり彼女に同情心が湧いてしまう。だって、悪いのはオズなんだもの、っていう部分もあるから。怒り方は怖いというより面白いし。こんな風に、悪者を「根っからの悪者」として描かないところが大好き。悪者になってしまうには理由があって、本当は純粋なところもあるかもしれない。それが女性というものだから!彼女が「Never〜〜〜〜〜!!!!」って言うところは、本当はちょっぴり切ない。だけどすんごい可笑しい。こんな風に悪者を笑い飛ばせるように描けているところが、私はまた好きなの。もしかしたら、彼女は改心して帰って来てくれるかもしれない。善と悪との境界線をハッキリ描かず、まず定義し直してみるところが、『ダークナイト』以降の善悪の描き方になっていると思うのです。

それに対して、善である存在の南の魔女を演じるのはミッシェル・ウィリアムズ。彼女の最近の作品と言うと、『ブルーバレンタイン』に『テイク・ディス・ワルツ』などの、言わば「優しげな顔をした本当は性悪女」のイメージが多いんですよね。彼女が全て悪いとは言わないのだけれども、どっちも家庭が崩壊していく話であり、心の底から信用していた男たちを、奈落の底に突き落とすタイプの女性を演じているから(笑)。おかげでいい具合に、「この人本当に今回は善人の役なのかなあ?」と最初、おっかなビックリにさせるのにちょうどいいキャスティングと言える。だって、当代きってのセクシー女優、ミラ・クニスをキャスティングしておきながら、こんな鼻のひん曲がった緑の魔女に変身させちゃうライミなんだもの!って。女性のままならなさを描くキャスティングとして、まるきり善をイメージさせる女優であるより、ここでミッシェル・ウィリアムズを登板させるのは、とても正しいと思いましたよ。それから、正確に言えば「オズの魔法使」では、良い魔女は“南の魔女”じゃなくて、“北の魔女”だしね。この呼称一つを取ってみても、本当にこの魔女が“良い魔女”なのか、ハラハラしながら見てしまうという訳なんですね。

それから、もう一人出てくる女子が。陶器のお人形さんなのだけれど、この子は女性になる前の少女のイメージ。足が壊れてしまって歩けなくなった彼女の足を、くっつけて直してあげるところから、オズの心が少しづつ変わっていくのを表現している。歩けない彼女の姿を見てふとリンクさせるのは、現世界でオズが魔術ショーをしている時に詰め寄った、“車椅子の少女”。彼女が、「あなたの力を信じてる。私を歩けるようにして!」と詰め寄るんですよね。もちろん、直してあげられなかったけれど。その彼女のことを思い出すのです。で、一番最後に南の魔女を助けたのも、陶器の彼女のおかげなのでした。年頃の女性でないイメージの彼女に対するオズの優しさは(彼女はサイズも小さく、人間ですらない)、“女性”であるからではなく、オズが本来持っている優しさの現れとしての表現になっているのでした。だから彼女の存在はここの世界で重要なのね。

あとそうそう、この作品の3Dはすごく良かったです!ギミック的で面白い3Dばかりでなかなか。
思い出すのは、ディズニーランドの『キャプテンEO』。グレムリンに羽が生えたみたいなキャラがブイーンと飛んで出てくるシーンにそっくりなシーンがあって。羽の生えた歯の妖精トゥース・フェアリーが飛ぶシーンとか似てました。

ま、そんなこんなで、「オズの世界は女性の世界だったのか」、なるほどと納得してしまう、新解釈な大人向けオズの物語でした。ディズニー映画でありながら、本当はドロドロした世界観であることよ。

’13年、アメリカ
原題:Oz: the Great and Powerful
監督:サム・ライミ
製作:ジョー・ロス
製作総指揮:グラント・カーティス、パラク・パテル他
原作:L・フランク・ボーム
脚本:ミッチェル・カプナー、デビッド・リンゼイ=アベアー
撮影:ピーター・デミング
音楽:ダニー・エルフマン
キャスト:ジェームズ・フランコ(オズ)、ミラ・クニス(セオドラ)、レイチェル・ワイズ(エヴァノラ)、ミシェル・ウィリアムズ(アニー/グリンダ)、ザック・ブラフ(フランク/フィンリー)、ビル・コッブス(マスター・ティンカー)他

 

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コメント(10件)

  1. とらねこさん、こんばんは。
    私はミッシェル・ウィリアムズという人を初めて見て、先入観が無かったので、ただ「この人、なんかいいなぁ」って眺めてました。
    そうなんですか、そういうキャスティングの妙があったとは興味深いですね。
    ディズニーランドにOZのアトラクションが出来たら凄いですね。行きたいです。
    陶器人形はディズニーストアで売らないんでしょうかね。

  2. imaponさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    ミシェル・ウィリアムズ、ここではとっても可愛かったですよね♪
    彼女は割と評価されていて、特に最近の出演作は面白いですよ。おそらくもう3,4年もすれば、彼女の地位はもっと上がっていると思われます。
    良ければ上に挙げた2作と『ブロークバック・マウンテン』を見てみてくださいな♪
    ただ、大した美人でもないのにマリリン役をやってるヤツだけはあきません。あれはとらねこはオススメ出来ません。

    >ディズニーランドにOZのアトラクションが出来たら
    あーそれいいな〜♪アトラクション行きたいし、あの陶器人形、私もすっごく欲しいです!^^*

  3. おはようございます
    とらねこさんの後押しのおかげで見に行ってヨカッタでげす、ありがとうございました
    「魔法にかけられて」以来ですよね、ほんま、でもディズニーもんは浦安市民の義務なので糞つまんなくっても見なければならないのがちと辛い
    その点オズはディズニー始まって以来のタブー破り連発してましたね、
    西の魔女の描き方なんか ガキにトラウマもんではないかと心配と喜びを禁じ得ません

    ミッシェル・ウィリアムズさんの
    >「優しげな顔をした本当は性悪女」のイメージが多いんですよね。彼女が全て悪いとは言わないのだけれども、どっちも家庭が崩壊していく話であり、心の底から信用していた男たちを、奈落の底に突き落とすタイプの女性を演じているから
    ふふふふふ男子はこーゆー女子にほんとーに弱いんですよ、逆にエロ丸出しの人、ビッチな人って実はイイ人ばかりですからね、
    だから西の魔女が悲哀方面担当になっちゃうんですね

    >「オズの世界は女性の世界だったのか」
    >ディズニー映画でありながら、本当はドロドロした世界観であることよ。
    そーですよね、これは ほんとーにディズニー映画では画期的な出来事なのです
    子供だって ほんとーは大人のドロドロした匂い敏感に感じ取ってますから、今後は
    ネズミ−ランドにもこのドロドロ因果情痴アトラクション設置されることを希望します

    ミッシェル・ウィリアムズの映画参考にさせていただきます!

  4. よしはらさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。

    よしはらさんが『魔法にかけられて』好きだったなんて、すっごく意外だったんですが、さらにディズニー好きだったから浦安市民だったなんて…!
    本当ビックリしました。うちのディズニー狂いの妹が聞いたらすっごく羨ましがりそうです。
    『魔法にかけられて』もディズニーのタブー破りしてましたよね。ゴキブリ飛ばしたりネズミ出したり…夢の国に絶対出てこない人たちがちゃんと総出演するところが大好きでした!
    この作品も西の魔女とセクロスしたり、マジシャンですら無く中途半端な女好きだったり、西の魔女の変身ぷりなんかもw

    >ふふふふふ男子はこーゆー女子にほんとーに弱いんですよ、逆にエロ丸出しの人、ビッチな人って実はイイ人ばかりですからね、
    あーーーやっぱりそうですよね!男子はこの手の女に騙されますよね〜クソぉ!
    エロ丸出しの人は本当はイイ人だなんて、さすがよしはらさんは分かってるなあー。

    >子供だって ほんとーは大人のドロドロした匂い敏感に感じ取ってますから
    そうなんですよね。私も子供の頃、なんだかんだと分かってた気がします〜!

    ミッシェル・ウィリアムズに対する洞察力とか、よしはらさんの感想はビックリしてしまいました。うーんさすがだなあ〜♪

  5. 姐さん、こんばんは~♪

    おお! まさかの好評価!Σ(゚ロ゚ノ)ノ
    でも確かにこれはビジュアル面が丁寧で、本来の
    『オズの魔法使い』を観てないオイラでもかなり
    楽しめたんで納得☆
    ・・・まぁ、観ておけばもっと楽しめたのかもですが。

    「ディズニーの映像マジックを侮ってはいけない!」
    と改めて反省させられた一本でした。(^^ゞ
    モノクロの小さい画面からカラーのワイドな画面に
    変わってく所がベタだけどすっごいワクワクしました♪

    あ、『キャプテンE.O.』メチャ好きぃ!ヾ(@^▽^@)ノ
    あれはオイラにとって3D映画の最高峰です♪
    クライマックスでかかる“チェンジ・ザ・ワールド”
    って曲が結局CD化されないのが悔やまれます。
    あ~、今年は久々にTDLに行きたいな~☆

  6. ガンヘッド♪さんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    おっ、ガンヘッドさんもこれ気に入りましたか?
    おや、意外でしたか!?いやー、サム・ライミやっぱすごいなと思います!

    私も、『オズの魔法使い』の話は、子供の頃童話で読んで知ってる程度の知識でしたが、それでも十分楽しかったです。
    皆が知ってるはずのファンタジーを一から新たに面白くした!てことですもんね。
    本当、あのモノクロ映像からカラフルなオズの世界に行くところが良かったですよね〜。
    大きい花がみるみる咲いたり、ベタだけど楽しさいっぱいの世界でした♪

    わーい!ガンちゃんも、『キャプテンEO』が3Dの最高峰でしたか!私もです〜!
    あの『キャプテンEO』に近い3Dが見たいですよね!嬉しいなあ、分かってくれる人が居て。
    さすが『超立体映画 ゾンビ3D』なんていうトンデモ作品をきっかけに気があっただけあるぅー!
    それ以外の3D映画ですと自分はこれまでのところ、『ピラニア 3D』と『怪盗グルーの月泥棒』、この『オズ』辺りが好きです。『ヒックとドラゴン』も良かったなあ。
    『アバター』はお話が好きくありませんでしたので^^;

  7. とらねこさん☆こちらにも~
    女性をたぶらかしてきたオズが、魔女だらけのオズの国で女性に翻弄されるところも面白かったですねぇ~
    勧善懲悪のディズニーの正解で、実は悪い魔女も本当は可愛い女性だった・・・と言う展開も新しいのでは?
    私も最初鼻ほじほじでしたが、すっかり楽しめました!

  8. こちらにもありがとうございます〜♪
    ですよね!女の情念渦巻く世界を描いていましたよね、ドロドロとした。
    悪い魔女が実は本当の意味で邪悪なのではなく、女性の悪いところを集めた存在だったりするところが逆に唸ってしまいました。
    ちょっと早とちりだったり、思い込みが激しかったり、嫉妬深かったり、本当は純粋なのに少し馬鹿なだけで…。
    この作品て、よくよく考えると本当味わい深いな、なんて思うんです。

  9. セオドラさんは、「オズの魔法使」の悪い魔女のような容姿になるのですが、その後のその人なんですかね。水をかけられて溶けちゃうという、あまり活躍しない人なんですが。

    飛び出すギミックが多い3Dは、実写としては久し振りの上出来だと思います。

  10. こんにちは〜♪コメントありがとうございました。

    アハハ!うんうん、セオドラさんの変身した姿『オズの魔法使』での西の魔女にちゃんと見えますよね♪
    確かに西の魔女セオドラは死に際が無様でした。せっかく白雪姫の魔女よろしくリンゴを配ったり、カカシ男を火事にしたり、いろんな嫌がらせをするのに…^^;
    でも、東の魔女に比べたらまだマシですよ!エヴァノラなんて、登場と同時に家の下敷きになって死んじゃうんですもん(笑)

    バラサさんも、この作品の3Dの出来に満足されましたか!嬉しいなあ。私もこの3D、大好きでした!
    そうそう、実写映画だとなかなかここまで良く出来てるのってないですよね!
    アニメですが、『怪盗グルーの月泥棒』のギミックさが好きなんですよ。
    http://www.rezavoircats.com/2010/12/1123
    今度新作で、ミニオンのやりますよね。あれが楽しみです〜^^




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