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突然難解アニメに出会ってしまった 『きっとすべて大丈夫 ドン・ハーツフェルトのメランコリックなトリロジー』

img_main1『きっと全て大丈夫』 EVRYTHING WILL BE OK
2006年/35ミリ[デジタル版上映]/14分
サンダンス映画祭短編部門審査員大賞/ネヴァダ市映画祭最優秀賞/ アン・アーバー映画祭最優秀ナラティブ映画賞

『休憩3D』 INTERMISSION IN THE THIRD DIMENSION
2003年/35ミリ[デジタル版上映]/8分

『あなたは私の誇り』 I AM SO PROUD OF YOU
2008/35ミリ[デジタル版上映]/22分
ハンプトンズ国際映画祭「金のヒトデ」賞/ファーゴ映画祭最優秀作品賞・脚本賞/ボストン・インディペンデント映画祭審査員特別賞/ザグレブ国際アニメーション映画祭スペショル・メンション賞他

『なんて素敵な日』 IT’S SUCH A BEAUTIFUL DAY
2012/35ミリ[デジタル版上映]/23分 ファンタジア映画祭最優秀短編アニメーション賞/ザグレブ世界アニメーション映画祭ゴールデン・ザグレブ賞/オタワ国際アニメーション映画祭観客賞他



とてもとても難解なアニメ。私ごときではこの作品を解説出来る余裕は無かった。これほどまでに難解なアートアニメを見たのは、このブログでは『ペイネ 愛の世界旅行』以来。あの時も、「一体この映画を見て、私はどんな感想を抱けばいいのだろう…!」と思ったし、今回のこの作品でもまた、あまりの難しさに頭を抱えてしまった。

ドン・ハーツフェルトの哲学的アニメは、まず文が圧倒的に難しい。何故今この形容詞を、その動詞につけるのだろう?と愕然とするぐらい、文の修飾の仕方が個性的だ。シニシズムなのかユーモラスであるのか判断をつきかね頭を抱えている内に、現実に起こったことと思考遊びの間は隔てられることなく、流れるように宇宙を彷徨い流れていく。音楽的とすら言えるぐらいスラスラと心地良く進むストーリーである一方、極めて散文的であり怒涛のようなイマジネーションの爆発を前にして、一体どこに彼のテーマの核心を見出せばいいのか分からないのだった。

絵は単に一本の線で表した記号のようなもので、その動きは、アニメーションの連続性よりも、リズミカルな揺らぎを表現したいかのようだった。画面は自由に分割し、時間は歪み、プラクティカルな形さえ留めずに、幾つかに分かれたへのへのもへじ達が自由気ままに動き回る。

『きっと全て大丈夫』で描かれている中に、「日常は実は、散文的な思考の集合体である」という一文があった。その通りに描かれたアニメーションなのかもしれない。まるでヴァージニア・ウルフかマルセル・プルーストのように時は連続性を失い、思考はまた別のイマジネーションによって導かれ、グニャリとした時空の歪みを宇宙の中に再発見する。私たちのそうした思いは確実性と有限性の中でこぼれ落ちてしまい、どこにも発見出来なくなってしまうけれども、そうした中から忘れていた思考に再見したかのように、何か懐かしさを感じのだった。

 

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