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76★リアリティー

’12年、イタリア、フランス
原題:Reality
監督:マッテオ・ガローネ
製作:ドメニコ・プロカッチ
撮影監督:マルコ・オノラート
キャスト:アニエッロ・アレーナ、ロレダーナ・シミオーリ、ナンド・パオーネ、グラツィエッラ・マリーナ、ネッロ・イオリオ、ヌンツィア・スキアーノ、ロザリア・ドゥルソ



『ゴモラ』でカンヌ映画祭グランプリを得たマッテオ・ガローネ監督に、カンヌグランプリ2つ目をもたらした作品。私はこれ、相当気に入ってしまった。これが配給されないなんて、もったいない!愚かな男が描く時に、シビアな目線だったり皮肉っぽくはなく、愚かさを「同じ人間の高さの目線」で描いた作品が好きだ。いかにもシネフィル好みなテイストの作風だったり、格好つけている訳でもない、ちゃんと面白い作品なのでその辺お間違い無く!

Youtubeの動画サイト(ニコ動みたいなもの?)のオーディションを受けた男が、もしかしたら出演者になれるかもしれない、という夢を見始めた時から、どんどんと現実感が薄れていく。自意識が妙に強くなり、自分を見ている人が居れば調査員かもしれないと思い始め、自分に来た一生に一度のチャンスかもしれない、と仕事も辞めてしまう。オーディションを受けたところまでは、誰もが彼を応援し、「やっぱりカリスマな男だ」などと周りにおだてられていたのに。男はおだてに乗って、どこまでも木に登ってしまう。滑稽な男の一挙一動を見て、思わず苦笑い。でも、確かに可笑しいけれど、その滑稽さの中に、「誰もが夢を見たがっている」という事実を発見してゾッとさせる。過剰なまでに夢を見て、現実感が無くなってしまう人。彼を笑うことは出来るだろうか?って思った。「一時的」であるなら誰もが思い当たるはず。

TVのリアリティショーの調査員が見ているかもしれないと、家にあった家具を浮浪者に上げるようになると、完全に頭がおかしいのだろうか、と見ている方も怖くなってくる。家族はたまったものじゃない。妻の苦悩や、一緒に働いていた仕事の同僚など、彼を本気で気遣う人たちには哀しく心を動かされ、一方、そうした妻を支えようという周りのイタリアの大家族的気遣いには、ホロリとさせられる。イタリア人ならではの陽気さやポジティブさが結びついて、ここまでアホンダラな行動を取ってしまうのだろうか・・なんて言ったら、全イタリア人に失礼よね。

 

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コメント(2件)

  1. こんばんは。今頃すみません;

    私も本作は気に入りましたよ~。目線が私と等身大なところがいいですw
    というかカメラ目線の一般市民なところが。
    イタリアの庶民はとってもおおらかで家族を大事にしてるし結婚式も楽しいですよね。あの怪しいロボットみたいなやつ(あれはなんでしたっけ?)で投資させるなんていう考えは???でしたがw
    周囲の人間も褒めすぎというか期待させすぎですよねえ。褒め上手なところは見習いたいですけど~

    それと普通の人の人生でも、ちょっとしたきっかけでそれまでとは違う道へ流されてしまうようなスリリングさも感じたり。
    そういえば私も誰かに見られてる?って思って、ゴミのポイ捨てとかしようと思ってもと止まったりしたことあるもんなwww

    映画として物語も楽しめたし、私は特に音楽にその気にさせられたのか?wとっても楽しみましたです。
    とらねこさんとは全く会えなかったTIFFでしたが、またの機会にお会いしませう♪

  2. シャーロットさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    今頃、だなんて、私の方こそ。シャーさんより遅いUPだったんですね。私の方が先かと思ってたのに!こちらこそ、気づくの遅くてすみません。

    この作品大好きなんです、私。シャーさんと語れて嬉しいな。『インポッシブル』も見たかったんですが、これすごく人気で見れなかったんですよねえ。本当は、公開されない可能性が高かったから、TIFFで見ておきたかったんですが。残念!

    で、えーと。そうそう、目線が等身大。これ、私も全く同じことを思ったのでした。フフ。イタリアらしい大らかさも好き。
    あの怪しげなロボット。あの商売も何だったんでしょう。マトモな商売じゃないものにも手を出していたという設定でしたね。

    周囲の人も、持ち上げちゃいましたもんね。彼一人の責任じゃない部分も多少はありましたよね。そうやって少しづつ、現実からズレていく姿が、決してわざとらしく描かれてないんですよね。すごく納得のいく描写でした。

    音楽に目が行くのはシャーさんらしいですね。私は、最近だと『ハンナ』の音楽がものすごーく好きでしたが、これはシャーさんにはイマイチかしらん。


    ええ、是非是非、またの機会に。楽しみに待ってますー。年末だものー♪




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