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68★2000人の狂人(マニアック2000)

’64年、アメリカ
原題:Two Thousand Maniacs! (2000 maniacs)
監督・脚本・撮影: ハーシェル・ゴードン・ルイス
製作: デヴィッド・F・フリードマン
音楽: ラリー・ウェリントン
出演: コニー・メイソン、トーマス・ウッド、ジェフリー・アレン、ボン・ムーア、シェルビー・リビングストン、ゲイリー・ベイクマン



血の三部作(『血の祝祭日』『カラー・ミー・ブラッド・レッド』)の内の真ん中のこの作品。これ、初期のハーシェル・ゴードン・ルイスの傑作でした!まさかこんなに良くできているとは思わなかった。今まで見なくてごめんなさい。

私が一番初めに見たハーシェル・ゴードン・ルイスは、今回のシアターNのハーシェル・ゴードン・ルイス映画祭にて、『血の祝祭日』が初めて・・だと思っていたら、その前に『悪魔のかつら屋』を見ていたのです。ハーシェル・ゴードン・ルイス作品とは知らずに。今回調べて初めて分かった。それを知って大爆笑してしまった。アレか〜!とw。

映画史上初のスプラッター映画、『血の祝祭日』。その次に続くこの作品がこんなに出来がいいなんて!
『血の祝祭日』を見た人は、「ハーシェル・ゴードン・ルイスってこんなものか、やっぱりフロンティアだから、出来は期待できないのだな」と思ってしまう人も居るんじゃないか、と思ったのだけれど。
この作品は、ストーリーも良くできているし、途中のスプラッター部分が、すごく凝っているシーンもあった。一人ひとりを殺すシーンも、同じ死に方は一つとして無く、素晴らしい!私は『血の三部作』中、これがイチオシ。


ハーシェル・ゴードン・ルイスも、この作品が自分の撮った作品中、一番好きだと『ゴッドファーザー・オブ・ゴア』の中で言っていたけれど、それも納得の出来。

※ストーリー・・・
「プレザントヴァレー」という街の人達が、道に迂回路を作り、そこを通った旅人を自分たちの街に来るよう仕掛けを作ります。騙されて呼ばれた6人の北米の人達は、「100周年祭だから、主賓になってもらいたい」と言われる。その日のバーベキューに呼ばれるが、6人それぞれが別々に呼び出される。「百周年の理由」が何か気になった教師は、それを調べようとするが、その間、6人は一人づる生贄にされていた・・。それぞれが、趣向を凝らした殺し方で。

以下ネタバレ*************************************************************

まず、脚本が良く出来ているんですよね。百周年の理由を訊いても誰も教えてくれない。教師が、百周年の理由が気になると思って調べようと思ったキッカケは、「1965年の百年前というと何があったか?南北戦争が終わった年だ。それなのに何故北米の人間を主賓に据えたお祭りにするのか」という疑問が湧く。電話をかけるが繋いでもらえず、公衆電話に電話を掛けに行く。戦争に負けた彼らが復讐を誓うという石碑も見つかる。ちなみにここで「Blood vengeance」血の復讐、という言葉が出てくるのだけれど、血の三部作であるBloodの所以もきちんと説明づけられている。

彼らだけが逃げようとする理由が、きちんと無駄のない描写でカットが繋がれていて、彼らがはたして逃げ切れるのか、そこをハラハラと見守ることが出来る。いざ逃げようというその時、後の大抵の映画では、車のキーが掛からないシーンで時間を稼ぐはずなのだけれど、この作品ではそれをやらず、「小さな子供が村人が騒いでいる声を聞きたがって、別の場所に行こうとしたが、飴をあげることで彼を取り戻す。」というオリジナリティのある理由を見つけ出している!

スプラッタシーンは、ホラー・スプラッタ慣れした今の私達からすればそれほど大したことはないのかと思ったけれど、女性の指を切り落とすシーンなんかは本当に恐ろしい。森の中で、女性を口説き始め、キスをしてその後さらに発展するか・・と思ったその時に、「ところであなたの仕事は何?」という質問のところでナイフを取り出し、触ってごらんと言って指を切り落とす。さらに彼女を運んでいって、そこで手術をするからと腕を切り落とす。ここのシーンは本当に良く出来ていて、腕を切り落とし絶命した女性の顔の表情が何より上手く出来ていて素晴らしい。


彼らのフェスティバルが終わった時に、百年祭の理由が分かるんですよね。ここも良かった。まず彼らが「このプレザントヴァレーは跡形もなく消えるのだから大丈夫だ」という話をする。私は、この街(プレザントヴァレー)は受け継がれた伝統である復讐のために復活させた場所で、南部の人達に脈々と受け継がれものか、と思った。しかし、その後にあの「血の復讐を誓った石碑」が消えるシーンがある。そこでオヤ?と初めて思う、という。
また別のシーンで付け加えてもいる。警察に届け出た2人のカップルが、警察と一緒に南北戦争時に、北軍により村人全員が皆殺しされた場所だと言う。彼らがあそこまで人々を殺した理由も判明し、享楽的に殺人ショーを楽しんでいた(中には殺しを楽しんでいない人々も居た)理由がクリアになっているため、後味が決して悪くないものに仕上がっている。本当に見事な脚本でした!

ちなみに、『血の祝祭日』に出ていたコニー・メイソンとトーマス・ウッドがまたも出演。その後も、ハーシェル・ゴードン・ルイス作品ではトーマス・ウッドはちょくちょく見かけます。

 

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コメント(7件)

  1. わんばんこ~。やっぱりいったのね。。。今回のルイス祭りのラインナップ、、、ボクいかなかったんだけど、家にぜんぶビデオがあったから!! それもどうかと思いますが。。。

    ボクはナイフだらけのタルに押し込んでコロコロ転がすのがいちばん好きなのですが、ほんと傑作だよね、これ。どーみても20人くらいしか人いないのに、2000人って言い張って。

    こないだ『JUNO』をテレビで見たんだが(いまさら)、ジェーソン・ベートマンがエレン・ページを家に呼んで見せつけてたビデオがルイスで、アルジェント派のジュノと軽く口論に。でもルイスでおもろいのって、これとカツラ屋だけじゃないかと。。。

  2. 裏山さんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。

    そうなの!?ビデオで全部持ってたんだー。意外や意外!君がH.G.ルイス好きだったなんて!でも、HGルイスのドキュメンタリーは見てないでしょ?

    そうなんだよ!『JUNO』に出てくるんだよね!もっちろん覚えてるさー、ねこりん!えっとね、ジュノが、好きなホラー映画は何?って訊かれて、アルジェントって答えるの。で、ジェイソン・ベイトマンはね、アルジェントもいいけど、一番おもしろいのはハーシェルG.ルイスって答えるんだよね。で、その後ジュノがジェイソン・ベイトマンの家で、H.G.ルイス作品いろいろ見てさ、「おもしれ〜!」って開眼するの。そういうシーンが後からあったべさ。ジュノの脚本書いたディアブロ・コディはね、女性なんだけど、ホラー好きみたいでさ。このあとに書いたやつは『ジェニファーズ・ボディ』っていう変わったテイストのホラーなんだけど、みんなの評価はイマイチだったけど私は好きだったよ。彼女って、ブロガー出身の脚本家なんだよ。


    >どうみても20人しか居ないのに2000人と言い張る


    アハハw。確かに!いいの。だって、犠牲者をあちこちで殺すんだけど、会場がバラバラに分かれてたでしょ。だから全部合わせれば2000人居たんだよきっと!w


    ゴアゴアガールズも面白かったよ!悪魔のかつら屋も面白いよね!!

  3. こんばんは!
     僕はHGルイス監督の映画ってこれしか観ていませんが、結構えげつない事をやっている割に陽気な映画だったなと印象が強いです。まぁ、フェスティバルだから楽しくいかないと、というノリなんでしょうね。

     それでいてあのプレザントヴァレーの住人が何者かが分かった後には、次回の祭りはこのまた100年後だと思うともの悲しさを覚えてみたり。100年後にどういったフェスティバルが行われるのかも気になりますが、今回のイベントで見事に生還を果たした二人が逃げられなかった場合には、どのようなイベントが用意されていたのでしょうね?

     そうそう、シアターNなくなってしまうのですね。

     僕が数年前にラジニカーントの映画を観たのが確かここだったと思うのですが・・・記憶違いかな?渋谷駅から一寸外れにある小さな映画館ですよね、ここって?

     クロージング作品がパスカル・ロジェ監督の『トールマン』とのことなので、間違いなくとらねこさんはこの映画でシアターNとお別れって事になりすですね。多くの思い出を抱えつつ・・・って、この思い出の中に『モンスター・トー〇メント』も含まれているか否かは、敢えて聞かないことにします(笑)

  4. 蔵六さんへ


    こんばんは♪コメントありがとうございました。
    そうそう、次回はまた100年後なんでしょうねえ。しかし、何故6人なのかの理由はどこにも無かったな。そして、6人中2人が逃げ出したわけですが、その辺もユルくあっさり「6人中4人殺せたからいいか」みたいに納得してましたねw。そして、2人が逃げなかった場合はどうなったんでしょうw


    そうなんです、シアターNは閉館してしまうんですよ。あ、そうそう、蔵六さんがラジニカーントを見に行っていた映画館は「イメージフォーラム」ですね。蔵六さんがNに行ったのは『ホステル』だったのでは?
    トールマンはすごく楽しみです。どうでしょう?Nの閉館ですし、良ければわざわざ東京に出てきてご覧になりませんか?w。トールマン、もしかしたら名古屋に来ないかもしれませんよね?
    モンスタートーナメントは見ましたよ。今、忙しいのでなかなかUP出来てませんが、そのうちUPします。
    久しぶりにみさんも呼んでオフ会だ!朝まで飲もう〜♪私のお祝いも兼ねて(笑)。

  5. ふらり…
    「シアターN、営業やめるってよ」にざわざわするシネフィルカースト下層クラスタが集うスレはこちらですか?
    クロージングは『トールマン』とな!?
    んじゃ、例のコアチョコのパトスとのW閉館記念Tシャツ着こなして颯爽と駆けつけるかのぉwww
    元ユーロの居抜きでやっててギリだったんだろうから設備投資なんかしたら回収できないの目に見えてますよねーここで貸切状態3回くらいあったしなぁwww

    んで、HGルイスと言えばやぱしJUNOですねー
    だからあれだけ妊婦ユキはやめとけっつったのに!で、おなじみのマークがJUNOに最初に勧めたのって『血の魔術師』でしたっけ?
    いや、そこはまず本作でしょう!
    ルイスだとこれが一番まっとうで面白いんじゃないかな~多分
    死に様ヴァリエーション主義者として自信をもってお勧めできる1本ですねwww

  6. みさんへ

    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。

    シネフィルカースト下層クラスタ・・ぷぷww 確かにシアターNが無くなるの、どうでもいい映画好きは結構居そう・・ドヨーン

    お、WネームTシャツ、みさんも欲しいですか!販売は昨日から。まさか、そんなにすぐに無くなることはないだろうけれど、早めに買おうかなー。これを着てトールマンに行くとかってすごいグッジョブすぎ〜♪

    元ユーロの居抜きなんですよね。懐かしい。このブログをやり始めたのが2006年4月なんですけど、ちょうどその直前に『ホテル・ルワンダ』を元ユーロで見てるんです。・・
    で、この記事。「シアターN支配人が語る思い出深い映画11選」にホテルルワンダが。
    http://www.crank-in.net/movie/special/21083
    これで見ると、ホテルルワンダって旧ユーロじゃなくてシアターNだったのかな?

    貸切状態と言えば、私もこの間H.G.ルイスの時がお客私入れて3人でした・・。平日昼間の回ですけど。

    >最初に勧めたのって『血の魔術師』でしたっけ?

    あ、さすがの記憶力!うん、きっとディアブロ・コディはあれが好きなんですねw
    私もこれが一番好きですね。歴史初スプラッタの『血の祝祭日』の次の作品にしては、ものすごい完成度ですよね!




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