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25★マリリン・モンロー 7日間の恋

’11年、イギリス、アメリカ
原題:My Week with Marilyn
監督: サイモン・カーティス
脚本: エイドリアン・ホッジス
原作:コリン・クラーク 『同タイトル』
製作: デビッド・パーフィット、ハーベイ・ワインスタイン
製作総指揮: ジェイミー・ローレンソン、サイモン・カーティス、イバン・マクタガード、クリスティーン・ランガン、ボブ・ワインスタイン、ケリー・カーマイケル
撮影: ベン・スミサード
音楽: アレクサンドル・デプラ、コンラッド・ポープ
キャスト: ミシェル・ウィリアムズ、ケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、ドミニク・クーパー、ジュリア・オーモンド、ゾー・ワナメイカー、エマ・ワトソン、ジュディ・デンチ

マリリンは誰が演じても全く似ていない。

見る前から、それは分かっていたことだったんですよ。「マリリンを演じさせれば、誰が演ろうとも、決して似ていない。どうせ今回も似ていないだろうから、覚悟して物語を楽しもう」と思っていたのだけれど・・・。今回もやっぱり我慢なりませんでした。実は私、超のつくマリリン好き。ミシェル・ウィリアムズに対する絶賛に、全く賛同できない結果になってしまった。

でも、映画としてはソコソコ良かったと思う。何より、マリリン本人を見たことのない人が「見てみたい」、「マリリンをもっと知りたい」という気持ちになれる作品だったと思うので。マリリンの人生のある一部分しか描いていなくても、マリリンの魅力とその欠点が、一目瞭然で分かるように描かれている。この見事さ。マリリンの影の部分、魂の奥底の儚い「少女性」、こうしたものと飛ぶ鳥を落とす勢いだったマリリンの女優としての人気、これらがセットとして描かれていることには納得。だからやっぱり、この作品は充分に、マリリンの魅力が感じられるものだったとは思うの。

没後50年か・・・。随分、時間が経ってしまったんだな。私がマリリンファンになったのは、ちょうど今から20年前だから、恐ろしいほど昔ですね(苦笑)。トホホ…。当時、やはり没後30年ということで、マリリンの特集があちこちの雑誌で組まれ、私は夢中になっていろいろ集めてしまった。本もいろいろ買いまくったり。切り取った雑誌のマリリンの写真を全てコラージュにして、額縁に入れて飾ったっけ。そんな風に誰かに夢中になったのは、マリリンが最初で最後。

とにかくマリリンにはものすごく影響されてしまった。生き方も化粧法も。何が好きだったかって、やはりあの完璧な女性らしさ。あの人は地上に舞い降りた女神じゃないかと思いますね。たとえ「マリリン・モンロー」は彼女自身が作り上げた虚像、虚飾に満ちた偶像であってとしても、彼女の本当の心の美しさや純粋さのために、世界中の他の「絶世の美人」と謳われる人の、何倍も美しく思えてしまう。人間らしいものに思えてしまう。身近にきっと居たらきっと誰もが恋してしまったんじゃないかな。

マリリンと付き合ったことのある人は、彼女と居ると、自分が本当に男だと思える、自信が持てるんですって。こんなエピソードからも、彼女が女性らしい魅力を持った人なんだなあなんて思う。自分を愛してくれる人をきっと、とても大事にする人だったんだろうなと。マリリンを好きな男たちは、たぶん自分をも愛することが出来る。だから余計、愛されるマリリン。こういうのも、すごく見習わなくちゃいけないな、と思ったりもした。

それから、マリリンのあの化粧法も好き。「眼鏡やジーンズなど、女性らしくないものは全て身につけなかった」というマリリンを見習って、あんなに好きだったジーンズをやめてしまったり。デビュー前の赤毛のマリリンは、確かに可愛らしいけれど。マリリンが自らをプロデュースした「マリリン・モンロー」は、本当に完璧な美しさなのよね。ノーマ・ジーンは一体どうやってあんな風に綺麗になれたのだろう。そう考えたら、女として、やることは途方もなくいっぱいあったのですよ。その研究のために、さんざんいろいろな写真を見て時間を過ごしてしまった。あの陶器のような美しい白い肌も、内側からつるつる輝くような肌の美しさ。けして厚塗りすればいい訳ではないんですよね。口紅の塗り方も、マリリンは口角を繋げて下唇を厚めに塗るのだけれど、あの完璧な形は何なのって。自分でどんなに頑張っても、あんな風に魅力的な形にはどうしてもならないのよね・・。眉毛の描き方も化粧も、本当に一つひとつが全て美しい。「女としての気合の入れ方」が全くプロっていうんですかね。「女としてプロ」ってものがあるとしたら、自分の円熟度は、未だに全くもってマリリンに近づけていないなあ、とガッカリしてしまうのです。最近は余計、遠のいた感が無きにしも非ず・・(苦笑)。それから、マリリンの魂の裏側とも言える、暗いドロドロした憂鬱さを抱えているであろう辺りも、私はとても好きだった。あのどうしようもない男性遍歴も含め、マリリンらしさを構成するものはなんだか理解が出来る、といった有様で。洋服もそっこら中に脱ぎ散らかす、とかね。私も片づけ物が苦手になってしまったのは、若い頃にマリリンに影響を受けたせいだな。

冒頭のミシェル・ウィリアムズの歌う『ヒート・ウェイブ』には結構、感動したんですよ。遠目に見ると、とても似ていて。歌い方もとても研究したんだな、と思える、マリリンのあの甘い歌い方。でも、アップになってしまうと「あ゛ーう゛ー」って(苦笑)。マリリンは一瞬見せる表情がブスな瞬間ていうのは、全然ないのに!って。それから、マリリンは顎のラインが本当にスッとしていて、クッキリしているのよね。確か、顎と鼻は整形してたけど。人間じゃないほど美しい。

マリリン知識として、一番信用し何度も読んだ本は、アンソニー・サマーズの『マリリン・モンローの真実(上)・(下)』。これはマリリン決定版とも言える本。BBCのジャーナリストだった彼が、何年もかけて丹念に調べあげ、マリリンを知る人を徹底的にインタビューし、ジャーナリスト魂をかけた本。いろいろな人がマリリンについては語っているけれど、この本の研究の厚さにかけてはとにかくすごい。これ、単にマリリンファンである筆者の「マリリン・モンローのバイオグラフィー本」ではないんですよ。特に後半は、マリリンの死について調べるうちに、次第に当時のアメリカの政治、闇の世界についても着手してゆくくだりがすごい。実は、このアンソニー・サマーズという人は、『J・エドガー』のところでも、フーバーの伝記本を書いた人として紹介しているのと同一人物ですが、実は彼はマリリンの本の方が、全世界的なベストセラーとして有名なんですよ。この本、本当に面白いので是非読んでみてね。裸で発見され、死んだ時に受話器を持っていたマリリン。彼女は何故、死んだ時に受話器を持っていたのか?第一発見者は誰だったか?(ロバート・ケネディ)死ぬ前に、ずっと誰かに盗聴されていたと感じていて、精神科医に頻繁に通っていたマリリン。彼女について、もっと知りたいと思った人は、彼女の映画を是非見て欲しいし、この本も是非ゼヒ!オススメです。

なのでマリリンの遅刻癖とか、リー・ストラスバーグのハリウッドシステムとは相容れない、悪評高いメソッド・アクティング。マリリンの抱えるどうしようもない孤独感、などと言ったものは上の本を読んでいたので、よく知っているものが出てきたな、という感じ。上の本には、マリリンとストラスバーグの関係についても鮮明に描かれているし、マリリンを起用してしまったイギリスの演技の天才サー・ローレンス・オリヴィエの苦悩も、彼女を見て言ったヴィヴィアン・リーの一言も、ちゃんとこの本を読んで知っていた。というか、ヴィヴィアン・リーが言ったとされる一言をジュリア・オーモンドが言ったので、「あれ!?このオバサンが、ヴィヴィアン・リーの役なの!?」キー!!って感じでしたよw。

 

※ストーリー・・・
マリリン・モンローは、ローレンス・オリヴィエと共演する『王子と踊子』の撮影をしていた。しかし、演技法の相違が原因で、ふたりの間には軋轢が生じてしまう。そんな中、マリリンは、お目付け役で現場に来た第三助監督のコリンと徐々に親密になっていく・・・

マリリン 7日間の恋@ぴあ映画生活

 

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コメント(10件)

  1. あ、マリリンって遅刻癖があったんだ。とらねこどんもよく遅刻してくるけどそれもマリリンの影響なのかな?
    こないだU山さんとあなたを待ちわびてる間、「あの人、いつも遅れてくるよね」「きっと宮本武蔵なんだよ」と、そんな会話を交わしておりましたよ…

  2. SGA屋伍一さんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    あー、確かに遅刻癖もマリリンの影響に違いないな(笑)。でも、最近の私はそんなに遅刻してなくない?マリリンは、「マリリン・モンロー」になるために時間が必要だったのよ。気分を乗せてかないとマリリンにはなれないわけ。私も「とらねこ」になるのに時間が・・^^;
    宮本武蔵って・・ひどい(泣)。巌流島の戦いに2時間遅刻したとか。。←ググった

  3. 遅刻、、、先に書かれた。。。

    アンソニーサマーズのうちにあった。『マリリンはブロンドではなかった。後年になっても性毛もヘアドレッサーが毎日漂白していたことがわかった。』ってとこに赤線ひいてあった。

    ボクのベスト5。5位『お熱いのがお好き』 4位『ノックは無用』 3位『帰らざる河』 2位『ナイアガラ』 1位『荒馬と女』

  4. 裏山さんへ

    こんにちは~♪コメントありがとうございました!
    そんなに遅刻キャラだったー??私。結構ちゃんと時間に現れてると思うけどなあ。
    アンソニー・サマーズ持ってたか!この間の「エドガー・フーバー」も読み終わったかな?マリリン本の方が面白くない?
    私もマリリンが性毛もブロンドにしてたって覚えてる!髪は後年かなりバリバリだったよね・・。性毛(ry

    私のベスト5・・えー、選べない!結構、マリリンが出てれば何でも面白いなーという感想。君のベストも、「荒馬と女」以外は全部好き好き!
    でも、一応・・『お熱いのがお好き』『恋をしましょう』『七年目の浮気』『帰らざる河』『ショウほど素敵な商売はない』『紳士は金髪がお好き』『イブのすべて』。でも『ノックは無用』も『ナイアガラ』も好きー。

  5. 冒頭のミシェルが唄う“ヒート・ウェイブ”に、お!おぉ!となりましたが
    たぶん、マリリンとして見たのはそこだけかもです(笑)
    ドラマはそこそこ中の上としても、マリリン・モンロー役としてみると
    首から上はアウト!でした^^;
    ワタクシ、化粧の用語は知りませんがミシェルがまぶたのところを白色ラインで塗ってたのは
    本人と骨格形成の違いをカバーするための手段だったのかな~と思ってますが
    本人もこんな化粧法だったのかな~。
    しかし、もうこんな女優は地球上に表れないのでしょうね。悲しいです。
    あのヴィヴィアン・リーはサプライズでしたよね(苦笑)


  6. Itukaさんへ

    こんにちは~♪コメントありがとうございました。
    お、ヒート・ウェイブはなかなかよかったですよね~。首から上はアウトでしたか・・私は、首から下もチト・・。似せるようにブラやコルセットなどで工夫してるだろうとは予想するのですが。アーサー・ミラーと一緒にイギリスにやって来た時のあの薄いブルーグレーのドレスを見ても、「うーん、マリリンとは体型が違うなー」って。

     目の辺りを白入れるのは、確かに骨格を、彫りが深く見せるためのテクニックではありますyo!Itukaさん、鋭いっ。マリリンはさらに白ばかりじゃなく、シャドウとノーズシャドウをとても上手に引いていたりします。嫌味がないさりげなさで。
    マリリンの真似をして、当時全く流行ってなかったつけまつげを、買うためにあちこち探しました・・w。真っ赤な口紅とかも毎日してましたね。10代で憧れたので、悲しいぐらい似合ってなかったと思うんですけど(爆

    >もうこんな女優は地球上に表れないのでしょうね。
    本当に・・・。

  7. こんばんは。
    いま外出先からですが、もーう読んだからにはコメントせずにはおられないなぜならマリリンファンだからっ! 我が家はマリリンブログですからっ!(笑)

    あ、伍一つぁんも書いてる…。

    熱い想い、ありがとうございます!
    いろいろと、よくわかります。
    化粧の仕方も独特のものを持っていたのでしょうね。
    いま読んでる本でも、スーザン・ストラスバーグに化粧法を教授しているところとか出てきてます。

    私はこの映画、OKです。なんとなくでも似ていたら、もうけもの! と言いますか、あれ以上、外見も内面も研究して(にわか仕込みだとしても)演じてくれる女優さんは滅多にいないでしょう。と思います。
    ヴィヴィアンとか、ほかキャラは、もう、どうでもいい…(笑)

    私は無理やりにでも、ベスト作品は選べません。。。全部ベスト1ですから~!
    あとでTBいたしますね!

     

  8. ボーさんへ

    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    マリリン大大大ファンのボーさん、私の記事がお気に召されなかったらどうしよう、と思って、訪問するのに恐れをなしていたところでした^^;
    ふー、ちょっとほっとしてたりして・・。

    マリリンの化粧法は、本当に独特だなーと思います。やはり、ボーさんがお読みになった本でも、マリリンがスーザン・ストラスバーグに化粧法を教える、描写が出てくるんですね。マリリンは、自己プロデュースのプロですよね。化粧法も、初めはメイクさんに教わっていましたが、メイクさんよりずっと上手になっちゃう。

    ふむふむ。私からすると、ボーさんは誰よりもかなわないぐらいのマリリンファンで、逆にマリリンの顔が誰にも似ていないのは、とうにご存知のことだから、そんなことをハナから期待してもいないし、そういったことは凌駕してしまっているのだと思います。私は修行が足りないですね(笑)




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