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20★誰も知らない基地のこと

’10年、イタリア
原題:Standing Army
監督: エンリコ・パレンティ、トーマス・ファツィ
撮影: エンリコ・パレンティ
音楽: ステファノ・ピロ
キャスト: ゴア・ビダル、ノーム・チョムスキー、チャルマーズ・ジョンソン

世界中にあるアメリカの軍事複合体、multiple industrial complexについて。日本の普天間基地問題ばかりではなく、世界から見た視点。



普天間基地については、日本人として注目すべき、いやしなければならない議題だ。しかし原発や東電の問題が日毎クローズアップされ、このニュースに隠れてウヤムヤになってしまうのではないかという危惧がある。こんな時期にこうした、問題提起性のある優れたドキュメンタリーが公開されることを心強く思う。さすがはイメージフォーラム。ありがとう!

イタリア発のこのドキュメンタリーは、‘07年にヴィチェンツァで起こった基地開設の反対運動をきっかけに作られたという。市民の85%が反対投票をしたにも関わらず、イタリア政府はこれを無視。基地開設を推し進めてしまい、2012年つまり今年に開設予定となっている。「そもそもアメリカーイタリア間で1956年に結ばれた協定の内容が、一般に公開されていないことこそが問題だ」と、この若手監督は言う。

アメリカは世界40カ国に700箇所もの米軍基地を持つ。しかしアメリカ国内にはどこの国の基地も持っていないのが現実だ。‘09年にオバマが大統領に当選し、世界中の人々の期待を集め、ノーベル平和賞に当選すらした。人々が喜んだのも束の間、オバマ政権が発表した軍事予算は6,800億ドル。ブッシュ政権より300億ドルも多い。経済的に厳しいアメリカは、他の全ての予算を切り詰め削減する一方で、軍事費だけはこれほどまでに多い。アメリカは一体何故、こうしたことを続けるのか?

米国の思想家ノーム・チョムスキーや、国際政治学者のチャルマーズ・ジョンソンにインタビューを加えた、このドキュメンタリーのメッセージは非常に力強く分かりやすい。事実のみをタイトに並べた74分だ。「世界史上で見れば、現在のアメリカは帝国主義であるのは明白だ」という。「ローマ帝国同様に。」

私は外国人特派員協会で行われた、監督のティーチインつきの上映会で見た。一人の高齢のアメリカ人報道関係者は、「これは一方的な見方で、バイアスがかかっているものだ。」と批判を加えた。監督はそれに答えて曰く、「バイアスは当然どのドキュメンタリーにも存在する。この映画も同様だ」という。「政府側の見解は、日々TV、新聞のニュースで目にすることは出来る。人々はそれらに触れる機会は多い。しかし、政府側の意見でないものを、目にする機会は少ない。だからこそ、この作品を作ったので見て欲しい」と言う。

このドキュメンタリーは世界中の基地問題に目を向けているが、日本人から見ると、普天間基地問題に関しては正直、物足りなさを感じる。監督曰く、日本の普天間基地問題だけを取り上げるなら、これは最も重要なものであるから、10個ぐらいのドキュメンタリーが軽々と出来てしまう、とか。だが私同様、不勉強でもっと良く知りたいと思った方は是非、改めて以下のURLを参照して欲しい。

参照リンク

 

※ストーリー・・・
沖縄返還から40年を迎える2012年になっても、なぜ米軍基地がなくならないのか。2007年にイタリアで起こった基地拡大への反対運動をきっかけに、イタリアのビチェンツァや沖縄の普天間などを取材し、増え続ける基地の秘密に迫ったドキュメンタリー。基地の騒音や兵士が起こす事故に苦しむ住民と、専門家への取材で真実が明らかになっていく・・・

誰も知らない基地のこと@ぴあ映画生活

 

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