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9★テトロ 過去を殺した男

’09年、アメリカ、イタリア、スペイン、アルゼンチン合作
原題:Tetro
監督・脚本・製作: フランシス・フォード・コッポラ
製作総指揮: アナヒド・ナザリアン、フレッド・ルース
撮影: ミハイ・マライメア・Jr.
音楽: オスバルド・ゴリホフ
キャスト: ビンセント・ギャロ、アルデン・エーレンライク、マリベル・ベルドゥ、クラウス・マリア・ブランダウアー、カルメン・マウラ



モノクロのスタイリッシュな画面が、何とも印象的。見ていて「おおお!」と思わず腰を引いてしまうほど、「眺めるに足る」素敵映像だったのでした。ホクホク。

物語は、弟が懐かしの兄をわざわざ訪ねて来たところから始まる。とても感動的な手紙をくれた、自分を可愛がってくれた兄だったのに、再会してみたら、全くもって素っ気ない。思い描いていた兄とは別人のようだった。そこから、兄を変えてしまった、過去の物語を探り始める・・・。

フランシス・フォード・コッポラ、また別の移民の物語というべきか。とてもアメリカの映画ではあり得ないような、優れてヨーロッパ的な映像に浸る。しかし思い起こせば、兄・父子葛藤は、アメリカはハリウッドの’50年代以降の、王道的ストーリーだったのだと思い至る。それこそ、『エデンの東』のジェームズ・ディーンを思い出したり。

イタリア風の気っぷの良さ、イイ女っぷりを見せる、健気なマリベル・ベルドゥといい、見ていて惚れ惚れする映像といい、人によっては至福の時間を過ごすことになりそう。まるで現代の最新の作品とは思えないような、懐かしいフラッシュバックを起こすこともあるかも。特に、ラストの1シーンのさりげないカッコ良さは、思わずグッとくる。カメラに向かって車のフラッシュライトが眩しく照り光るハロやグレアをバシバシと光らせる中、かろうじて分かち合えた家族の絆。父子葛藤を描いて来たアメリカ映画の歴史を思わず感じさせるラストの感動的な1シーン。

ただ、物語重視をするタイプの人にとっては、映像のスタイリッシュさと全体的重々しさが、釣り合いが取れないようにも感じることもあるかも。映像とストーリーの比重が、8:2ぐらいというか。こうした作品に慣れない人が突然この物語を見ても、先程私がラストシーンに関して付け加えたような感動は、得られないかもしれない。なんて偉そうなことを言ってしまったけれど、実際私も先月この映画を見たことすら忘れていたぐらいで、全く人の事は言えない。タイトルを見て、「あれ?ストーリーはどんなのだったっけ」と自分の頭の中の印象を引っ張り出してようやく、この記事を書いているぐらいだから。

 

※ストーリー・・・
長きにわたり音信不通であった兄アンジー。その兄がブエノスアイレスにいることを知ったベニーはNYから兄の家を訪ねる。しかし、再会した兄は過去や家族の存在を隠して生きていた。そして、ある時、ベニーは、兄の持ち物から家族の物語を見つけ・・・

テトロ 過去を殺した男@ぴあ映画生活

 

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