サラの鍵 #81
- 2011年12月25日 19:31
- 映画:ヒューマンドラマ
- クリスティン・スコット・トーマス, ナチスモノ, フランス映画
’10年、フランス
原題:Elle s’appelait Sarah
監督:ジル・パケ=ブレネール
原作:タチアナ・ド・ロネ
脚本:ジル・パケ=ブレネール、セルジュ・ジョンクール
キャスト:クリスティン・スコット・トーマス、メリュシーヌ・マイヤンス、ニエル・アレストラップ、エイダン・クイン
今年の終わりに出会った、素晴らしい作品。これは見応えあり。
どっしりと重量感のあるテーマに、暗い歴史が影を刺す。が一方で、命の重みと最後に残った希望がほんのりと輝く。
これは是非とも見て欲しい作品!こちらも『ミケランジェロの暗号』同様にナチスものでありながら、型にはまらない素晴らしい傑作でした。
ナチスものを描きながら、単にショッキングな歴史的出来事を描くのではないんですよね。むしろ現在の我々との接点とを、積極的に結びつけていくストーリーテリング。サラの持っていた鍵、そしてアパートの一角の扉は、パンドラの箱のよう。自分たちの全く与り知らない、過去の過ちであるばかりではなく、突然リアルな姿で立ち上ってくるところが、まず見事だ。
現在に生きるジュリアと並行して、第二次世界大戦に起こったフランスの黒歴史を描いていく。ナチスがその勢力をどんどん広げる真っ只中、フランス警察に捉えられる、何万人ものユダヤ人達。ヴェルディヴ事件だ。そこで起こってしまったとある一人のフランスの少女の悲劇が、交錯してゆく。恐ろしいながらも、固く閉ざされた秘密を紐解きたくなる楽しみもあり、物語が進むのに全く退屈さを感じさせない。
ジュリアが少女の行く末をとことん追求していくのに、彼女の母としての本能をも感じさせるところがまた、この作品の持つ陰影を幾重にも感じさせる。ずっと欲しかった子供がようやく授かったというのに、夫からは堕胎を勧められてしまう。人一人の命の重みというものについても。精一杯生きたサラという女性の足跡を辿りながら、彼女がどんな思いで日々生きたのだろう、幸せであったといいのだが…、いつしか祈るような気持ちになってしまった。おそらくジュリアも、サラには女性としての共感が芽生えていたのだと思う。不思議な共感覚と、目に見えない縁。
自分たちが一時この世に生を受け、精一杯生きて繋いでいく、命というもの。新しく生まれる命に対して、そんな風に尊い存在に感じさせるところがまた見事で、思わず口に出せない深い感動を与えさせられた。
一人の女性の波瀾万丈の秘密の生の物語、というと、『灼熱の魂』もまたそうではあったけれど、私は断然こちらの方に軍配を上げてしまう。
※ストーリー・・・
ジャーナリストのジュリアは、1942年フランスのヴェルディヴで起きたユダヤ人迫害事件を取材するうちに、あるユダヤ人家族の悲劇、自分の弟を守るために弟を納戸に隠した長女サラの秘密を知る。しかもその家はジュリアが現在住んでいるアパートだった・・・
・サラの鍵@ぴあ映画生活