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恋の罪 #78

’11年、日本
監督/脚本:園子温
製作:鳥羽乾二郎、大月俊倫
プロデューサー:千葉善紀、飯塚信弘
撮影:谷川創平
キャスト:水野美紀、冨樫真、神楽坂恵、児嶋一哉、二階堂智、小林竜樹、五辻真吾、深水元基、町田マリー、岩松了、大方斐紗子、津田寛治

 

惜しい!せっかくだから、渋谷円山町にある劇場で見たかったなあ!(円山町にある映画館は、ユーロスペース、シネマヴェーラ、オーディトリウム渋谷のいずれか。)



東電OL殺人事件からインスパイアされ作られた、と言われている今作、これ見たかったんですよね。渋谷円山町というあの世界観がまるごと切り取られているかのような、自分の知らない触れてはいけない世界のような。とにかくヤバい世界観。それらが思いきり全面に出ていて、見ていて心がザワザワ、落ち着きがなくなった。

堕ちていく女の救いようもない性、っていう、見ざるを得ないようなテーマを持ってきて、ここまで面白く描けるところが本当にすごい。特に物語の全貌が見えない前半には全く非のつけようもなく、どんどん惹かれていくばかりだった。どうしてこんなに女の気持ちが分かるんだろう?

東電OL殺人事件、この事件はなんだか忘れられなくて、心の奥底に残っていた。今年の311が起こって以来、ふと思い出したのがまず、この「東電OL殺人事件」だった、というぐらい、強烈にインパクトのある話題だった。エリートOLが売春をしていた、というこのギャップが余計に心の闇のドス黒さを強調しているかのようで、なんだか恐ろしい気がしたんだろうな、などと思う。ただ実際には、映画では「東電OL」がそのまま出てくるわけではない。今となっては悪名高きあの名前が出てこないのは、この映画の魅力もちょっぴり半減なんだけどなー。(買収されてる?いや違うかw)

対比として描かれている他の2人の女の存在があるから、女たちの闇の濃さにグラデーションが出来、面白い。作家の妻であるいずみは、かいがいしい新妻。まるで汚れを知らない理想の奥様がふと落ちた心の闇から、だんだん引き返しがつかなくなっていく様が描かれる。それからもう一人は、事件の取り調べをする刑事の和子。刑事でありながら、彼女が女の闇をどこか共有することが出来る。なぜなら、亭主に隠れて浮気をし、かつ実生活に置いてそれを隠しておくことが出来るズルさを持っているから。日々そうした自分の堕落について自覚をしつつ、その危ういバランスで生きているからだ。

それにしても、円山町があの時代に持っていた底知れない不気味さを、よく捉えていたと思う。あの辺り、歩いているだけで怖かったもんな・・。来てはいけないところに来てしまったかのような気がしたもの。しかもあの辺りって、グルっと迷路のようになっていて、ラブホテルは金土になるとすごく混んで、なかなか入れなくてグルグル回っちゃったりするよね。

美津子が使っていたのは、廃墟のようなアパート、という設定になっているけれど、あれって神社がちょうどある辺りの角のところじゃない?廃墟じゃなくて、神社を代わりに使っていたことにすればもっとバチ当たりな感じがして良かったんだけどなあ、なんて思うんだけど、ビッチ発言すぎるかしら。

あと、役者陣の素晴らしさのおかげで、存分にこの映画の面白さを堪能することが出来た。それが特に素晴らしいな。神楽坂恵、冨樫真、水野美紀、三人の女優さんたちが全員、裸になるのも厭わず、体当たりしているからまた、この映画の面白さに輪をかけている。きっとおっぱいの大きい神楽坂恵が一番の功労者、って言われちゃうんだろうけど、私としては、地獄のドス黒さを感じさせる冨樫真の迫真の演技がなかったら、この作品は成立しなかった、と思うな。水野美紀の、他の二人に比べればなんとなくマトモさを感じさせるところも、バランスが良いし。うん、素晴らしかった!

ただ正直、ラストにかけての冗長な部分が少し気になったかな。犯人と殺人幇助をすることになる意外な人物、結末が見えた後の描写とか。あと、テーマの深い部分に触れる代わりに、わざとその深さをボカし漫画っぽくしたせいで、せっかくの前半の勢いや謎の部分が、どこかの脇に追いやられてしまう気がする。台詞の繰り返しも多すぎて稚拙に思える。こういうの要らないんだよなあ。

いずれにせよ、園子温は無視できない存在となった。私以外の人にとってはもう、とっくにそうだったかもしれないけれど。遅いデビューでごめんなさい。『ヒミズ』(原作・古谷実)を映画化するメガホンを撮るとなると、もう居ても立ってもいられない。私はあの原作が大好きなんですよね。『ヒミズ』公開される前に、園子温作品の復習をコツコツ始めなくっちゃー。

 

※ストーリー・・・

刑事の和子は、渋谷区の廃虚と化したアパートで発見された女性の惨殺死体の事件を担当することに。その事件には、ベストセラー作家の夫を持つ専業主婦のいずみ、表向きは大学の助教授で裏では売春婦という二面性を持つ美津子という女性が絡んでいて

恋の罪@ぴあ映画生活

 

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コメント(3件)

  1. ミタんですね。この作品。おんなが堕ちいていく加速度感はリアルなものがありました。女優さんの扱い方がうまいのかどんどんと身に付けているものを脱いでいく三人の女優たちの共演が見事でした。女性にもたくさん見て欲しいですね。

  2. 朱色会さんへ

    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    見ましたー!これ気になってたんですよ。まず、あの時代の裏の世界のヤバさ、を感じさせるところが抜群に良いですね。
    本当皆さん良く脱いでましたよね。園子温は監督として、女優の心を掌握しているのでしょうね。




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