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モスクワ・エレジー #59

’86年、ソヴィエト
原題:MOSCOW ELEGY
監督・脚本・撮影:アレクサンドル・ソクーロフ
音楽:ロストロポーヴィチ

 

この人物は・・!そう、これってタルコフスキーのドキュメンタリーなのです。ソクーロフによる、タルコのドキュメンタリー。これを見逃す手はなーい。『ノスタルジア』 と『サクリファイス』の時のメイキング映像が含まれているのでした。なんか胸がアツくなるな。おおっ、この部屋は!この鏡は!この壁は!つって、のけぞります。オレグ・ヤンコフスキーがカッコ良くて、もうもう。ジュード・ロウをもう少し美形にして、ロシアの苦悩をトッピングすれば、こんな容貌になるのかしらん。

ソクーロフが差し挟んだナレーションもちょっと面白い。「タルコフスキー。アンドレイ・タルコフスキー。話し方やしぐさが、人を惹きつける。容貌も魅力的だ。」とか言ってて、完全に愛なんですけど!などと心の中でツッコミを入れたくなる。『ノスタルジア』の撮影時から始まる。

イタリアの脚本家がタルコフスキーに向かって詩を書いた。イタリア語だけれど、君だったらきっと何かを感じてくれるんじゃないか?と言いながら語りかける。 「家」についての詩だ。「家は素晴らしい場所だ。家に居るのはとても楽で、そこから一歩も外へ出ていきたくなくなる。家は鳥かごである。」とかいう詩。タルコは「いいね!」みたいな感じだった。

『サクリファイス』の頃のタルコフスキー。この時、本当は病を患っていたという。ソクーロフ曰く、「皆(撮影クルー、俳優など)に尊敬され、彼のする一挙一動に、そこにいた全員が気を配っているのが分かる。彼の言うことを聞き、一分一秒を無駄にしないようにしようとしている。」とても理想的な撮影環境のようだ。

そのタルコフスキーは、映像の中でこう語る。「見た後や読んだ後の自分に、変化が訪れる、それを見る前と見た後ではもう変わっている。真の芸術とはそういった類のもの」、という。「映画は真剣に取り組むべきもの。おそろしく真剣なものだ」。

『イリイッチの逍遙』という、この時より 20年前にタルコフスキーが出演している映画のシーンが挟まれる。タルコは、「真面目な議論」の合間に「カブについて議論してみろ」と言って女の子にバシーンと叩かれてしまう役だった。タルコフスキーは、喉頭ガンで亡くなる。タルコ夫人、二人の息子が葬式に参列する。パリ8区のロシア正教会で行われた。 最後に林の此方側から、草原を行く人影を後ろから映す。カメラは林の中へと後退ってゆく。文句なしのラスト。こういう一瞬がさすがだな、と思う。タルコフスキー『ノスタルジア』の1シーンを思い出す。心惹かれるラスト。

 

モスクワ・エレジー@ぴあ映画生活

 

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