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ザ・タウン #17

’10年、アメリカ
監督:ベン・アフレック
製作:グレアム・キング、ベイジル・イバニク
製作総指揮:デビッド・クロケット
原作:チャック・ホーガン 『強盗こそ、われらが宿命』
脚本:ピーター・クレイグ、アーロン・ストッカード、ベン・アフレック撮影:ロバート・エルスウィット
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、デビッド・バックリー

ベン・アフレック  : ハリー
レベッカ・ホール  : クレア
ジェレミー・レナー : ジェム
ジョン・ハム       : FBI捜査官フローリー
ブレイク・ライブリー   : クリスタ
ピート・ポスルスウェイト : ファーギー
クリス・クーパー     : ビッグ・マック
タイタス・ウェリバー   : ディノ

ベン・アフレックが監督・脚本・主演の3つをコナした本作。監督作としては2本目。
前作の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』同様、舞台はボストン。骨太のクライム・サスペンスにノワール的な濃厚さを感じさせながら、全体的にメランコリックで、甘めのトーンを感じさせる。私は大満足だった。何より、抜けるに抜けれない泥沼的な環境から、主人公が懸命に這い上がろうとする物語、この手の話はいつも好きだから。主人公は、悪者ではあっても共感出来るタイプで、自分なりに筋道の通った正義漢だとか、男気溢れる愛すべき奴だとなおいい。さらにプロットが複雑だったり、後からその台詞だけで二度楽しめるタイプの作品だとパーフェクト。

全米一、銀行強盗事件が多いというボストンのチャールズタウン。ダグは元はアメフトの有能な選手だったこともあったが、現在は家業の銀行強盗を継いだ悪党。だが心優しき人物だ。褒められないような出会い方でクレアに出会い、恋をして、足を洗うことを目指す。彼女の方はダグの本来の姿を知らないまま。

私たちは、彼の本性がバレやしないかとヒヤヒヤしながら、同時にクレアの身に何か起こりはしないかと案じる。クレアと彼が親しくすることにより、彼女自身の身は危険に晒されるのか、そうでないのかが見えないままだから。さらに、さらに二人の関係性がどう変化していくのかも楽しみに見ることができる。心配事が山積みのまま進み少しも飽きさせない、とても上手な語り口。よくぞこうして上手に観客の心を揺らしながら進み、クライマックスでまた激しく揺るがすことが出来るものだなあ、と感心した。

しかしこの物語は、ディープなアメリカの裏側を描いたが故に、人によってはリアリティを感じることが出来ず、入り込めなかったと聞く。人の心に長い間働きかける情動というのは、それが長ければ単に飽きてしまう人もいるのかもしれない。
ところで、カーチェイスのシーンはカメラをだいぶ下の方から映していたけれど、あんな風に撮ると迫力が増すのだなあ。思わず『頭文字D』を思い出した。 HPを見ると、「イーストウッドの継承者」、みたいな扱われ方をしているけれど、まだ2作目だしちょっと早い気もする。とは言え、私はとても感動した。懐かしいような古典的な匂いのする、良く出来たノワールサスペンス。

役者は、ジェレミー・レナーがとにかく最高!あとピート・ポスルスウェイトの遺作に当たる。それと、ブレイク・ライブリーを『旅するジーンズと16歳の夏』以来久しぶりに見れた!なんて。

ベン・アフレックの監督作は『ゴーン・ベイビー・ゴーン』に続き2本目ではあるけれど、彼はこれまでも脚本を書いたり、製作を手掛けてもいる。特に私が好きなのは、彼がマット・デイモンと一緒に脚本を書き、俳優としてハリウッド進出をすることになった『グッド・ウィル・ハンティング』だ。ガス・ヴァ ン・サントのメジャー進出1作目の作品。私はこれをリアルタイムで見て、さらに何度も見返している。

この『グッド・ウィル・ハンティング』のクライマックス部分を覚えている人がいるだろうか?数学の天才である主役のウィル(マット・デイモン)は、その並外れた頭脳にも関わらず、自分の将来など省みない。これまでもずっと陽の当たらない場所で生きてきたし、彼の価値観には確固としたものがあって、エリートに特に憧れを持ってなどいないからだ。その代わり才能を浪費することに慣れてしまい、ただいたずらに昔の仲間と馬鹿をしてつるんでいるばかり。
そのウィルに向かって、親友チャッキーを演じるベン・アフレックが、彼の背中を押す。「いつまでもこの仕事(現場の解体工事)をやっていたいだって?〜(中略)〜・・・俺の夢を言おうか?朝迎えに行った時、お前は忽然と姿を消している。お前がいつかこの街からいなくなることを、俺は望んでいるんだ。」ウィルはこの言葉を聞いた翌日にフッと姿を消す。

このシーンを思い出した。この作品はちょうど、チャッキーのその後の物語みたいじゃないか?ウィルが去った後の、脇役だった凡人チャッキーの話。

※ストーリー・・・
父親同様、強盗稼業で生計を立てるダグは、仲間と共に押し入った銀行の支店長・クレアが街の住人だと知り、彼女が何も見ていないことを確認するため偶然を装って近づく。しかし、クレアを愛してしまったダグは・・・・

ザ・タウン@ぴあ映画生活

 

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コメント(15件)

  1. とらねこさん、こんにちは。
    これ私も見ましたよ。
    スピード感もあって迫力もあったし面白かったですよね。
    ゴーン・ベイビー・ゴーンは見た事ないので、
    評判もいいし、そのうち見たいなぁと思ってます。
    俳優としての彼にはいまいち興味がわかないのですが
    これからどんな作品を作っていってくれるのか気になりますね!

  2. あすかさんへ

    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    今、アカデミー賞が終わったところですw
    監督2作目で、こんなに作風が安定してるなんて、驚いてしまいました。
    ゴーン・ベイビー・ゴーンは、結構評判が高いんですけど、私は
    少し説明が下手なように思えてしまいましたが、
    こちらの作品は見事だったように思います!
    私も正直、俳優としてはマット・デイモンの方が好きですねw。

  3. こんばんは!
    私もこの映画観ました~。
    引き込まれて大満足作品です。
    けど、どうしてもクレアが理解できないわ。
    もし、自分が同じ体験をしたら、、、即引っ越ししたいし、
    使っちゃうの??? 

    あのおじさま、これが遺作なんですね。知らなかった。
    それからーーーー!
    ブレイク・ライブリーって「ゴシップガール」しか私は観てない。と思ってたんだけれど、あの「旅するジーンズと16歳の夏」!!!
    そうだった。
    あの背の高い女の子だ!
    ありがとう~、教えてくれて。今、大興奮中。

  4. イーストウッドに通じる物はあるけど、まだ7,80年代のイーストウッドって感じかなあ。
    まだ人物造形とかは甘さを感じます。
    まあイーストウッドも昔から熱烈なファンは多かったものの、巨匠と呼ばれる様になったのは、90年代からだったので、アフレックにはまだまだ時間はありますね。
    このままボストンにこだわった映画作りをしてほしいなあ。

  5. AnneMarieさんへ

    こんにちは~♪コメントありがとうございました。
    クレアは確かに迂闊だなあ、と思える部分がありますよね。
    銀行の支店長の割にw。彼女は、男から見た理想の女性に
    描かれているのかなあ、なんて。
    なんだか、男性監督の陥りがちなことですね。どの人も、
    初期の作品においては女性の描き方が足りないか、理想化しているか、
    もしくは全く描かないか(笑)みたいな。

    そーなんです、ピート・ポスルスウェイト、別名「コバヤシ」(笑)
    私顔を覚えてからずっと亡くなるまで、コバヤシって呼んでたw
    ブレイク・ライブリー!そうなんです、『旅するジーンズ~』でサッカーの
    上手い女の子を演じた綺麗な子♪あの時は、『ベッカムに恋して』の
    キーラ・ナイトレイよりずっと、運動神経が良さそうに思えましたよね~!

  6. ノラネコさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    さすがにイーストウッドとこうやって並べて「バトンタッチ」みたいにされちゃうと、
    注目する人は出る一方、文句も出ちゃうんじゃないか、っていう売り方でしたよね。
    まだ2作目でイーストウッド呼ばわりは早いですよね・・。
    自分は、映画を見た後でHPを見て、驚いてしまいました。
    でも私好きです♪
    ベンはこのままボストンにこだわるのかもしれませんね。




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