rss twitter fb hatena gplus

*

■11. 渇き

渇き’09年、韓国、アメリカ
原題:Bak-Jwi
監督:パク・チャヌク
製作:アン・スヒョン、パク・チャヌク
脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
撮影:チョン・ジョンフン
音楽:チョ・ヨンウク


ソン・ガンホ  サンヒョン
キム・オクビン  テジュ
シン・ハギュン  ガンウ
キム・ヘスク  ラ夫人
パク・イヌァン  車椅子の老神父


パク・チャヌクがバンパイアを描く!?しかも、ラブシーンたっぷりの予告。
それも(イケメンではない)ソン・ガンホのラブシーン・・・うーむ。ソン・ガンホは面白い俳優だけど、ラブシーンが見たいか?って言ったら、別にそこは別に要らないんだけどネ、なんて、苦笑いしながら挑んだこの作品。

でこちら、やっぱり期待にそぐわない、とても面白い作品だった。ただ、一部の人にしか喜ばない感じは、どこかしらあるかな・・・なんて思いきやこの作品、ちょーっと待ったあ!カンヌの審査員賞を受賞してしまっている!よぉーしっ、パク・チャヌクの新時代、来たり!なんて喜んだよ私。

初めは、信仰について描いたのかと思った。神父という職業を選んだ者が、まるで十字架に背くかのような、血に飢えたバンパイアという姿に身を落としてしまう。
それもまるで、キリストの復活をチラと思い出させるようなやり方で。
うわーっ、その切口で来るのか、パク・チャヌク!今回ちょっと、手に余るカナ・・・と、思ったのも束の間。
やはりどんなものを描いても、高尚過ぎたりはしないのでした。もちろん、全く退屈しない。

狂おしいまでにエロチックで、血にまみれたこの世界を、
どっぷり堪能した。

欲望というあの、頭の中を空っぽにさせ、そのことしか頭になくなってしまう、あの感じが、
何て見事に描かれているのだろう!

人間社会というものから背徳の道を選んだ、二人のカップルの姿がそこにあった。

私は、愛を等身大に描いた作品だ、と思ったよ。
愛という地獄に落ちた、二人の姿を描いたものだ、と。
その喜びも苦しみも、葛藤も全て。

愛、と一口に言ってしまっていいのかな?いや、違うかもしれない。
それこそ、”渇き”と言い換えられるかもしれない。
だって、”愛”って言葉は美しすぎる。欲望、というとまだ弱い、”渇き”って言葉はまるでぴったりだ!

この煉獄に落ちたことはある?
そんな人には、この映画はよく分かるかもしれない。
まるで自分の思いを意に介さないかのように、相手とはスレ違うばかり。

そしてこの映画にはまるで、男と女の違いすら描かれているように、私には思えてしまったのだ。
女の方がより業が深く、コントロール不可能で、彼女のせいでどんどん罪が深くなってしまう。
相手を思ってもスレ違ってばかりで、まるで違う惑星同士かのように、
共存するのが難しい存在。
それが、男と女なのだ、って。

この先、ネタバレ::::::














彼女をバンパイアとして生き返らせるその瞬間に、そこに蛇が横たわっているが、その瞬間は、悪魔の誘惑を描いているようだ。
二人は、背徳の世界のアダムとイブなのだ。
人間世界という楽園から追放された、彼らたった二人だけの世界。

物語の中盤で、サンヒョンは「私は、病気に罹ってしまったのです」という台詞を吐く。
これは「病気」=「愛」だ、と私は思った。

相手を欲するその気持ちが故に、相手を守ろうとするが故に、罪深くなってしまうサンヒョン。

「病気」、と言い切り、愛と言う言葉を使わない、この映画を、
私は心から支持する。


ストーリー・・・
致死率100パーセントという謎のウイルスのワクチン開発のため、危険な人体実験に臨んだ神父のサンヒョン。輸血により一命をとりとめた彼は、ある日、幼馴染みガンウの妻ジュと出会い情事に溺れていく。と同時に自分の体に起きたある異変に気付くのだが・・・


渇き@ぴあ映画生活

 

関連記事

『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義

80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む

『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの

一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む

『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究

去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む

『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン

心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む

852

コメント(17件)

  1. やっぱり とらねこさん コレみられたんですね(^^)
    なんとも不思議なノリの物語でしたよね!
    結構 このシュールなコミカルさが結構面白かったです!
    サンヒョンとデジュの独特な距離感がまたいいスパイスになっていましたよね!
    私は、二人は恋人というよりなんやかんやいって繋がりが切れることのない血で繋がった兄妹のような関係に思えてしまいました。

  2. 渇き

    公式サイト。パク・チャヌク監督、ソン・ガンホ、キム・オクビン、シン・ハギュン、キム・ヘスク、パク・インファン、メルセデス・カブラル。エミール・ゾラの「テレーズ・ラカン」にインスパイアされたというこの作品、ホラーか、ファンタジーか、エロか、お笑いか、正直よ….

  3. ちなみに素朴な疑問ですけど、ヴァンパイアって十字架に弱くなかったでしたっけ。あれはドラキュラだけなのかなあ。

  4. とらねこさん、こんばんはー。
    お知らせがあって、コメントに伺いましたー。
    この記事にこんなコメントでごめんなさい。
    ブログのタイトルを変更しました。新しいタイトルは『Cinema + Sweets = ∞』です。
    今後ともよろしくお願いします〜。

  5. コブタさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
    最近ちょっと映画を見ていなかったもので、どこから手をつけるべきか、分からなくなってしまったぐらいなのですが、久しぶりに見るなら、好きそうなものを!と思っていきなりパク・チャヌクに行きましたよ・・・。
    そうですね、ちょっと変わったコミカルさが感じられましたよね♪
    そっか、コブタさんは、仲の良い兄弟のように思えたんですね。
    私から見ると、それは本当に相性が良くてうまくいくタイプの、仲のいいカップルの場合、という感じがします。
    ちょうどコブタさんとオオブタさんみたいに♪

  6. 佐藤秀さんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    おお、そのコメントを読ませていただく限り、もはや「ドラキュラとヴァンパイアの違い」なんかについては、説明しなくて大丈夫そうですね。
    はいー、ブラム・ストーカーの定義したドラキュラが十字架を苦手としたのでしたよね。
    でも、そういった意味においても十字架に対する神父の存在意義が、矛盾している、〜ダブル・クロスになっている〜、と考えることが出来ると思いませんか?

  7. しんぽんさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    ブログタイトルが変わったのですね〜
    でも、あのペンギンのブログヘッダーはそのままなのでしょうか
    私の場合、コメントは、どこに書いていただいても基本、大丈夫なので私は気にしないのですが、
    他のブロガーさんに同じことをするなら、映画感想記事ではなく、日記的記事などが「最近の記事」にあるなら、そちらの方に書くのをオススメしますよ。
    久しぶりに来ていただいて、とても嬉しかったです。ありがとうございました!
    今後も頑張ってくださいね。

  8. 【映画】 『渇き』

      『オールド・ボーイ』、  『親切なクムジャさん』の  パク・チャヌク監督作品で、  『殺人の追憶』、  『グエルム〜漢江の怪物〜』の  ソン・ガンホ主演の   『渇き』(2009年,韓国)  を鑑賞。  (公式サイトはコチラ)  ヴァンパイアとなってし…

  9. ●渇き(BAK-JWI)

    あのソン・ガンホ監督の新作、そしてなんと 題材がバンパイアということで!それは凄いに違いない!と期待高めで観に行ってしまいました!

  10. 渇き◆◇THIRST(2009)

     この愛、赦し給え──原題:박쥐
    東宝シネマズ二条にて鑑賞。非常に濃い内容です。実は、バンパイアものとはまったく知らず。。。。。また最後の最後まで暗くて重たかった。そして何といっても生々しい。う〜んとにかく凄いわ〜〜。
    ただちょっと引っ張りす…

  11. とらねこさん
    今晩は☆彡
    愛を等身大に描いた作品。
    なるほど納得です。とにかく凄い衝撃を
    受けたのですが。。。上手く言葉に出来ず(汗)
    とらねこさんの書かれた文章を読ませて
    頂き、うんうんなるほどって思いました。
    2時間13分、ハードでしたが(笑)
    パク・チャヌク監督の「オールド・ボーイ」
    をぜひ観たいと思っています。

  12. mezzotintさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    ああ、言いたいこと分かっていただけますか・・・。我ながら、これ、あんまり一般的には好まれない作品だよなあ、って思ったんですけど、そう言ってもらえて嬉しいですー。
    そうなんです・・・。自分の解釈としてはですが、この混沌とした物語、結局あの愛っていう地獄を描いた作品だったな、と思い至りました。
    あ『オールド・ボーイ』は、これ本当に面白かったですよー!
    これまた決して忘れられない一作です。ああ、設定からして面白すぎる作品です・・・。

  13. 主演のヴァンパイアがもう少し美形だったら…と思ってたら、あらら、この人って『殺人の追憶』のごっつい四角顔の刑事さんですよね!ずいぶん印象違うなあ。あまり韓国映画に免疫のない私にとっては結構ヘビーでしたが、クセになる毒がありますね。牙でバリバリと食らいつくのではなく、点滴チューブでチューチュー吸ったりして可愛かった。
    苦手だなあ…と感じつつもしっかり最後まで面白く見れました。こういうの、かなり好きかも。

  14. わかめさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    おー!わかめさんもこの作品、ご覧になりましたか!
    >『殺人の追憶』のごっつい四角顔の刑事さんですよね!
    ハハハ、確かに!爆笑してしまいましたよ・・・!
    そうなんです、この人、『シュリ』の時はもう少しイケメンかと思ったんですが、気のせいでした!(爆)
    本当、ソン・ガンホは役柄で印象が全然違うんですよね・・・!全く、何たることでしょう!
    ふふふ、そうなんです、癖になる毒があちこちに効いていますよね。
    いやはや、私、実はバンパイアモノが大好きだったりします。わかめさんは、いかがでしょう?
    『インタビュー・ウィズ・バンパイア』のシリーズなんかも結構面白かったりして。
    どこか人間世界を斜めに見ているような、あの飄々とした皮肉な感じが、また、何とも言えないんですよ・・・

  15. 「渇き」

    「渇き」2009年 韓国 監督:パク・チャヌク
    THIRS
    だんだん韓国映画にも慣れてきました。もちろん選ぶのはこの手のもの。
    バンパイヤ映画ってのはエロと結びつけやすいし、結びつけなかったら嘘でしょう。
    キム・オクビンという韓国女優のエロ目当てで鑑賞しても何等問…

  16. 『渇き』 破ったり離れたり

     【ネタバレ注意】
     守・破・離(しゅはり)という言葉がある。
     18世紀の茶人、川上不白が『不白筆記』(1794年)に書いたものである(しばしば…

  17. 『渇き』’09・韓

    あらすじ謎のウィルス撲滅に身を捧げたことからヴァンパイアになってしまった神父サンヒョン。そんな彼が幼なじみの美人妻テジュと出会い・・・。感想カンヌ国際映画祭審査員賞『オ…




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑