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ソラリス ▲125

ソラリス’02年、アメリカ
原題:Solaris
監督・脚本:スティーブン・ソダーバーグ
製作:ジェームズ・キャメロン


ジョージ・クルーニー  クリス
ナターシャ・マイケルホーン  レイア
ジェレミー・デイヴィス  スノー
ヴィオラ・デイヴィス  ゴードン


私の知り合いは、この映画を見て、「ソダーバーグは、タルコフスキーの爪の垢でも飲むがいい」と言っていた。
私は、それほど酷い映画だとは全く思わなかったのだけれど、当時はタルコフスキーのオリジナル『惑星ソラリス』を見ていなかったし、さらにこの作品は映画館で爆睡してしまったので、言い返す気持ちにもならなかった。ただ何となく「この子、感じが悪いなあ」ぐらいにしか思わなかった。
(その割には、その毒舌ぶりが面白くて、いろいろな人に吹聴してしまったけれど)

気持ち良く映画館の中で寝てしまって、内容をちっとも覚えていなかったのだけれど、今こうして再見してみると、当時の私ってば、全くこの映画の内容を分かっていたとは思えない(苦笑)特別難しい映画でもないし、退屈なわけでもないのに・・・自分にガッカリ。
逆に言えば人って、映画を見る目は養うことができる、と思う。私もその頃より今の方が、映画を見る目が少しはマシになったんじゃないか、と自分で思ってみたりする。

とか言ってはみたものの、久しぶりに観たソダーバーグ版『ソラリス』、やっぱり途中で寝てしまった・・・(ぉぃ)
でも、DVDだったのでまた途中から見ることが出来た。
やっぱり私は、それほど酷いとは思わないかな。ただ、文句が出ないわけではない。

それぞれの人が亡くしてしまった人物を、まるで心の中の鏡を映し出すかのように、目の前に呼び起こしてしまう、不思議な惑星ソラリス。
そこで呼び起こされたモノは、人間ですら全くなく、何者だか、その目的すらわからないが、その人物の“記憶”を持った生き物となり、目の前に生き生きと存在を示す。
そしてそれに囚われてしまい、思わず帰りたくなくなってしまう地球人たち。

タルコフスキーの『惑星ソラリス』を元にして作った作品ではあるけれど、ソダーバーグは自己流に変えてしまっている。逆に言えばタルコフスキーの『ソラリス』を好きな人が見たら、全く別物として楽しむことが出来るものになっている、と思う。

初見の時は、映画全体の持つ雰囲気や、宇宙センターの内部のあのひんやりとした感じが好きだった。それから、どことなく甘くて苦い記憶を呼び起こすような、ソラリスの惑星の映像を美しい、と思った。
忘れたいのに忘れられない人物にそっくりな人間が目の前に現れたら。誰もが心をかき乱されるだろう。その甘美な、だけどどこにも行けない思い。後悔の念と悔恨の情がないまぜになり、クリスのように「償うチャンスだ」と思うこともあるかもしれない。

しかし、ソダーバーグのバージョンでは、蘇ったソラリスの“物質”の一部であるレイア自身が、自らその存在を否定し、消滅を願ってしまう。これで良かったのだろうか?
ソラリスに幻影と知りつつ惹かれ、宇宙という空間で地球の概念から遠く、囚われの身となってしまうクリスの思い。それは、一篇の詩によってレイア自らが存在を否定してしまうことによって、断ち切られてしまう。
何となくスッキリ描きすぎてしまっているものの、ソラリス自体の持つ磁場を、少し弱いものとして感じてしまう。
雰囲気として決して悪くはないのだけれど、なんだかツメが甘いというか、尻つぼみな作品になってしまっている。

ストーリー・・・
心理学者のクリス(ジョージ・クルーニー)は、惑星ソラリスの異変を調査する仕事を依頼される。渡されたビデオに写るのは、探査チームのリーダーでクリス の親友、ジバリアンが、困惑し助けを求める姿だった。宇宙ステーション、プロメテウスに足を踏み入れたクリスだが、そこで生き残っているのは科学者のス ノー(ジェレミー・デイヴィス)とゴードン(ヴィオラ・デイヴィス)だけ。一体何が起こっているのか、2人の話を全く理解できないクリスに、奇怪な現象が 起こり始めた・・・。

ソラリス@映画生活

 

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コメント(3件)

  1. 『ソラリス』

    監督・脚本、スティーヴン=ソダーバーグ。2003年米。原題『Solaris』。S

  2. スティーヴン・ソダーバーグ「ソラリス」

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    2002アメリカ
    監督:スティーヴン・ソダーバーグ
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