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13 thirteen 黒猫 ▲33

黒猫アメリカのTVシリーズ、『マスターズ・オブ・ホラー2』改め『13 thirteen』。今回は、ステュアート・ゴードンの『黒猫』。
原作は、エドガー・A・ポー。


ストーリー・・・
元は人気小説家だったエディ(ジェフリー・コムズ)。しかし今はスランプに陥り、酒に溺れていた。さらに、献身的で美人の妻(エリス・レヴェスク)が重病を患い、どん底の生活を送っていた。ついに満足な治療を受けさせることが出来ず、妻は死んでしまう。悲しみに明け暮れたエディは、不幸の何もかもが、飼っている黒猫のせいだと八つ当たりし、殺してしまう。その途端信じられないことが起こる・・・

エドガー・A・ポーの代表作とも言える傑作短編、『黒猫』を、自身の話に置き換えた物語。ストーリーラインはほとんど一緒なのだけれど、こちらでは堂々とポー自身を主人公にすげ替えて、『黒猫』が出来るまでの物語としてしまっている。

文で読めば、あれほど美しく、おどろおどろしく、そして第一に全く退屈しない素晴らしい原作が、これだけパッとしないテンポの悪い、凡庸な物語になり変わってしまうとは・・・。
正直、原作ファンとしては、悲しくてやり切れない。少々腹さえ立った。
頭にきたので、もう一度原作を読み返して、こちらのどこがそれほどいけないのか、思わず確かめてしまったほど。

そうやって久しぶりに手に取った原作は、やはり相も変わらず素晴らしかった。この物語に夢中になった、以前の自分のまんま、ポーの悪夢のように美しい文体に酔いしれることが出来た。
そうしてようやく機嫌が直った。

素晴らしいホラー小説は時に、この物語のように、主人公がものすごく愚かな行為をすることがある。
どうしてこのような行為を行ってしまうのか、自分が何かに取り憑かれたのかとしか思えないようなやり方で。悪夢が乗り移ってしまったかのように。

ものすごく大事にしていた何もかもを、時の狭間に失ってしまう恐怖。
何がそうさせたのか分からなず、心の中がゾッと冷えるような、心底怖ろしく、自分が自分ですらなくなってしまうかのような恐怖が描かれていた。
当時読んだ時、私は素晴らしいと感じる一方で、もう一度この物語を紐解く勇気が持てないだろう、と思ったのを覚えている。

大酒飲みだった作家自身、こんな風に思ったことがあったのだろうか。
自分が大事にするものが何もかもが、ほんの少しの酒という悪魔と戯れている隙に、自分の手の間から、スリ抜けて無くなって行くような。

大事にしていたその瞬間の光の輝きはそのままなのに、闇の濃さが忍び寄るというか。

ただ、猫が好きな人には少し残酷なシーンがやりすぎに思え、辛い物語かもしれないけど。

 

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コメント(5件)

  1. 13 thirteen/黒猫

    (原題:THE BLACK CAT)
    【2006年・アメリカ】DVDで鑑賞(★★★☆☆)
    13人の映画監督がホラーを題材にした作品を撮り下ろしたTVシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」。
    本作は第2シーズンのエピソード11。
    エドガー・アラン・ポーの「黒猫」を原作にした作品。…

  2. こんばんは、とらねこさん♪
    ポーの『黒猫』、どんなストーリーかは知っていても、原作読んだこと無いんですよね(いかんいかん)。
    やはり名作と謳われているモノは読んでおかんといかんですね。
    他にも映像化作品があるんで、それらも観てみようと思います〜♪
    それにして、やはりニャンコを虐めるヤツはゆるさ〜〜〜ん(プンプン!)。

  3. ともやさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございます!
    原作まだ読まれてないですか★
    そうですね、ポーって、美文の書き手なので、怖い文章書いてても、ものすごい心をグッと掴むような文が書けるところがたまらなくて。
    良かったら是非読んでみてくださいまし!
    確かに猫は可哀想でしたね。
    でも、この話で猫のところばかりがクローズアップされてしまうのは少しもったいないですね。
    妄想をそのまま行動に取ってしまう、人間の性(さが)、悪夢のような出来事を体現してしまう恐怖が怖かったです。原作では、の話ですが・・。
    この『黒猫』って、ホラー作品の出発点、と言えるのでは。偉大な功績だと思います。

  4. とらねこさん、訪問いただきありがとうございました。
    そうか、とらねこさんは原作をこよなく愛してらっしゃるんですねぇ
    実は私も、原作をキチンと読んだことなかったりします。
    それでもイマイチだったのだから、とらねこさんにとっては腹立たしくもあった訳ですねー
    もう、猫をいじめるヤツは許しません!
    ただでさえ、猫さんて犬さんに比べると、映画の中では悪者扱いされがちなんだから。
    いじめるヤツは、もっと許せませんですっ
    今日は、野良猫さんにたくさん会えた嬉しい日でした。
    野良さんだけあって、みんな警戒心で一杯の仕草だったけど。
    プチ・ハッピーな1日でござんした。

  5. となひょうさんへ
    こんばんは〜★コメントありがとうございました。
    となひょうさんは、猫にたくさん会えたんですね!
    映画好きって、猫好きが多いような気がしますが、気のせいでしょうか・・・?
    そうそう、ここでは猫がすごい扱われ方をしてますよね。
    小動物を殺したり傷つけたりする描写って、今だと、逆に人間を殺すより、もっと極悪非道な気がしちゃうと思いません?
    ゾンビが人間を襲っても喜んで見ているのにぃ〜ってw




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