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149●スリー・モンキーズ

トルコはイスタンブール出身の気鋭監督、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督・脚本作品。
’08年のカンヌ映画祭監督賞を受賞。
来年の’09年のアカデミー映画祭にて、外国語映画賞のトルコ代表作品として、出品予定。
製作はトルコ/フランス/イタリア。
TIFFにて鑑賞。

ストーリー・・・
人間関係を保つべく、事実から目を背ける家族。「見ざる・言わざる・聞かざる」の如く・・・

 

極めて重苦しい雰囲気を醸し出す。一シーン毎に息を呑むような緊張感が漂う。
この辺りが自分の好みだった。映像中心に語られていく物語。
台詞はほとんどないのに、なんて雄弁な映像なんだろう。

人々の表情を見ているだけで、読み取れることがなんて多いことか。
画面に肉迫するような、人々の表情。圧迫感は時に息苦しく、そこから背けたくなるほどの重みをすら感じる。
俳優たちの演技には、毛一つ程の動きすら、逃すことが出来ない。

 

何より、あった事実を赤裸々に描くのではないところがミソだった。
先程、「映像で語っている」と私は確かに言ったが、映像で描いているとは言え、むしろ事実が映し出されているわけではない。
むしろ、隠そうとする“事実”と“事実”の間の出来事が描かれている。
つまり、行間のみが描かれているのだ。

 

そう、ここが凄かった。
内面・心理をギリギリまで描くことによって、起こった事実すら説明してしまう、という手法を取っているところが圧巻。
私は、初めはそれに気づかなかった。映像で語られるものだと思っていた。
ところが、映像で語られているのは、むしろ“行間”だったのだ。

 

家族の人々は“見ざる・言わざる・聞かざる”、事実から目を背けようとする。
耐え難い困難に立ち向かうために、あったことをひとまず棚に上げ。
なので、ここで私が単に出来事を、ただの“文”で説明してしまうには、気が引ける。
彼らにとって、どういう意味があったのか、その心理の背景はどうか・・・
そうしたことが描かれているからだ。
ちなみに、TIFFのチラシには、「粘着質なジェイラン監督の演出が光る」とある。

それにしても、トルコはムスリムの国だからか、女の人の立場がとてもか弱い。
息子にすら、手を挙げられる母親の姿は、(息子の)気持ちは分かるけれども、描き方が何だか腑に落ちないというか。男尊女卑じゃないかー。

 

携帯の着うた®には、ちょっぴり私もウンザリ。・・・なんちゅー歌詞やねん。
トルコのポップスって、結構ベッタリした演歌風な歌詞が多いみたい?
クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール』を見た時にもそう思ったし、
トルコ旅行に行った時、バーでかかる歌で「これ自分の一番好きな歌手だ」とトルコ人が言っていたので、どういう歌詞なのか聞いたら、やっぱりベタベタな演歌チックな内容だった。

 

とか言って私の着うたはデラックスボンバーだけど。
メル着は「総統死んでますか?」「死んではおらん!」だし・・・。

 

’08年、トルコ/ フランス/イタリア
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
脚本:エブル・ジェイラン、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン、エルカン・ケサル
出演:ヤヴズ・ビンギョル、ハティス・アスラン、リファト・スンガル、カフェル・キョセ、ギュルカン・アイディン

 

※脚本のエブル・ジェイランは、もしかしたら監督の奥さんかも?『うつろいの季節(とき)』にて、エブル・ジェイランと共に主演・共演している。


*自分用メモ*
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督、他作品一覧
・『スリー・モンキーズ』 ’08
・『うつろいの季節(とき)』    ’06
・”Distant”     ’02
・『5月の風』     ’99
・”The Town”       ’97
・”Koza”    ’95

 

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コメント(5件)

  1. こんにちはー。また遅くなってしまい、ごめんなさいっ;
    そうそう映像の質感は重々しいけど私も好きでしたよ。緊張感もありましたよね。
    でもあの着メロには笑えましたー;こんな演出面白すぎっ。一歩間違えれば昼ドラ路線ですが、ゲイジュツとはおっしゃるとおり私も「行間」の描写だと思いまーす。
    ちなみに私はいつもマナーモードなんで自分の着メロを忘れてますたW
    設定解除してアメージンググレースと判明;

  2. スリー・モンキーズ 〜〜TIFFにて その6

    見ざる言わざる聞かざる

  3. シャーロットさんへ
    こんばんは〜★コメントありがとうございました。
    いえいえ、こないだは、変ちくりんなコメントを残してすいませんでした。
    さぞかし、答えにくかったものかと。・・・すいません以降、気をつけます(泣)
    シャーロットさんもこの作品、気に入られたようで、読んでて嬉しくなってしまい、ついついお邪魔してしまいました・・。すいません!あまり人が見ていない作品なので、コメントさせていただこうかな、と思ってしまって。
    >「行間の描写」
    見事でしたよね。「父親がしたこと」が描かれなかった時は、普通に何とも思わなかったのですが、
    「息子がしたこと」と「母親がしたこと」が描かれなかったので、愕然としました。
    おかげで、「この先起こること」まで描かれないのかと、最後のシーンでは緊張して、恐ろしさに震えました!
    ああ、こういうことは記事中に書くべきでした・・
    携帯、いつもマナーモードなんですね☆携帯がお嫌いとは、シャーロットさんらしいな!
    私はマナーモードの方が、存在を主張されるようで、出かけている時はいいのですが、家だと気になってしまって。
    家だと、他の音で消されて気づかない時もあるので、着メロの方がお気に入りです。家に帰るとマナーモードを解除しますね★

  4. エブル・セイランじゃなくてエブル・ジェイラン(Ebru Ceylan)、おっしゃるとおり、奥さんです。
    確かに、演歌系じゃないイマドキなポップスとかでも、日本人の感覚からすればド演歌チックな歌詞、多いですね…

  5. とおりすがりさんへ
    コメントありがとうございました。
    エブル・セイランとは、別の作品のサイトでそう書いてあったので、あれ?と思いつつも、とりあえずそのようにUPしてしまったのですが、やはりエブル・ジェイランでよかったんですよね。
    訂正しておきました。ご指摘ありがとうございました。
    そうですね、トルコのポップスの歌詞、演歌っぽいなーなんて思ってしまいました。
    “男と女の愛情のもつれ”とか“恨み・つらみ”みたいなテーマが多いのかな?なんて思いますね。




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