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135●ブラザーズ・クエイの幻想博物館 プログラムB 《書物のカフカ的迷宮》

Quay Bros.ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』の上映を記念して、今までのブラザーズ・クエイ監督作品を未公開含み一挙公開。
私が見た今回は、Bプログラム《書物のカフカ的迷宮》パペットアニメの短編集5作品。



ブラザーズ・クエイ。一卵性双生児の、人形アニメーションの先駆け的な存在。私は今回初めて見ました。ヤン・シュヴァンクマイエルを日本に紹介した人、とのこと。
予告で見て、「一体なんなんだ!?この映像は!」と驚愕。絶対見なきゃ!と思ってました。それが『ベンヤメンタ学院』。想像していた通り、すごい映像の連続、迫力満点でした。全然寝なかった。面白かったぁ〜。
ついでに、日本でパペット・アートアニメの火付け役となったとされている『ストリート・オブ・クロコダイル』も伏せて鑑賞。

今回のこのブラザーズ・クエイの特集を見ると、『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』で製作を務めた、テリー・ギリアムが、この新作の中で、いかに彼らの作品に心酔して、この作品を作ったのかがよーく分かる。
特に、『ベンヤメンタ学院』とほぼ同じとも言えるシーン、セルフオマージュを捧げたようなシーンが多い。全体的にも物語が似通ってもいる。
でも、『ピアノチューナー〜』より『ベンヤメンタ学院』の方が完成度がずっと高い!『ベンヤメンタ〜』に較べると、『ピアノチューナー〜』がだいぶ劣って感じられてしまった。

ストリート・オブ・クロコダイルBプログラム 《書物のカフカ的迷宮》(以下メモより)

『ギルガメッシュ / 小さな箒』 ’85年 イギリス カラー11分
古代の暴君ギルガメッシュを、クエイ兄弟風に解釈した作品。三輪車を乗り回し怪物エンキドゥを追い回す、不思議な作品。

・『失われた解剖模型のリハーサル』 ’87年 イギリス モノクロ14分
『ストリート・オブ・クロコダイル』のラストを引き継ぐようにして始まる。虚飾層のようなアルンポルド風の人形が頭髪を弦の音と共に引きちぎるだけで世界を震撼させているこの作品は、フラゴナールの絵画『閂(かんぬき)』からヒントを得た。

『櫛』 ’90年 イギリス カラー17分
カフカに影響を与えた作家、ローヴェルト・バウザーの小説にインスパイア。眠れる美女が、或る寝苦しい夜に見た夢の中で、無意識の層をパペット人形が幾重にも梯子を掛けて外を窺う。女が目覚め、櫛で髪を梳くと、眠れる美術館は再び闇へと還っていく、“櫛”のモチーフはシュヴァンクマイエルの『庭園』(1968)のラストシーンの引用とも見える。

『スティル・ナハト』 ’92年 イギリス モノクロ4分
『ヒズ・ネイム・イズ・アライブ』のミュージック・クリップとして作られたシリーズ作品。

クエイ・ブラザーズ2『ストリート・オブ・クロコダイル』 ’86年 イギリス カラー22分
踊るネジ、内臓を持つ時計、『アンダルシアの犬』を思わせる斜め縞の箱、モノトーンの不意に色彩が飛び出す仕立て屋などが次々に登場し、新しい視覚領域へと到達した。原作は、ポーランドのカフカと呼ばれるブルーノ・シュルツの『大鰐通り』。

『ストリート・オブ・クロコダイル』、これはまさしく『ソウ』だった!
というか、『ソウ』はこのブラザーズ・クエイの『ストリート・オブ・クロコダイル』に着想を得ている作品だったと断言できる。
怖ろしい機械の無機質なシステマティックさ。そこに滲む妙なエロティスイズムに、吐き気がするほどの恐怖感。人間性を剥奪する機械の無慈悲さ。
このパペットアニメの恐ろしさは、言語を絶する無機質さがあって、心底私は怖い思いをしてしまった。
そこに人間性が皆無で、機械によって裁かれ、人間性が操られるシステムという。
頭部をすげ変える恐怖映像など、『ソウ』はこの作品の実写版がやってみたかったのだと思うに至った。
それにつけても、このブラザーズクエイの映像の恐ろしさ。普通のホラーより断然怖い。私は、震え上がってしまった。

*ブラザーズクエイ*
ブラザーズ・クエイの幻想博物館 プログラムB 《書物のカフカ的迷宮》
ブラザーズ・クエイの幻想博物館 プログラムD 《執事養成室》『ベンヤメンタ学院』
ピアノチューナー・オブ・アースクエイク

 

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コメント(8件)

  1. とても魅力的で不思議と心惹き付けられるものがあります。ただ常に睡魔と闘いながら鑑賞するようなところもあり、長編の「ベンヤメンタ学院」は今回遠慮しました。(止めんたなんちゃって)
    あとで「ピアノチューナー」を観たところ睡魔が襲ってこなかったので、これなら、と思いましたが、とらねこさんの記事を読んでますます「ベンヤメンタ」観たくなりました。いつになることやら。

  2. こんにちは。
    もう10年近く前ですが、クエイ兄弟ファンの知人に勧められて『ストリート・オブ・クロコダイル』を見た記憶がありますが、何が何だかさっぱりわからなくて途中で寝てしまいました(笑)。その後で『ベンヤメンタ』は静謐でミステリアスな雰囲気が気に入りました。京都では今月末に新作が公開なのでちょっと気になるところですが、今ひとつですか・・・

  3. imaponさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    あ、眠かったですか?
    そうですね、私も実は、ベンヤメンタの方は全然眠くなかったんですが、
    こっちの方は、画的作りこみに感激しつつも、ぶっちゃけオチそうでした。
    ナヌ?やめんた?
    ずこーっ
    そーんなオヤジギャグを言うなら、私も死語で応対してやるぅぅぅぅ
    おや、そして、ピアノチューナーは面白かったんですね!だったらきっとベンヤメンタも行けましたよー。
    もったいないオバケー。

  4. 椀さま
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    おお、椀さまはクエイ兄弟好きなお知り合いがいらっしゃるのですかー☆素敵ですっ!
    うーん、『ストリート・オブ・クロコダイル』、意味不明でしたか?んーあれはグロい!と・・ブルブル。。。今もう一度見たらきっと、意味分かるかと思いますね。
    ベンヤメンタの方が自分は断然面白かったんですよ。でもでも人形の恐ろしさはまた別物で怖かったですーっ
    『ピアノチューナー〜』は、もしかしたら今椀さまが見たら面白いのかも?って思います。
    私は、ベンヤメンタほどの画的なセンスを感じなかったのですが、人によっては・・。
    ちなみに、栗さまは『ピアノチューナ〜』、とても気に入ったって言ってました☆

  5. ストリート・オブ・クロコダイル

    イギリス出身のスティーブとティムのクエイ兄弟による、驚愕の人形アニメーション。細部にまで病的に作りこまれ、こだわったビジュアルはときにめまいさえする。
    閉鎖された博物館に迷い込んだ男が見たのは、クロコダイル通りという名の街の模型。そこに置かれた機械仕掛け….

  6. 映画 「ブラザーズクエイの幻想博物館」Bプログラム

    テリー・ギリアムが製作総指揮を取ったヤン・シュヴァンクマイエルを師とするブラザーズ・クエイ監督最新作「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」の公開に先がけ上映されるブラザーズ・クエイの短編アニメーション特集という事で興味津々、足を運んでみました。{/kame/…

  7. こんばんは
    Bプログラム、本当に5本やりましたか?
    ワタシが観たときはまた寝てしまって、
    どう考えても3本しか思い出せないんです^^;
    くやし〜
    で、クエイ、怖いですよね。
    激しく同感。
    寝たなりの感想ですが・・

  8. manimaniさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    manimaniさん、体調の方は大丈夫でしょうか??
    あんまり無理しないで下さいね。
    私も風邪を引いてしまって、今週ずーっと辛いです・・。
    昨日は良くなったかな?と思って、映画見に行ったんですが、今日またぶり返してしまって。
    今日はさすがに早寝しちゃおうと思って、せっかくのレディースデイなのに、映画館には行かずにまっすぐ家に帰ってきちゃいました。
    体調悪い時は誰しも寝てしまいますからね。
    短編集で良かったですね。
    5本あるうちの、何本かが見れただけでも・・。
    あのー。manimaniさんが寝ちゃった、っておっしゃるのは、もう聞き飽きましたー(笑)
    次は寝たこと以外の内容でお願いしますね。




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