rss twitter fb hatena gplus

*

133●ミツバチのささやき

ミツバチのささやき’73年、スペイン
監督・脚本: ビクトル・エリセ
出演: アナ・トレント イザベル・テリェリア フェルナンド・フェルナン・ゴメス テレザ・デンペラ



ストーリー・・
1940年頃、スペイン中部のカスティーリャ高原の小さな村オジュエロスに一台のトラックが入っていく。移動巡回映写のトラックで、映画は「フランケンシュタイン」。喜ぶ子供たちの中にアナ(アナ・トレント)と姉のイザベル(イザベル・テリェリア)がいた。その頃父のフェルナンド(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)は、養蜂場で、ミツバチの巣箱を点検する作業をしている。・・・

美しく静かに運ぶ物語。シャンテ・シネはほぼ満席。この時私は仕事で疲れていて、無理して来たのだけれど、初めの五分で、これは見て良かったと実感した。
映像の詩人、と言われているようなのだけれど、まさにその言葉がピッタリ。
美しく心躍るフレームの一つ一つに、目が釘づけになって、全く眠気を起こさなかった。
最近、こういう映像こそ、本当に自分の心にヒットする。

子供の目線で語られる物語でありながら、起こったことと起こっていないこととの間、その隙間を埋める映像が象徴的に差し挟まれている。
実際に映していないその隙間をいかに雄弁に物語っているかを考えると、愕然とする自分に驚いてしまった。

子供ならではの目線で、街に来た映画、『フランケンシュタイン』の精霊を信じていく。少女の瞳のアップが印象的だ。彼女の瞳に映る世界。
1939年、スペインの内乱によるマドリード陥落、この物語は’40年頃、と冒頭で言っていたこと、こうしたことは後から調べて「なるほど」と知ったことではあるけれど。
極めて美しい全体の雰囲気に、死の匂いを感じさせ、想像力と現実の世界を絡ませる。
この映像が成していることは途方もなくて、言葉にならないこと請合い。それでいながら何度も楽しめそうだ。
言葉にするのがあまりに勿体無くて。感想なんて書きたくないってのが本音。
見れば分かるというか、見なきゃ分からないというか、素晴らしい映像作家ってこういう作品を作る人のことだなあと。もうすでに蛇足。

・ミツバチのささやき@映画生活

 

関連記事

『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義

80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む

『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの

一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む

『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究

去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む

『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン

心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む

1,700

コメント(22件)

  1. その通り!この映画の感想なんか言えたもんじゃありまっせん!!20年以上前に映画館に観に行って「ウウウうううううううううウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウうううううううううううううううううううううううううううううううううう」と唸るしかなったです(イイ意味でね)
    唯一、思った具体的なことは「この女の子なら誘拐して軟禁をしたい!」ってことでした。可愛い過ぎてチンコも勃つのも罪悪感があるもんで別に何も変なこともできないんだろーけど、「無性に誘拐をしたい!」女子。彼女にしたくないし嫁にもしたくないし娘として育てるのも嫌だし、うやっぱり永遠の「誘拐がしたくなる女の子NO.1」でしょうねー

  2. とらねこさん、こんにちは。
    ウーン、またまた私が観たい映画のレビュー。。。これも、劇場でご覧になったのですか?
    昨年『パンズ・ラビリンス』を観て大感動していたら、この映画に似ていますよ、と何人かの方から教えていただいたのです。
    以来、観たい、観たいと思いつつも探せず・・・。
    今月末にDVDが出るので買う予定にしています。やっと観られるー。
    観て、記事が書けたらまたお邪魔しますね!
    ではでは、楽しい連休をお過ごし下さい〜。

  3. gsさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
    うううううううUUUUUUUUウウウウウウウウウ・・・・・・・・・・
    そうですか、gsさんもやっぱり唸ってしまいましたか
    へえ、20年前に映画館でやってたんですか。
    その頃に見たなんて、凄いですね!自分は知らないことが多すぎなんですよね。
    本当かわいかったですね、アナ・トレント。
    ぎゃーーーー誘拐しないでー。おじちゃん、こわいっす・・・。
    あの目が、全てを物語っていましたね。彼女は我々が見えないことまでしっかり見てると、信じ込むことができました。

  4. 真紅さんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    はい、これは、シャンテ・シネという映画館で、やっぱり特集上映で見ました。何周年記念だったかな。
    私は最近、DVDで見たのは、個別記事にはしてないんですよー。なので、これら全部映画館で見てます。
    『パンズ・ラビリンス』に似てるかなあ?どうでしょう・・。あそこまで、分かりやすくはないかもしれません。
    これ、真紅さんも購入される予定なのですね!
    実はこれ、最近までビデオもDVDも出てない、入手不可能なもので、それはすごいニュースだと思います☆
    真紅さんが気に入られるかどうかは分かりませんけど・・・どうでしょう?
    感想楽しみにしてますねー☆

  5. 「みつばちのささやき」とアナ・トレントの現在

    私が特にお気に入りの映画の5本の指に入る作品「みつばちのささやき」
    映像といい、風景、音響、服装といい、とにかく大好きなんです。
    服装でダントツお気に入りなのは、ステンカラーのコートです
    何と言ってもこの映画は主役の女の子アナこと「アナ・トレント」の魅力に…

  6. とらねこさん〜こんにちは!
    これ、大好きな映画なんですよ〜☆
    現在のアナちゃんが、ブーリン家の姉妹にも出演していて、感慨深いもんがありますです。
    で、「ざくろの色」もご覧になられたんですね!!
    こちらも私の特別お気に入りの作品なのです。
    まとめて書いちゃってすいません・・・。
    そういえば、2,3日前のヤフーニュースで見たんですが、九州の方で、気球フェスティバルってのをやってる写真があって、とらねこさんの事を思い出しました。あのとらねこさんの写真を見て以来、すっごく気球に乗ってみたくてたまらんのです。

  7. latifaさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    あ、本当ですね☆自分も『ブーリン家〜』見たのですが、あのトレントがアナトレントだとは(って、何のこっちゃ☆)
    奥方ですね、うん、いまだになかなか綺麗な方ですよね!あの気位の高いところ、素敵でした。アン・ブーリンに言い返したところなんて、鳥肌が立ちましたもん。
    『ざくろの色』もlatifaさんのお気に入りなのですね!
    気球を見て私を思い出してくれたなんて、嬉しいです。
    気球は面白かったです♪あの旅行のハイライトだったかも。
    latifaさんにも、是非ともカッパドキアで乗って欲しいなあ・・なんて、言いすぎかな?

  8. こんばんは♪
    改めましてコチラにも〜
    本作をオールタイムベストにあげる方も多いんじゃないかな
    若かりし、まだ感性が今ほど腐ってない頃(多分w)に鑑賞したせいもあるのかな
    すがびーん!と衝撃を受け
    今は無き六本木シネヴィヴァンにて…
    なぜか鑑賞時の館の空気感もいまだに記憶の片隅に残ってるのでよっぽどだったんだなーと
    >その隙間をいかに雄弁に物語っているか
    うんうん!寡黙にして雄弁、まさに!
    映画ってこんな表現もできるんだと感激!
    したのもつかの間、その後ダークフォースに飲み込まれ鑑賞作のチョイスが冥府魔道へと…(笑)
    >死の匂い
    あ〜、もう一度観なおしたいですねー
    当時は「自我の芽生え」主で捉えてたような
    今観かえしたらタナトス臭存分に嗅ぎ取れそうです
    と、(↑)なんと!DVD出るんですネ
    それじゃ「ヒロシ」改め「アナ」で(笑)

  9. ブーリン家の姉妹■アナ・トレントに注目!

    この映画で最も注目したのはナタリー・ポートマンでも、スカーレット・ヨハンソンでもなく、ほとんどどの作品紹介では出演者として表示すらされないというアナ・トレントである。演じる役柄はヘンリー8世の王妃であるキャサリン・オブ・アラゴン。子供を産めなく放逐され…

  10. みさま
    こんばんみ〜♪コメントありがとうございました!
    おお、みさまも、これ昔にご覧になってたのですね☆
    へえー。うん、確かにこれは名作傑作と呼ばれる所以は分かります。
    映画館で見た時の空気感まで覚えている作品て、ありますよね。若い頃だったが故に。
    私には、実はそれが『ファスタープッシーキャット キル!キル!』だったりします☆
    みさまも冥府魔道へ進む道の前に、もっと違う感性の時代があった、と考えると、
    なんか不思議と新鮮なものがありますね。
    タナトス臭>自分は最初の『フランケンシュタイン』の辺りからして、その辺を感じてしまったかなあと。
    “自我の目覚め”という見方も無くはないと思うんですが、ラストシーンのあの血生臭さとか、自分にはちょっぴり違う印象があります。
    行間怖いッス!この映画。
    おお、「ヒロシ」改め「アナ」ということは、購入決定ー☆でしょうか。
    私的に、今さっきUPした『ベンヤメンタ学院』、こっちの方が自分にも気に入ったんですが、みさまにも見て欲しいテイストだったりしました。
    みさまはご覧になられたかなあ?

  11. 「ミツバチのささやき」ビクトル・エリセ

    ビクトル・エリセ DVD-BOX紀伊國屋書店このアイテムの詳細を見る
    1973スペイン
    監督・原案:ビクトル・エリセ
    脚本:アンヘル・フェルナンデス=サントス、ビクトル・エリセ
    撮影:ルイス・クアドラド
    音楽:ルイス・デ・パブロ
    出演:アナ・トレント、イザベル・テリ…

  12. コメント&TBありがとうございました
    シャンテの上映版がどうだったか知りませんが、こんどのニュープリント版は、DVDから推測するとかなりきれいになっていると思います。
    やっぱり観に行っちゃうかも〜
    で、『パンズ・ラビリンス』とは似ていない、とワタシも思います

  13. manimaniさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    シャンテで’06年にやった、BOW30映画祭の時は、ニュープリント上映されるはずが、プリントの到着の遅れで、旧プリントで上映された、とのことなのですが、
    私が見た時はそれがニュープリントだったのかどうなのか、んー
    でも確か、ニュープリントだった記憶があるんですよね。ふー
    そうですね、私はユーロでは、『エル・スール』を次回見ようっと♪
    前回は見れなかったんですよね、時間的に。
    パンラビには似てませんよね〜。
    きっと、パンラビを見た人が、「この映画をどこかしら思い出した」、ということなのではないでしょうか。

  14. 映画 「ミツバチのささやき」

    「ミツバチのささやき」1973年 スペイン 監督:ビクトル・エリセ
    El Espiritu De La Colmena
    一人の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。6歳の…

  15. こんばんわ!
    面白い映画ってついつい感想をぐだぐだと駄文を連ねてしまうものと、感想なんてとっても手に負えず書く事のできないものがあります。この映画は完全に後者。私としてはただただ名シーンを列挙して記録する事しかできません。
    時間をおいて何度でも観たい作品です。今回のユーロスペース、エル・スールは残念ながら見れませんでした・・・

  16. imaponさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    >面白い映画ってついつい感想をぐだぐだと駄文を連ねてしまうものと、感想なんてとっても手に負えず書く事のできないものがあります
    本当にそうですね!確かにこの作品は後者ですよね!
    なんだかどう表現していいのやら全然分からなくなってしまうんですよね。
    でも、心の奥底にググーーーっと居場所を見つけて、そこに居座ってしまう。
    そんな宝物みたいな作品でした!
    エル・スールも、これまたすごく良かったですよ
    こちらもまた、言葉にならなくて、もどかしいです。でも好き!

  17. *『ミツバチのささやき』* ※ネタバレ含

    1973年:スペイン映画、ビクトル・エリセ監督、アナ・トレント主演。 ≪【ビクトル・エリセ ニュープリント上映】にて鑑賞≫

  18. ミツバチのささやき

    ミツバチの精霊に守られていたの?
    オリーブ少女だった私としては、その存在を頭の片隅にちょこんと座らせていた映画。
    早稲田松竹で掛かったので仕事帰りに行ってきた。
    自分勝手に【オリーブ的おしゃれ映画の最高峰】と思っていたので
    映画館にいた男性の多さは正直なとこ…

  19. 「ミツバチのささやき」

    スペインの巨匠、ビクトル・エリセ監督(1940年??)がメガホンをを執った長編第一作であるアート・フィルム「ミツバチのささやき」(原題=ミツバチの巣箱の精霊、1973年、西、99分)。この映画は、スペインの1人の少女が体験する現実と空想の交錯した世界を描き…

  20. こんばんは、おひさです。
    ほんとに、この映画は画像が美しく、詩的ですね。
    ぼくは10年ぶりくらいに見直して、この作品の
    価値を見直しました。
    新しい発見として、全編、絵画的であるということでした。

  21. デイヴィッド・ギルモアさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    おや、お久しぶりです!覚えていてくださり、ありがとうございました!
    ええ、ホントに美しくて心に残る作品でしたよね。
    これ、ギルモアさんは10年前にもご覧になられたことがあるのですね。
    この映画に関しては、おっしゃるとおり、時を経るごとに見出すものが変わってきそうです。
    その都度、新鮮な驚きを得ることもできそうですよね!




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。

前の記事:

次の記事:

Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑