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72●徳川女刑罰史

徳川女刑罰史これまたすっごく面白い!石井輝男は、どれだけ“代表作”があるのだか分からないけど、これも傑作の一つだと思ふのだった。




ストーリー&紹介・・・
首が飛び、女が燃える!兄殺しの疑惑をかけられた女に浴びせかけられる執拗な拷問、嫉妬渦巻く尼寺で繰り広げられる恐怖の釜茹でリンチ、キリスト教徒の娘たちを襲う集団刑罰!観る者に肉薄する豪華絢爛の地獄絵巻。(シネマヴェーラの説明より)・・・


’68年、石井輝男監督。脚本、荒井美三雄、石井輝男。
出演、橘ますみ(『異常性愛記録 ハレンチ』)、吉田輝雄(『吸血鬼ゴケミドロ』)
、渡辺文雄、賀川雪絵、尾花ミキ、白石奈緒美、小池朝雄、由利徹


人間の異常性愛記録を描いた、石井輝男の、3部作から成る作品だ。
兄と近親相姦という「畜生道に落ちる罪」を犯した、みつ(橘ますみ)と兄・新三(吉田輝雄)。
呉服屋巳之吉は、みつに横恋慕するも、なかなか思うようにいかず、その近親相姦を知って、無理やりに兄・新三の前でみつを犯す
水轢の刑に処せられるみつ。

尼寺、玲宝(賀川雪絵)の物語。女だけの尼寺の中、玲宝は、僧・春海(林真一郎)と妙心(尾花ミキ)が密会しているのを見てしまう。
春海に拷問をするも、妙心への思いの強い春海は、心は思うようには行かず、嫉妬心から、妙心を釜茹で拷問にかけ、その末に死に至らしめてしまう激しい玲宝。春海もまた、拷問にかける。だが、最後まで妙心の名を呼び続けた春海を死に至らしめ、彼の生首を抱えて、自刃する玲宝だった。


芸者君蝶の背中に描いた、刺青が巷で噂になっていた。地獄絵図を描いたもので、彫師の彫丁(小池朝雄)によるものだった。ある日、南原(渡辺文雄)に、拷問の女の表情に教えを請う彫丁。一世一代の彫り物にしようと、その拷問現場を訪れた。南原の拷問は激しいものだった。
拷問を与えられ、苦悶する表情の女の顔はよく彫れたが、その拷問を加える地獄の羅卒の姿が見たいと、堀丁は、南原に向き合った。・・・


今の司法システムには存在しない、日本の昔の拷問。冒頭にいきなり出てくる、数々の残虐シーンは、思わず目を引く。
こうしたことを、昔の日本人もやっていたのだなあ。だけど、日本だけじゃなくて、こうした拷問は世界共通ものだ。
罰は、そもそも人間が人間に対して与えるものであるのだから、そこに一種のひずみというものが存在しえる。
・・・そう考えるのが、吉岡(吉田輝雄)だ。

一方、罰を行っていくうちに、嬉々とした表情を浮かべる南原。この対比が面白い二つの対立構造になっている。

これは風俗モノに当たるのだけれど、これは珠玉の作品だ。異常性愛路線、昔のエログロということだけれど、どうしてどうして、今考えるエログロとは違って、なんとも面白い。

一話目の話では、橘ますみが可憐で美しい。ただ、『異常性愛記録 ハレンチ』と比べると、少しだけ裸の露出度が物足りないかもしれないけれど、比べる方が悪いのかも。
そしてなぜか、「ハレンチよ、ハレンチ!」の時と同じ、どこか天然な台詞を喋らされる橘ますみと、真面目な吉田輝雄に笑え!


二話目の話は、拷問の、釜茹で・何千ものウナギ責めがエロいやら、面白いやら。
そして、禁じられた邪まな情愛を抱き、生首を抱える尼僧、玲宝は、まるでサロメそのものだ。


三話目の話は、芥川龍之介の『地獄変』だ。
拷問をかける地獄の奉行・南原、渡辺文雄の顔の表情が素晴らしいし、
さらに、その凄まじい姿をそのまま絵に納めようと、ノミを携え、負けず劣らず必死の形相をする彫丁、小池朝雄の顔の表情がまた素晴らしい。
拷問をかける「地獄の羅卒」を描かんとした、彫師の男もまた、地獄の羅卒の表情をしている、というラストの顔が唸りたくなるほどだ。


エロ・エンタメ精神・芸術性。
どれも、バランスの良い石井輝男作品は、本当に面白い。
全く中身がないという訳でもなく、娯楽作品として面白い、その画のインパクトが大きくて思わず目が喜んでしまう楽しさ、エロさなのだ。
この辺りが、本当に、私にとって、ラス・メイヤー作品に通じるところがあるんだナ。
どっちも、裸を出し惜しみしない、という共通項もあることだしね!

徳川女刑罰史@映画生活

 

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コメント(6件)

  1. こんにちは♪
    エロ映画記事に思いっきり釣られてしま
    いました。
    前に「徳川セックス禁止令」は観た
    ことあるんですが、「徳川女刑罰史」
    こんな作品あったんですね〜知らん
    かったです。
    う〜ん、エロ道を進んでいるつもりで
    したがまだまだのようです…><

  2. 風情さんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    昨日はすっかり疲れて帰ってすぐ寝てしまい、すいませんでした。
    『徳川セックス禁止令』も近年ヴェーラの“妄執〜”シリーズだったかな、で見かけて、見てみたいなあと思ってましたです★
    こちらの作品も、なかなかでしたヨ!
    石井輝男ってなかなか楽しいんですよね。ラブリーなんです、これ

  3.  久々です。例のモンティパイソンはとらねこさんのイタズラだったんですね。
    安心してこのサイトを見れます。
    女刑罰史は未見ですが「徳川いれずみ師 責め地獄」は見ました。
    とらねこさんならご存知かもしれませんが、80年代に「伊丹グリーン」で月イチのペースで特撮作品、大蔵の成人怪談、そしてこの石井輝男作品など、マニア垂涎の作品ばかり上映しておりました。
    (オールナイトで5,6本で2500円ぐらいだったと記憶しております。)
    「責め地獄」も似たような作品でエログロの極みで正視に耐えませんでした。
    小池朝雄さんが彫師の役でした。
    これものっけから処刑場で磔にされた女が刺し殺されるシーンで静止画になってタイトルが真っ赤な文字で出てくる演出。
    首まで埋められた女が両引きのこぎりで首を切られ、首がゴロリところがったとこで静止画となりスタッフクレジットが表示されるといったグロい演出オンパレードでした。

  4. つづき
    そして石井輝男さんがゲストに来られてて「自分で見るのは初めてだ。」と言っておられました。
    (あまり自身の作品は見ないものだったんでしょうかね?昔の監督というのは。)
    伊丹グリーンでは途中で映画グッズのオークションをやっていて、「徳川いれずみ師 責め地獄」のポスターも出品されてました。
    内容とは裏腹にきれいなポスターでした。
    幻の特撮作品「ネッシー」のも。
    面白いものでは「キャンディキャンディ」の立体シールフルセットとか、「キャンディキャンディ」のセイカのパズルとか。
    (パズルを出品したのは私だ。)
    「怪猫トルコ風呂」のポスターも。これが出たときは場内がどよめきました。
    マニアばっかりですから、皆知ってたんでしょうね。
    最高額は「地球防衛軍」の脚本、3万の値が付きました。
    特撮作品の脚本は大変な人気で金に糸目はつけない申し出が多数あったそうです。3万は安かったんです。

  5. わいさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
    お久しぶりです〜♪
    そうなんです、モンティパイソンは私のイタズラだったのでした。ごめんなさ〜い
    >『徳川いれずみ師 責め地獄』
    そこでも、小池朝雄が彫師をやっているんですか!
    それを聞くだけで、武者ぶるいがして来ますね。
    見たい!見たいです!小池朝雄最高でした。
    この作品、もう一度見たいぐらいだったんです。
    『〜責め地獄』、今度見かけたら、絶対見ます
    クレジットの流れ方も、最高ですね!聞くだけでワクワクしますw
    >伊丹グリーンでの’80年代の映画上映
    おお、私は存じ上げませんでした。でも、教えてくださり、すごく嬉しいです。
    超レアな映画グッズのオークションもやってたなんて。
    もしかして、わいさんは、大阪の方なんでしょうか?
    関西の映画事情を、教えてくださるなんて、すごく嬉しいです。

  6. (つづき)
    そしてわいさんが出品なさったこともおありなんですね。
    「キャンディキャンディ」のパズルですか。
    わいさんのコメントは、本当に予測がつかない面白コメントばかり
    「怪猫トルコ風呂」のポスター、
    これは凄くレアだなんて聞いたんですが、実物をご覧になったこともおありなんですね。
    羨ましい。
    それでも、一番の高額値がついたのは、特撮モノなのですか。
    へえ〜
    正直、特撮モノの良さは、女性である自分にはよく分からないのですが、
    男のロマンなんでしょうかねw




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