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60●つぐない

つぐない予想したよりずっと面白く、上手に描かれていて、ウットリ。
人の気持ちのスレ違いが、悲劇を生む物語。・・・



ストーリー・・・
1930年代、戦火が忍び寄るイギリス。政府官僚の長女に生まれた美しいヒロイン、セシーリア(キーラ・ナイトレイ)。兄妹のように育てられた使用人の息子・ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)を、身分の違いを越えて愛しているのだと初めて気付いた。だが、彼ら二人のある一場面を、小説家を目指す多感な少女・ブライオニー(シアーシャ・ローナン→ラモーラ・ガモイ)は目撃し、・・・

’07年、イギリス。
ジョー・ライト監督、原作はイアン・マーキュアン『贖罪』。

力強く描かれた、とある一日の一場面、これがとても印象的で、忘れがたいものとなった。
ナレーションもなく、映像だけで語るスタイルは、少々丁寧すぎるようにも思えなくもなかったけれど、
でも、それぞれの思いから丁寧に描くというスタイルは、それぞれの思惑というものを完璧に説明していたし、彼らのドラマの長い時間軸を考えたら、その発端となったこの事件だけは、ここまで描く必要があったのかな、と思えた。

ブライオニーがまだ子供だった頃のこの一日、彼女が罪を犯してしまった一日のその重さ。
この事件とその前後を語るだけで、その人間関係が浮き彫りになってゆく様というのも見事で、目を見張るものがあった。

小さい少女の勝手な思い込みが、恋人二人の運命を変え、さらに彼女の運命をも変えることになる。
流れてゆく時間というものは非情で、運命は二人を引き裂いたまま、その爪跡を痛々しく残して、観る者にその辛さを味わわせる。

そして最後、ネタバレはしないけれども、いわゆる“フィクション”というものの価値、現実と違う甘さ、それからそこに託す望み・・・
フィクションを描く者の“視点”というものをそこに付け加えることによって、逆に哀愁を感じさせる、そんなやり方をしていて、
分かってはいるけれども、ついつい涙が流れてしまった。

いかにも現代風の映画に出ることもあれば、その一方で、文芸物、時代物に割と挑戦することの多い、キーラ・ナイトレイ。
ここでは、彼女が今までに出た時代物の中で、グンと頭一つ突き出た、なかなかの傑作、と言えるように思う。
実際、彼女の存在感あってのこの作品という感じ。
初めは、性格がキツくて何を考えているのか分からない、気紛れなお嬢様にしか見えなかったセシーリアが、本当は情熱的で、一途で、そして官能的に見えて、素晴らしい存在感を放っていた。演技も見事。

私は彼女の作品は、『パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールド・エンド』と『シルク』以外全部見ていて、
・・・要するに『ベッカムに恋して』の初主演作から、ここ最近までほとんど見ていたのだけれど、初めに見た『ベッカムに恋して』が一番好きだった。
でも、この作品のキーラ・ナイトレイは文句なく素晴らしい。元々なかなか上手い女優さんだと思うけれど、完全に見直してしまったな。

つぐない@映画生活

 

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2,005

コメント(71件)

  1. 「つぐない」

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  4. 【2008-110】つぐない

    人気ブログランキングの順位は?
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    償わなければならない罪があった。
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    信じ合う恋人たちがいた。

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  6. こんちは
    >フィクションというものの価値
    こういう例、実際にもあるかもしれませんね
    モデルになった話もハッピーエンドで終わったのだとばかり思っていたら、実は作者の願望だった・・・とか
    最近は「実話に基づいている」という映画も多いだけに、よけいそんなことを思います
    序盤のキーラ・ナイトレイには細い刃物のような危うさと刺々しさを感じましたが、看護服に身を包んだ彼女にはうってかわった物柔らかさがにじみでていて
    まあ大した女優さんだな、と思いました

  7. 渚のバルコニーで待ってる ジョー・ライト 『つぐない』

    何本か観た今年のアカデミー賞関連で、最も印象に残った作品。最近書籍でも『償い』(

  8. SGA屋伍一さんへ
    おはようございます〜!コメントありがとうございました。
    そうですね、作者が作る物語の中で、それが自分の中で、思い入れが深ければ深いほど、
    「こうしたかった」という事実が盛り込まれる・・
    この気持ちはすごく分かるんですよね。それがフィクションであればいいんですが。
    一方、事実に基づいた映画で、かつ、関係者がそこに携わっている映画を、
    自分にとってそれほど好きになれないのは、それが理由なんです。
    どこまでが事実なのか、そしてどこからが願望なのか分からないから。

  9. つぐない

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  10. つぐない:幼き少女の証言によって、二人の人生は狂う!!

     一生をかけて、償わなければならない罪があった。
    命をかけて信じあう恋人たちがいた・・・・・。
     
    5月9日、「ハンティング・パーティ」 鑑賞後、「つぐない」を鑑賞しました。こちらは、女性客が9割くらい占めていました。やはり女性に人気があるようです。…

  11. 映画『つぐない』を観て〜アカデミー賞受賞作品

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    1930年代、戦火が忍び寄るイギリス。
    政府官僚の長女セシーリアは、
    兄妹のように育てられた使用人の息子、ロビーと
    心を通わせ合うようになる。
    しかし、

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