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47●コントロール

コントロールジョイ・ディヴィジョンと言えば、ポスト・パンク、ブリット・ロックの好きな人には、当然耳にする名前。
日本での認知度はどれくらいだろ?
たぶん、それほどすごく有名、というほどでもなくて、どちらかと言えばNEW ORDERの前身バンドとして聞く名前なのかも。




ストーリー・・・
好きの青年イアン(サム・ライリー)は、ライヴ会場で出会ったデボラ(サマンサ・モートン)と恋におち、結婚する。彼は地元で働きながらバンドを結成、“ジョイ・ディヴィジョン”と名付ける。やがてバンドの人気はうなぎ上りに。一方、デボラが娘を出産、イアンは父親になる。そんなある時、バンドにインタビューした女性アニーク・オノレ(アレクサンドラ・マリア・ララ)にイアンは惹かれ、愛人関係になってしまう。次第に深まる妻との溝…。その頃イアンは、てんかんの発作に悩まされ始めていた・・・


’07年、イギリス他。アントン・コービン監督・製作。
原作は、デボラ・カーティス。映画でサマンサ・モートン演じる、奥さんの“デビー”だ。最後にエンドロールで見て、あーなるほど・・と思う人も中には居そう。内容的に。


ジョイ・ディヴィジョン!
初めて聞いた時には、あまりにカッコ良くて、ものすっごくシビれてしまった。
深く、内面に入っていくようなイメージの歌詞、なんとも言えないオリジナリティ。
独特な雰囲気を持つボーカルのイアン・カーティス。
実は、今度5/17(土)から、また『JOY DIVISION』という、ドキュメンタリーもやるのだけれど。シネ・アミューズにて。

しかし、ジョイ・ディビジョンと言えば私にとってはイコール、イアン・カーティスと言う感じ。ブリット・ロックにあまり詳しいとは言えない、ブリット音痴の私には、NEW ORDERなんかについて語る資格はないけれど。

どちらかと言うと、アメリカの音楽ばかりを聴いていた大学の頃の私にとっては、少し古い時代のジョイ・ディビジョンは新鮮で、一つ頭が飛び抜けていて、
自殺してしまった伝説のボーカル、イアン・カーティスの居たバンドと言えば、やたらカッコイイ、前時代の遠い存在だった。
なので、「ボン・ジョビだ、スキッド・ロウだ、ポイズンだのが好き」、という人よりは、「ジョイ・ディヴィジョンだの、テレヴィジョンだの」と言った単語が飛び交う人の方が、クールでお洒落でOutstandingっていう感じ。
とは言え、私にとっては、プッシー・ガロア周辺、ジョン・スペだとか、ボズ・ホッグスだとかっていう方が、本当は専門分野だったんだけどね。


それでも一時期、ジョイ・ディヴィジョンをずっと繰り返し、繰り返し、毎日聞いていた頃があったよ。当時の私は、映画はあまり見なくて、本ばっかり毎日読んで、音楽の方が好きな、バンドやってる女の子でした。
躁鬱っぽかったので、イアン・カーティスについて書かれていた文を読んでいたら、欝っぽくなってしまって・・・。
その入り込んでいくような、ディープな詩の世界や、海の底から響いてくるようなボーカルなんかは、私にとっては、特別で、音楽それ自体も本当クールで、今聴いても本当カッコいい。独特なスタイルなんですよ。
音楽好きの人にとっては、無視できない存在のイアン・カーティス。その短いキャリアにも関わらず、燦然と輝くカリスマ性を持ったミュージシャン、アーティストの中のアーティスト、というイメージかな。


とは言っても、それは音楽好きの人にとってはっていうだけの話で、日本ではそれほど有名じゃないかも。どちらかと言えば、マイナーかもしれない・・・
Rockin’ onの読者なんかは、おそらく知ってるんじゃないかな、と思うけど。


私の友達は、イアン・カーティスのお墓参りをするために、わざわざイギリスまで旅行しに行った、という音楽マニアの友達が居たよ。
私の誕生日はいつ?って聞かれて、5月18日だって言ったら、「それはイアン・カーティスの自殺した日と同じだ」と答えるほど、彼のファンの人だったな。
イアンのお墓に花を添えた写真を見せてもらったっけ。
マニアックの部類に入る音楽好きだよね。よっぽどイアンが好きだったみたい。
他には、Nine Inch Nailsとかが好きな人だったな。なんとなく、この二つってシンパあるア-ティストとしての性質ってあるでしょ?
どういうのかって言われたら・・・二人とも、内に、もっと深くへ、と入ってゆくイメージというか。


で、この映画としては一体どうだったか、という話。
原作が、イアン・カーティスの奥さんで、デビーなんだけれど、
この映画でマネージャーとして出てくるバーナード・サムナー(ジェームズ・アンソニー・ピアソンが熱演)は、
「彼女(デビー)の知っているイアンは、自分の知っているイアンとは違う」
と言う風に答えていたりする。
一方デビーは、バーナード・サムナーについて、彼をイアンの死を引き起こす重要な一因になった、と言っていたようだし、後のNew Orderのボーカルになったバーナード・サムナーとは、なんらかの確執がありそう・・・。
この映画も、そんなデビーから見た視線になっているのかなあ、という感じがあるかも。


カリスマ性のあるアーティストとして、ライブでの姿が派手派手しく描かれた作品とは全く違っているのが本作のポイント。
一方で、イアンを演じたサム・ライリーは本当に素晴らしくて、特に、ライブでの彼のパフォーマンスの一挙手一投足は、まさにソックリの本人さながら!?
あらゆるシーンでの彼の見せる顔の表情も、心から素晴らしくって、今後絶対要注目の新人俳優、間違いナシ!素敵でした。

でも、映画としてはどうかというと、少し劣る表現力・・・というのが、正直な感想。
一人の人間、イアンとして捉えようとしているのだけれど、
それほどにイアンの内面が伝わってくるという力強い表現は感じられず。
癲癇という病気も、精神に作用する、すごく複雑な病気のはずで、ドストエフスキーに関する本でも、よくそうしたことは聞いたけれど、ここではアッサリとした表面的な描写になっている。
そして、ミュージシャンとしての彼としても、癲癇に苦しむ病気を抱えた彼としても、はたまた妻と愛人という、泥沼恋愛の最中で葛藤する彼の姿も、
どれもあまり印象深く描かれてはいないのが残念だったかな。

その辺りが今ひとつ残念ではあるけれど、モノクロトーンの映像も、フォトグラファーでもある監督によって、この上なく美しく描かれているし、
一番素晴らしいのは、まさに絵になるサム・ライリーその人。
サマンサ・モートンも、ジェームズ・アンソニー・ピアソンも、それぞれが皆この時代の持つ雰囲気というのを、表現しているのが一番の見所だった。

コントロール@映画生活

 

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コメント(15件)

  1. こんにちわ。
    とらねこさんなら『ジョイ・ディヴィジョン』に詳しいだろうなーって思ってました。
    つうか、今『ジョイ・ディヴィジョン』が流行ってるのかな?それとも○周年とかイアン・カーティス没後○年とかいう節目の年なんだろうか?
    今度公開されるドキュメンタリーもなかなか興味があります。
    サム・ライリー、素敵でしたね。
    モノクロだったからこそ余計に魅力的に見えたのかも。今後に期待の俳優さんですわ♪

  2. 睦月さんへ
    こんばんは★コメントありがとうございました。
    本当ですね!ジョイ・ディヴィジョン、なんで今来てるの?って思いますよね!没後○周年、とかではないのに・・なんでしょう?
    ジョイ・ディヴィジョンは、私はそれほど詳しくはないんですが、何か特別なオーラを放つサウンドで、好きなんですよね。
    音楽、カッコ良かったでしょう?
    サム・ライリー、本当彼の魅力が満載な映画でした。おっしゃる通り、映画としてはそれほど完成度は高くないんですが、サム・ライリーその人が見事だったので・・。彼、今後じわじわ人気が出そうですね。

  3. コントロール

    【映画的カリスマ指数】★★★☆☆
     統制不能の闇にあえぐ、”自分”という存在
     

  4. イアンのバンド名が「ナチ将校の慰安所」とは…
    とんちがきいてるネ!
    さておき、立ち昇る煙にかぶる「Atomosphere」には泣けました…
    JD、聞いてましたよ〜♪
    青春ノイローゼ患者ならとりあえず処方しとけってなもんで
    >繰り返し毎日聞いていた
    あ〜副作用として鬱ブレするんで用量用法はきちんと守ってね(笑)
    とか言いつつ「Transmission」のB→Dr→Gみたいに曲の入りで順にかぶせてくのがめちゃカッケー!て、わたくしもヘビロってまちたけど…
    そーいえば、ナイちんもJDの曲カバーしてましたね!「Dead Souls」だったかな?
    >どちらかと言えば、マイナー
    「ファクトリー」て言ったとき「どっちの?」つーひとはマニアックだと思いますね
    ソコでおマンチェのインディーレーベルに思いを馳せるかって(笑)
    いや、フツーはウォーホールの方だろー!

  5. みさま
    こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
    みさまも聞いていらっしゃったんですね!
    さすが、サブカルマニアのみさま。
    みさまは、私のイメージでは、「根回し上手で人の心に敏感で、すごく仕事も出来る部長」って感じなんですが(笑)、
    そんなみさまでも、欝っぽく色々考えてしまう「青春ノイローゼ」(この言葉いいですね!)だった時期もあったんでしょうか・・・。
    なんかねー、ジョイ・ディヴィジョンはそういう心性にビビッドに作用してしまうんですよ。
    で、そうそう、煙に立ち上る”Atomosphere”。あれねー、今だからまだいいけど、ズドーンですわきっと。
    Transmission、そーだそーだった。ちゃんとタイトル覚えない私がいけませんね。
    最近、前のステレオが壊れたんで、5.1chのステレオ買ったんですよ。早速また聞いてみようっと。
    ファクトリー、そうですね、アンディー・ウォーホルって私も言ってしまいそう。レーベルの名前ちゃんと覚えるのは私には結構苦手で。サブポップとEARACHEとオルタナティブ・テンタクルぐらいしか、すぐに出て来ないです・・あとロードランナー。あそうだ、もちろんメルダックを忘れちゃいけない・・nothingレコーズも。

  6. 『コントロール』

    儚く。
    23歳の若さで自ら命を絶った、70年代イギリスの伝説的ポスト・パンク・バンド、ジョイ・ディヴィジョン(JOY DIVISION)のフロントマン、イアン・カーティス(IAN CURTIS)??マンチェスター、ファクトリーといえば、マイケル・ウィンターボトムの『24アワー・パー…

  7. とらねこさんはジョイ・ディヴィジョンを聴いてたんですねー。
    私はそのバンド名自体を本作からみで初めて聞きました。
    そんなシロートな私ですが、むしろ映画は気に入って「青春ノイローゼ」におかされちゃいましたー。
    モノクロなサム・ライリーの表情にやられたのが大きいかな。

  8. かえるさんへ
    こんにちは!コメントありがとうございました。
    この映画を気に入られたのですね!
    >青春ノイローゼ
    こちら若者限定です
    青春ノイローゼの治らなかった人は、27には遅くも死んでしまう模様ですw。
    「青春ノイローゼ→万年モラトアム→ミドルエイジ・クライシス」に進む法則を見つけ中だったりします☆
    サム・ライリーのモノクロ映像は最高でした。

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  11. コントロール

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  12. コントロール

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  13. うわぁ〜サスガ!とらねこさん!
    元々好きだった方の伝記映画なら、
    この映画を観るまで彼の存在すら知らなかった
    あたしとはやっぱりかなり捉え方が違いますものね〜。
    それにしてもサム・ライリー凄かったですね。
    YouTubeで本物見たのですが、ソックリでビックリしちゃいました!

  14. miyuさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    いやいや、自分はそれほど詳しいってほどでもないんですが・・。
    それにしても、この作品のサム・ライリーは素敵でしたね。
    ラオブ・パフォーマンスなんか特に、素晴らしい以上の出来で、舌を巻きました。
    この人のカッコ良さだったら、ファンも文句は出ないと思いますw

  15. コントロール DVD

    実在のしたロック・ミュージシャン、イアン・カーティス(Ian Curtis)の妻による伝記を元にした伝記映画。
    必要以上に脚色していないのだろう。そこを最後まで引っぱらさせてくるのは、結局共感できない部分も含め、そこにいたことがちゃんと伝わって感じ取れる作品として…




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