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#156.怪談せむし男

時代を先取りしてしまったがために、不世出だった作品。
なんともこれ、重々しいゴシックホラーなのでした。




ストーリー・・・
宗方芳江(楠侑子)は、会社経営者の夫が精神病院で死亡した夜、夢の中で彼の臨終を見た。信一は秘書の三沢ユミコとスキャンダルを起したあげく、ユミコが変死したショックで発狂したのだった。信一の死後、芳江はたびたび悪夢に悩まされた。しかし、義父の精神病医・宗方圭介(北村和夫)、助手の山下、看護婦・藤井秋子(弓恵子)らは、そんな芳江の言葉を信用しなかった。・・・


これが門外不出だった理由は、せむし男が出ている、というだけ。
なんとももったいない話だ。確かに腰が曲がっていて、差別用語ではあるけれども(タイトルにもそのまま使われているので、ここでも使わせてもらいます)。
とは言え、これ全く、“せむし”である必要はないんですね(苦笑)。


『ノートルダムの鐘』(ユゴー)みたいな作品な訳ではないので。
でもやはり、家に住み着く男ではあります。
だがここで問題になってくるのは、悪霊の存在。・・・
この家に取り憑いた悪霊の存在が、だんだんと明らかになってくる。

それにしても西村晃。怪演が光ってます。
この“妄執・異形の人々Ⅱ”のシリーズでは、他に『黒薔薇の館』でも西村晃は、濃い、濃い役柄を演っていたけど。いやはや、とんだ水戸黄門です。


でね、この監督。’68年の『吸血鬼ゴケミドロ』がやっぱり有名ではあるのですが。
この作品でも、やっぱり、とんでもない時代の先進性を見せています。
こうした、ゴシックなホラーというのを、この時代にここまでやっていたなんて。

一番すごい演技は、なんと言ってもイタコの鈴木光枝。
この瞬間は、全くの異次元でしたよ。


それから、灯りが揺らめいてロウソクの炎が揺れるシーンとか、ミイラなんかも、この時代にしてはものすごく頑張って作ってる、というのがすごい。
それから、神出鬼没の西村公も。光と影のコントラストの中から、ぬっと現れ、また消えてゆく。


木全氏がどうしても見たくて、イタリア語版の逆輸入ビデオを手に入れ、どうしてもこの作品を上映できないか、ということになって、
今回ニュープリントになった、とのことだったのでした。


 

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コメント(4件)

  1. 映画 「怪談せむし男」(トークショー付き)

    今年もまたシネマヴェーラ渋谷で「妄執、異形の人々?」が特集が始まった。{/hiyo_en2/}
    その初日、今年の目玉「怪談せむし男」を鑑賞。上映後トークショー菊池秀行(作家)×木全公彦(映画評論家)
    今回の作品ラインアップは昨年にも増してマニアック度が強いようです。{/f…

  2.  これ佐藤肇さん監督作品だったんですか。
    私は未だ未見ですが。「吸血鬼ゴケミドロ」同様、怖い雰囲気がありそうな気がします。
    昔「土曜ワイド劇場」がまだ世間であまり話題にならなかった頃「魔少年」という作品が放送されました。
    これの監督が佐藤肇さんだったのです。
    ある少年(10才ぐらい)が回りの人間を不幸に陥れていくのですが、その手段が陰惨極まりなく、(会社経営している、父親の部下の子どもに「言う通りにしないとお前のお父さんを首にするぞ。」と脅して犯罪行為をさせるとか。交通事故を起こすようトリックを仕掛けて事故死させたり。)大人も子供も破滅に追いやっていきます。
    最後の30分間しか見ていませんが、画面の感じがゴケミドロそっくりで世紀末的な雰囲気が漂っていました。
    ご存知かもしれませんが、佐藤肇さんは予算を使い過ぎる為、ゴケミドロの後、松竹を解雇されたそうです。

  3. わいさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございます!
    わいさん、こちらの作品は、なかなか変わった作品でしたよ〜。
    この監督さんお好きなのでしょうか?とっても詳しいですね!
    それにしても、お話くださったその土曜ワイド劇場の話も、なんだか面白そうで、ゾクゾクしますね☆
    ウン!私の好みそうです。
    それに、少年が凶悪、という話は結構昔の人が見たら、とっても怖ろしい話なんじゃないでしょうか?
    そして、ゴケミドロの後、松竹を解雇されたのですか!いやいや知らなかったです。信じられないですね、あんな凄い怪作撮る人がアッサリ解雇されてしまうなんて・・
    当時の技術を、最高にまで使ってみたかったのでしょうね!

  4. 「喜劇 深夜族」

    洋裁学校に行っているはずの娘と守衛をやっているはずの父親が鉢合わせになって、さぁ大変のドタバタ追っかけ。ネグリジェ姿で浅草を駆け抜ける緑魔子。花やしきのメリーゴーラウンドを無駄に回す高松しげお。




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