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#77.リンガー! 替え玉★選手権

リンガー!替え玉★選手権これ、ほとんど話題にならなかった作品なんだけど、意外にもちゃんと面白いコメディなので、DVDになったら、是非見て見て
『ジャッカス』シリーズの看板男、ジョニー・ノックスビルと、ファレリー兄弟制作によるコメディ。
こう言って、ピンと来る人には、きっと分かってもらえるカナ?と思うのだけれど・・・。




そう、この二つのキーワード、ジョニー・ノックスビルとファレリー兄弟。
これらを並べると、いかにもハチャメチャなお馬鹿コメディが出来上がる、・・・と思いきや。
それらが最もいい具合にミックスされて、破天荒ではあるし、常識ではブチ破ってはいるけれども、愛らしい作品に出来上がったのね。


でも、残念ながら、あまり話題にはならなかったなあ・・・。
私も、もう少しで、見逃すところだったし。
言ってみればこれ、“変り種コメディ”。
普通では、笑いのネタにならない障害を持つ人、というものを、あえて笑いにしようとしている、この辺りが、とってもファレリー兄弟らしいのね。


ストーリー・・・
気のいい会社員スティーブ(ジョニー・ノックスビル)は、ひょんなことから大金が必要になる。そんな時、ギャンブルの借金で首が回らなくなっていたスティーブの叔父ゲイリー(ブライアン・コックス)が、とんでもないことを思いつく。スティーブが知的発達障害者のフリをして、スペシャル・オリンピックスに出場し、勝って一山儲けようというのだ。渋々引き受けたスティーブは、ジェフィという名前で大会に参加。そこで出会ったボランティアスタッフのリン(キャサリーン・ハイゲル)に一目惚れしてしまう。・・・


“障害者を装う”なんていう辺りが、まず全くもって、頭の固い人は、カンカンになってしまうだろうと思うのね。
映画の中で、ジョニー・ノックスビルが、頭のヨワそうな振りをする。(お手本になるのは、『レインマン』、『フォレスト・ガンプ』、それから字幕には名前の挙がらなかったけど画面に出て来た『I am Sam』、『レナードの朝』)
精神遅滞をワザと演じて、スペシャル・オリンピックに出場・・・なんていうのだから。

だけどそういう、浅はかなヒューマニズムでないところが、この映画の良さ。
それは、次のような考え方が根幹にあるからなのね。


障害者だから、ということを理由に、まるで禁句のように映画に出て来ない、というのは、おかしい、
本当の平等精神は、何も区別せず、個性の一つとして、みなすこと。その方が、本来、平等と言えるべきだ。
・・・そんな風に、ファレリー兄弟は思っているみたい。彼らの作品から、そんな声が聞こえてくるかのようなんですヨ。


だからこそ、彼らが可笑しい行動をしたら、思いきり笑ってやるべきだし、むしろ一緒に笑ったり、遊んだり、するべきだ。
この“一緒に”というのが、ポイントなのね。
同じ目線で見ているから、ファレリー兄弟の作品は、決して差別的には映らない。
むしろたとえば、同情的に彼らを見ることの方が、逆に、偽善だし、差別なのだ。そんな風にいえるんじゃないか、と言えるわけです。


とは言え、この作品は、ファレリー兄弟の監督作品ではなくて、監督は、バリー・W・ブラウスタイン。ファレリー兄弟は、制作、として名が挙がっているのです。
それでもこの作品がどこかファレリー兄弟を思い出してしまうのは、彼らが、『愛しのローズマリー』で、障害のある方をドンドン登場させているからなのですね。
よく考えてみれば、『メリーに首ったけ』でも普通に登場させていたのだけれど。
『二人にクギづけ』の辺りでは、もっとこの辺り、彼らの考え方というものが、手に取るように読めてくる。それらが、↑で述べたような考えだったりするのです。


この作品は、コメディとしても、ちゃんと面白く、笑える作りになっているだけじゃなくて、
笑った後に、暖かいものが心のどこかに残る。
そんな、良質のコメディなのでした。

リンガー! 替え玉★選手権@映画生活

 

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コメント(10件)

  1. 『リンガー! 替え玉★選手権』

    (原題:THE RINGER)
    「これは聞きしに勝る超ヤバ系の作品だったね。
    きちんと話さないと誤解されかねない」
    —-なによ。そのヤバ系って?
    「これまでのハリウッドの映画常識ではありえないタブーに挑戦しているんだね。
    あるひとりの金に困った男スティーヴ・パーカー(ジ…

  2. リンガー! 替え玉★選手権

    弱気な会社員スティーブは、社長から用務員の解雇を言い渡すように指示されるが、その用務員を不憫に思い家の芝刈り係として雇ってしまう。そんなある日、用務員が大怪我をしてしまい、多額の治療費を迫られたスティーブは、障害者の競技大会に出場して大金を稼ごうとする….

  3. とらねこさんがこの映画を観ていたとは。
    一切話題になってないですよね、この映画。地元でもシネコン1館だけの上映で観に行った時(初日でした)のお客さんは僕を含めて5人。もうちょっと話題になってもいいような気がします。
    映画の方は意外としっかりしてましたね。障害者の人にちゃんと敬意を払っている所に好感が持てました。

  4. えめきんさんへ
    こんばんは〜♪コメントTBありがとうございました。
    えめきんさんは初日で観たんですね、コレ。エライ
    なかなか佳作でしたよね、これ。
    私、コメディって大好きなんですよ。
    もっと話題になってもいいのに、・・ちょっと寂しい客入りでしたよね・・・(泣)

  5. こんばんわ。
    海賊症候群でございます。大変です。
    映画って作り手の根性がうかがい知れるものだと
    思うのですが・・・。
    この作品に関わった人々ってのは、根性が腐って
    ませんね。
    それが素晴らしいと思いました。
    フラットな目線で描き出されたこの物語は
    愛情と優しさに溢れていて、観ててもちっとも
    イヤな気持ちにならなかったですよ。
    コメディとしてしっかり成り立ちながら、
    さりげない誠意もにじみ出てて好印象でした。
    こっちのジョニーも魅力的でしたわ♪

  6. リンガー!替え玉★選手権

    【映画的カリスマ指数】★★★★☆
     愛情溢れるフラットな目線に拍手!! 

  7. 睦月さんへ
    こんにちは★コメントありがとうございました。
    海賊大変そうですね〜
    本当、しばらくまた嫌というほど忙しくなりそうですね、ブログ・・・あんまり遊んでもらえなくなりそうで寂しい・・・。
    >作り手の根性が、腐ってない
    うん、これ、いい言葉だと思いますヨ。
    本当にその点、感じましたよね。
    私も、とってもあたたかさを感じました。
    ジョニー・ノックスビルがまた、いいヤツそうなんですよね〜。
    性格良さそうに見えちゃいましたよね。

  8. こんばんは♪
    『ふたりにクギづけ』が2005年のランキング7位なとらねこさまならコレは必見でしょ?(笑)
    笑いのネタにしちゃいけないことなんてこの世にないと思うんですよね〜
    あるのは受け取り手の面白がる才能の差だけかと
    >同情的に彼らを見ることの方が、逆に、偽善だし、差別なのだ
    うん、所謂逆差別ってヤツですね
    良いヤツもいれば悪いヤツもいるだろうにメディアの中ではなぜかハレモノに触るかのような扱い
    な〜んか障害に負けずがむばってますってヒューマンドラマになっちゃうんですよね…特に日本だと
    そんなタガを外すのにオススメなのが障害者プロレス団体ドッグレッグスのドキュメンタリー『無敵のハンディキャップ』!
    獣神マグナム浪貝は衝撃だったなぁ
    あとは、ホーキング青山あたりを主演にハチャメチャなコメディー誰か撮ってくれないかな
    絶対観に行くのに(笑)

  9. みさま
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    そうなんですよ>私には必見の作品。
    2005年のベストに入る、ということも覚えていてくださってありがとうございました!
    『二人にクギづけ』は大好きな作品なんですが、誰とも話をしたことがなかったので、本当〜にみさまのコメントが嬉しかったんですよ(泣)
    そういう、嬉しいところを拾ってくれるから、またみさまが好きなのよ〜
    >良いヤツもいれば悪いヤツもいるだろうにメディアの中ではなぜかハレモノに触るかのような扱い
    そうなんですよね、これ、今日見た『ボラット』でも、ちょうど同じことを言っていてビックリしましたよ。
    ま、それはまた今度・・・♪
    >『無敵のハンディキャップ』
    うーん、素敵なタイトルですねえ。しかも、ドキュメンタリーなんですね。へえ〜。
    そうですね、感動ものよりコメディが見たいです。
    日本ではどうも『星の金貨』みたいになっちゃうんでしょうか・・
    と、いいつつ『愛していると言ってくれ』は大好きなドラマでしたが・・

  10. リンガー! 替え玉★選手権

    障害者を馬鹿にしている作品ではない
    【Story】
    上司に昇進を願い出たスティーヴ・バーカー(ジョニー・ノックスヴィル)は、長年管理人と??.




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