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#65.愛より強く

愛よる強く先日UPした、『クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール』のファティ・アキン監督。
’04年、ベルリン映画祭銀熊賞受賞。

なぜだか、理由は分からないにしろ、このラブストーリーは、「本物だ」ってにおいがしてた。




ストーリー・・・
最愛の妻を亡くし絶望のどん底にあった中年男ジャイト(ピロル・ユーネル)は自殺を図り、未遂に終わったものの精神科クリニックに入院させられる。
そんな彼に、同じく入院していた若く美しいトルコ系ドイツ人のシベル(シベル・ケキリ)が偽装結婚を持ちかける。厳格なイスラム教徒の家族から自由になるには、同郷の男と結婚して家を出るしかないのだと。
目の前で手首を切ったりなどするシベルの姿を見て、ジャイトは「人助けのため」と、不承不承同意することにし、2人は挙式後ただの同居人として暮らし始める。しかし、いつからかお互いに惹かれ合うようになり…。


自由でなければ、死んだ方がマシ、と言わんばかりのシベル。トルコ系のイスラム教徒は、それほど厳格なのだろうか・・?
家族と住んでいると、精神病にさえなりそうなほど。激しい感情を内に抱えるシベルなのだ。
この若く美しい女性が、堂々と「セックスし、生きていると感じたい」、などと言ってはばからない姿。この激しい性格に、ついていけない、と思う人には、きっと、この物語は無理だと思う。

夜遊びしたり、ドラッグをやってハイになったり、そういったことが、何より大事なこのシベルにとっての思春期。
もちろん、嘘ついたり、自分を偽って生きていくことが出来ず、ただやみくもに突っ走ってないと、生きている気のしないのだろう。ギリギリのところで初めて真実を感じるのだろうか。


バイタな行動をしているように見えるシベルだ。バイタな行動をすることに憧れるうちに、だんだんバイタが身についてくる、という。そんな季節。
自由、ということを、拡大解釈して、自己流にめちゃくちゃやらなきゃ気のすまないのだろうと。激しい人なのだ。


対する、中年男のジャイトは、妻に先立たれ、死んでいるも同然の生き方をする男。ボロボロに傷ついて、アル中だし、半分精神病だし、棺桶に自ら突っ込んでいくかのような、これまたメチャクチャな生き方をしている。


きっと、『リービング・ラスベガス』の好きな人には、分かってもらえるかな・・・、なんて思う。
このボロボロな二人が、出会って・・・。
自分もボロボロなのに、相手をまるで天使のように思う。


うまく言えないけれど、この物語が、じんじん沁みてしまうのだ。
そんな話だった。

愛より強く@映画生活

 

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コメント(29件)

  1. とらねこさん、こんばんは☆
    「本物のにおい」っての解ります。
    二人とも痛々しくてぼろぼろなんだけど必死で。
    あえて変に二人とも救おうとしてなくて好きです。
    二人がすごく「生きている」感じがしました。

  2. ヨゥ。さんへ
    こんばんは〜☆コメントありがとうございます!
    ヨゥ。さんも、この映画見られたのですね。
    ヨゥ。さんは、いろいろと見てらっしゃるなあ・・。一番好きなジャンルは何に当たるんだろ?
    なんとなくだけど、詩心が感じられる映画がヨゥ。さんは分かってくれるみたい、という印象を抱いているんですよ。
    『花様年華』しかり・・・。
    そうそう、この映画だけど、二人とも、ギリギリのラインで生きているっていう殺伐とした感じの中に、生きる価値を見出すところが好きでした。
    うん、だから「生きている」感じがするんですよね。キャラクター造詣しかり。

  3. 『愛より強く』をちょっとディープに観返す

    愛より強く (2004) ファティ・アキン監督
    配給:エレファント・ピクチャー
     『クロッシング・ザ・ブリッジ??サウンド・オブ・イスタンブール』を観たら、どうしても『愛より強く』が観返したくなって、借りてきました。
     『愛より強く』は全てが大好きだった作品な…

  4. こんばんは(^^)
    私はこの作品にガツーン!とハマってしまったけど、シベルについて行けない人も確かにいるかもしれないですね。でも私はラストがとってもリアルで、そこが(宣伝で引き合いに出されている)「奇跡の海」や「ベティ・ブルー」と違うところだし、その二作より常人に理解しやすい気がしました。それが21世紀なのかな、と。破滅はしないんですよね。できないというか。
    …とここでもアツくなっちゃいました。すみません。。
    「リービング・ラスベガス」は未見です。現在のニコラス・ケイジを思い浮かべないように観たいと思います(失礼)。

  5. 『愛より強く』 Gegen die Wand

    パンクは死んじゃいない!映画のパワーに魂が震える。
    痛烈にハートをえぐられて。ココロが大動脈出血。
    ドイツのハンブルクに住むトルコ系移民のジャイトとシベルの物語。R-18!
    とびきり魅力的なラインナップだった4/29公開の東京ミニシアター作品。その中で、私が…

  6. こんばんみ。
    これはもうもう大好きですー。
    トルコはイスラム圏の中では厳しくない方ですよね。
    でも、厳格な家庭もあって、リアルではあるらしいです。
    シベル自身も、この映画で有名になったおかげで昔のAV出演が親にばれて、勘当されたそうですよー。
    リアル人生も過激なのねー

  7. わかばさんへ
    こんばんは☆コメントありがとうございます!
    おお、アツいコメントをありがとうございます〜
    私も、ラストとっても好きでしたよ。
    何も、やたらめったら破滅すればいいってもんじゃないですよね〜。
    そうですね、それが21世紀的、そうおっしゃられたら、そうかもしれないですね・・・うん。
    この作品、『奇跡の海』や『ベティ・ブルー』と比べられていたのですね。
    私は迷わず『リービング・ラスベガス』を思い出してしまいました。この映画大好きでしたよ。
    最後の終わり方が、こちらもとても好きでした。

  8. かえるさんへ
    こんばんは☆コメントありがとうございました!
    かえるさんもこれ、あまりに素晴らしいハマり方をなさっていらっしゃいましたね♪
    イスラム文化圏の中では自由なのがトルコの風味なんでしょうか♪
    シベル・ケキリは昔AVに出てたんですね〜。ひょええ〜。
    素直な純粋さとノビノビした自由な感じを同時に感じさせる、素敵な女優さんだと思ったのですが^^;
    本当、この映画と一緒ですね☆

  9.  とらねこさん、こんにちは♪
     この映画、いいですよね……。粗や説明不足の部分もないわけではないんですが、そういった些細なことなんてどうでもよくなっちゃうくらい、激しさに喰われてしまうような感じ。予定外にロードショーでたまたま観たのですが、とても印象に残っています。観てよかったなぁ、と。
    >きっと、『リービング・ラスベガス』の
    >好きな人には、分かってもらえるかな・・・
     あぁっ、確かに! 手触りや息遣い、あの映画ととても通じるものがありますねぇ。

  10. 香ん乃さんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    そうですね、すごく激しくて、切なくて・・・でも、なんだか痛いリアリティがありましたよね。
    >『リービング・ラスベガス』
    そうですね、私はまず真っ先にこの破滅的なダメダメ感のある二人が、この二人に比べられるかな、って思ったんですよ〜。

  11. 『愛より強く』を観たよ。

     惜しい。後半、失速。
    『愛より強く』
    原題:”GEGEN DIE WAND”
    英題:”HEAD-ON”
    参考:愛より強く@映画生活 愛より強く-FLiXムービーサイト
    2004年・ドイツ/トルコ・121分
    監督・脚本:ファティ・アキン
    製作:ラダ

  12. DVD“愛より強く”

    愛より強く スペシャル・エディション
    ¥3,990
    Amazon.co.jp
    ?  魂は死んでいるかの様に、堕落した生活を送るジェイト。
      ある日車で壁に突っ込んだものの、生きながらえ
      精神病院で、自殺未遂を繰り返す若く美しい女性シベルと出会い、
      「結…

  13. 呼び合う魂〜『愛より強く』

     GEGEN DIE WAND
     何かを得ようとしたり、何かから逃げようとしたり--例えばグリーンカード
    だとか、家族だとかお見合いだとか。互いの思惑が一致して偽装結婚した男女が
    いつの間にか恋に落ちる、そ??

  14. とらねこさま、こんにちは。拙記事にコメント&TBありがとうございました。
    実は、記事を書いた後とらねこさんのところにもお邪魔したかったのですが、恥ずかしくて止めたんです。
    でも、お話できてうれしいです〜。これからは遠慮なく伺いますね!
    私もこの映画、とっても好きです。
    私はシベルのように激しい性格ではあるのですが、心の弱さゆえに保守的にしか生きられなかったんですよ。
    だからこういう女の子を「バカな奴」とか切り捨てられないですね・・。
    自分のどこかにシベルを感じるからかもしれません。
    『トランシルヴァニア』の件、ありがとうございました。
    私大阪に住んでいます。
    関西圏では、京都でしか上映されていないようで、
    ちょっと観に行くのは残念ながら厳しいです・・(泣)
    でも忘れずに、DVDになったら必ず観ます!
    また、いい映画あったら教えて下さいね。
    ではでは、またです〜。

  15. 真紅さんへ
    こんばんは☆コメントありがとうございました!
    この映画、真紅さんも気に入られましたか!
    若さゆえの激情というか、周りの冷めた「当たり前すぎる」意見に対するもどかしさとか、嘘っぽさとか、そういうことを感じていた自分をありありと思い出しました。
    >心の弱さゆえに保守的にしか生きられなかったんですよ。
    真紅さんの文を読んでいると、芯の強さとか、真面目さとか、真摯さを感じたりします。
    なるほど、しかしどこかで自分を投影もされるのですね。
    とても感受性豊かな真紅さんらしい一言だと思います。
    大阪だったのですね!確かに、普段京都には行かないことの方が多いでしょうか。
    大阪在住というのは、私には羨ましい響きです・・

  16. 愛より強く

    飲酒運転で壁に激突し入院中のジャイト(ビロル・ユーネル)は、ブレーキを踏んでいない事から自殺と見なされ精神科へ。 そこで同じく入院患者のシベル(シベル・ケキリ)から、突然結婚して欲しいと言われる。

  17. >うまく言えないけれど、この物語が、じんじん沁みてしまうのだ
    やさぐれ中年オヤジのジャイトに気持ちを乗せながら見てしまいましたが、とらねこさんが書かれた様に“じんじん沁みて”しまいました。
    この邦題では、絶対に哀生龍は見なかったと思います。
    薦めてくれた友人に感謝!

  18. 哀生龍さんへ
    こんばんは〜♪コメントTBありがとうございました!
    哀生龍さんもこれをご覧になったのですね!
    >やさぐれ中年オヤジのジャイトに気持ちを乗せながら見てしまいましたが
    私は、何も知らない少女の気持ちで見ました!>図々しい
    ビロル・ユーネル、すばらしいですよね☆
    私は比べるなら、今では正直ガトリフの『トランシルヴァニア』の方が好きです・・☆

  19. 真・映画日記『愛より強く』

    10月15日(月)◆594日目◆
    終業後、池袋の「LIVE INN ROSA」へ。
    この日は「イカ天ナイト」。
    「イカ天」に出てたバンドと1990年前後のバンドブームの頃の曲がかかるDJイベント。
    たこ焼き(中で売ってた)を食べながら筋少、ジギー、X(ジャパン)の曲を楽しむ。…

  20. 『愛より強く』’04・独・トルコ

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  21. 『愛より強く』’04・独・トルコ

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  22. ファティ・アキン監督の「愛より強く」を観た!

    この映画「愛より強く」、原題は「壁に対して?(Gegen die Wand)」、なんの変哲もないありふれた、まったく注意を喚起するようなタイトルではありません。たまたま僕はTUTAYAの「ベルリン国際映画祭金熊賞」受賞作のならんでいる棚で見つけました。内容はよくわからずに

  23. 真・映画日記『愛より強く』

    10月15日(月)◆594日目◆
    終業後、池袋の「LIVE INN ROSA」へ。
    この日は「イカ天ナイト」。
    「イカ天」に出てたバンドと1990年前後のバンドブームの頃の曲がかかるDJイベント。
    たこ焼き(中で売ってた)を食べながら筋少、ジギー、X(ジャパン)の曲を楽しむ。…

  24. 【クロッシング・ザ・ブリッジ】を観た

    ドイツのバンドアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのメンバー、アレキサンダー・ハッケがイスタンブールを訪れトルコ音楽を紹介するドキュメンタリー映画クロッシング・ザ・ブリッジを観た
    監督はファティ・アキン
    この映画は一昨年2006年の第13回大阪ヨーロッパ….

  25. 【愛より強く】を観た

    ドイツの人口はおよそ8000万人
    その内、トルコ系移民は300万人、人口比率で4%だそうです
    何故、トルコ人はドイツへと移民したのでしょうか
    また、ドイツは何故、トルコ人を受け入れたのでしょうか
    前者をより良い所得のためとするなら、後者はより安い労働力を求….

  26. トラックバックありがとうございます
    確かに「旅」でしたね
    良い作品を教えていただきました

  27. 赤ジャケさんへ
    こんにちは!こちらこそ、TBありがとうございます。
    >確かに「旅」でしたね
    そうですか(笑)
    このタイプの作品は、右脳で感じるタイプのものかもしれません。

  28. 右脳で感じる
    確かに左脳で考えれば「いったいそりゃ何なんだ」と、劇中演奏する一団に違和感を感じ続けそうです

  29. 赤ジャケさんへ
    ハハハ!確かに、あのジプシーのバンドは、意味は特になかったですね。
    でも、『クロッシング・ザ・ブリッジ』に出てたのと同じ曲がありましたでしょ。
    なので、嬉しくなってしまいましたよ




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