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#64.クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール

クロッシング・ザ・ブリッジトルコ、イスタンブール。名前を聞くだけで、郷愁を誘われるような、妙な叙情性のある街。とっても美しい街だそうで。行ったことないのです、まだ。
ただ、音楽映画のロード・ムービーということで、見に行った。トルコ音楽について知りたいなあ、という、その程度。




それなのに、いきなり冒頭、ドイツ語じゃないの!そして、「ハ?何と言いました?」
「ボクはアレクサンダー・ハッケ。ドイツのバンド、アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンのメンバー・・・」と始まる訳です。
あ〜、ビックリした。まさか、トルコ音楽の映画を見に行って、ドイツのあの超絶バンドの名前を聞くたぁ、予想だにしなかった。


ノイバウテンと言えば、’80年代のバンドだよね?ノイズミュージックのパイオニア、誰もやってない頃から、めちゃ難しい音楽をやっていて、私には正直、良く分からなかったです・・・そんな知的なイメージ。
でも、なかなか知ってる人がいない、カルトバンドってことで、とりあえずチェックしといたって辺りでした。ロック好き、音楽好きでも、インダストリアルに手を出したからと言って、アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンまではなかなか、普通の音楽好きでも行かなかったですね。


調べたら、もう結成20年だそうで。ちなみに、『Einsturzende Neubauten / Listen with pain』、こちらの結成20周年のDVD、日本の監督、石井聰亙監督が手掛けたものだそうで。


・・・余計な話が長くなりました。
この映画は、トルコの現代音楽事情、アラベスクから、クルド民謡のような、世界中のどこにもないような、トルコの民族音楽。
それから、当然のように、アメリカ・ヨーロッパ、現代音楽に代表される、ロック調・POP調・HIP HOP。


何より、その国の原語で歌われると、こういった、どこにでもある、“あって当然の”音楽ですら、すっかり様変わりして感じられるのだ!
もちろん、それに載せる歌メロだって、ポップスと言え、あるいはロックと言え、元々あった音楽の土台が違う、そして民族の歴史が違う・・・
そうした様々な理由から、何と違うものとして感じてくるか!
私にとって、聞きなれたアメリカの音楽とは、全然違って聞こえた。


『Music』なんていう曲は、(エンディングの曲で、場内に何度も流れていた曲)マドンナをサンプリングしていながら、トルコのミクスチャーという感じ。面白い。

ここトルコでは、音楽が大好きな人たちが多く、流浪の民が多く、生活の中に音楽は根付いてきたといえるのか、とても音楽を大事にしている国なのだな、・・・と感じてくる。
そして、ラップをやらせても、トルコ語で聴くラップは、また全然違って響いて、面白かった。
トルコのEMINヨMとも呼ぶべき、ジェザのテクバリバリのフロウには、皆びっくりしたんじゃないかな。
「mama,ma-mama,ma-mama.ma-mama・・・・・」
“マ”って音だけ、あんなに何度も言える人って、世界中探してもこの人くらいしか、いないんじゃないか?w


そうした現代のトルコ音楽は、現代流行音楽に“クロスオーバー”し、あるジャンルとあるジャンルが交わって、新しい音楽になって、流行りのスタイルへと、ミクスチャーへと形を変えてきている。・・・それはそれで、私にはとても魅力だ。
それは、あの橋を渡ることで、(Crossing the Bridge)、交差してくるのね
だって、聞き慣れた商業主義の音楽と、比べてみても、とっても魅力だもの!
トルコの民族音楽がまじった、リフ、歌メロというものが。
そこに息づく何かが。


でも、古きを訪ねて新しきを知る、という言葉がある通り、この映画を見ているうちに、トルコの伝統的な音楽について、だんだん知りたくなってしまう観客の私達がいた。


そこへ、『愛より強く』でも流れていた、「窓から道が見える」という曲。
ここでは、カナダからやって来た、外国の歌手、ブレンナ・マクリモンが、歌っているのだけれど。
「外国人が、誰もやらないトルコの伝統的な、民衆の間で受け継がれてきたような、古臭い音楽を演奏する」と言って、喜ぶイスタンブールのミュージシャンたち。
私から見ても、とっても素敵な曲だった!
ファティ・アキン監督が、前作『愛より強く』ここでも同じ曲をかけているのだから、ドイツ人の彼にとっても、この曲が好きなのだろう、なんて思う。歌詞も、とっても素敵・・・。
素直に心に響く曲だ。


いろいろな音楽が、それこそごちゃ混ぜのように、サラダボウルに盛り込まれ、大盛りでドンドン出て来るイメージ。


その種類は、紹介しきれないほどに、種々雑多な音楽が、それこそ幾多の数が存在する民族同様に、それと同じだけある。
私なぞは、“アラベスク音楽”というものは、アラベスク音階などで知ってはいたけど、それがトルコの民族音楽のように、この映画を見るまで思っていたくらいだ。


だが、さすがに、クルド民謡が出て来て、様相は変わる。
ドーナツ盤にもならなかったどころか、ラジオにも流されず、トルコの間で弾圧されて来た音楽。
これをいまだに演奏する、その姿を見れるだけで、感動してしまった。
クルド民謡などは、名前しか知らず、“流浪の民”の音楽なのだ、ということを耳に掠って聞いたことがあったくらいなのだが、聞いてみたいとは思っていた。


まさに魂の歌だ。心を奪われる。また、この映像もとても良かった。
上から漏れ当たる光、額の汗、歌い手の表情・・・
この映画を見て、一番良かった、と思ったのは、このクルド民謡を歌う、アイヌール・ドーランの歌。ここだった。・・・


映画のサントラを普段買わない私が、映画が終わってその場でサントラを買ってしまいました
うーん、素敵な映画だったなあ。
思わず、『モロ・ノ・ブラジル』のDVDも欲しくなりました。こちらは、ミカ・カウリスマキの、ブラジル音楽を紹介する映画なのだそうですが、これまた興味津々。

クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール〜@映画生活

 

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コメント(54件)

  1. あのトラッカー良かったですね
    まさに好演
    「ゲバラは何のために戦った?」
    「自由のため」

  2. 赤ジャケさんへ
    まさに青春の大爆走って感じが素敵でした♪
    旅と青春が密接に結びついているっていいですよね〜☆
    『愛より強く』でも、旅をすることで主人公が変わっていく姿が印象的です。

  3. 【愛より強く】にも「旅」が現れるんですね
    楽しみです
    週末観ますよ
    青春、そうですね
    旅と青春が結びつく
    行動する事で変化していく、景色も人も

  4. 赤ジャケさんへ
    あ・・・『愛より強く』の場合は、旅というのとはちょっと違いました。ごめんなさい☆
    でも、ヒロインの自己探求の旅には違いないです(笑)
      ↑
    苦しい言い訳かしら・・・
    青春イコール旅っていう図式、来ますよね!!
    『愛より強く』の素敵なところって、こういうところなんですよね・・・。
    憧れてしまいます。
    昔のTV番組なんですが、『あいのり』っていうのがあったのですが、自分、大好きだったんですよ・・・(恥)




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