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#45.今宵、フィッツジェラルド劇場で

今宵、フィッツジェラルド劇場でミネソタ州セントポール、フィッツジェラルド劇場にて、
打ち切りの決まったラジオショー、「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の最後の公開録画が、行われようとしていた。
劇場舞台裏では、シニカルな劇場保安係(ケビン・クライン)、出演者たち、そして謎の白いトレンチコートの女(ヴァージニア・マドセン)が来ていた。やがて、次の新しいオーナー(トミー・リー・ジョーンズ)も到着予定だった。・・・




現在も続いているという、このラジオショーの実際の司会者である、ギャリソン・キーラーが、本人役で登場、原案・脚本も行っている。


物語は舞台裏から始まり、公開録画ショーが差し挟まれる形で、いよいよ音楽が始まる情景にワクワクする。
出演者は、ヨランダとロンダ姉妹(メリル・ストリープ&リリー・トムリン)、
ダスティとレフティ(ジョン・C・ライリー&ウディ・ハレルソン)、
チャック・エイカーズ(L.Q.ジョーンズ)などなど。


フォークソング、カントリーミュージックの短い歌が次々に演奏され、司会者のキーラーが行う生のラジオCMが微笑ましい。


フォークは私的には正直あまり馴染みがなくて、正直最後まで楽しめるかどうか、初めは疑問に思ったのだけれど、
だんだん展開されるストーリーと、温かく、知らない者にもどこか聞いたことのあるような、優しいメロディに包まれるうちに、
フォークソングもそんなに悪くないな、と思い始める。


というか、フォークソングの良さは、・・・と言ってもこの映画を見て思ったのだけれども、こうして、観客の目前で、人々の掛け合いの中で、冗談なんかを交えながら、その場その場で、観客も一緒になってクリエイトしていくものなのだなあ・・・
なんて、ついつい乗せられてしまう。


音楽全般に言えることなのだと思うけど、ライブ演奏の良さというのは、
観客との掛け合いやコミュニケーション、その共有する空気感の温かさ、心地よさ・・・
そういったもので人々の心に初めて響くものなのだなあ、と、つくづく実感した。


こうした優しげなフォークソング音楽が、どちらかというと年配の、アメリカ人の心にツボる心理というものに触れる、良作。

これが遺作となったロバート・アルトマンの最後の監督作品だと思うと、なんだか感慨深く思えてしまう。
やがて取り壊しの行われる、古き良きアメリカの面影を残す、フィッツジェラルド劇場の、ノスタルジックな内装なども相まって、
フォークソングという、地味に田舎のアメリカ人に、だが確実に愛されてきた音楽のこのジャンルを、少しづつ“心で”理解出来たような、そんな思いが残る。


ライブ演奏の楽しさに加えて、裏で少しづつ展開されるストーリーも、
哀しみだけがあるわけではなくて、不可思議で異世界のような出来事がちょっぴりスパイスとして効いてくる。


閉じられる幕も、なんだか寂しいというより、“一つの時代の終わり”を懐かしむような、そんな感慨が心地いい。


最後、私は友達と、“I’m セロファン〜♪”と歌っていました(笑)(by ジョン・C・ライリー 『シカゴ』)

「今宵、フィッツジェラルド劇場で」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
今宵、フィッツジェラルド劇場で@映画生活

 

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コメント(67件)

  1. とらねこさま、こんにちは。
    この映画、とっても温かかったですね。
    ジョン・C・ライリーの芸達者は知っていたのですが、メリル・ストリープの歌と掛け合い漫才のようなしゃべりには驚きました、あとリンジーの唄にも。。
    いい映画でした、じ〜〜んと感動。。
    ではでは、また来ますね。

  2. 真紅さんへ
    こんばんは〜♪コメントTBありがとうございます!
    本当、ジョン・C・ライリーだけじゃなくて、メリル・ストリープもすごく芸達者なんですよねー☆
    私は、『ふたりにくぎづけ』という映画で、メリル・ストリープが以前にも、歌って踊る姿を見たのですが、こちらでは歌いっぱなしで・・・☆
    抑え目なのに感動が来る、そんな映画でしたね。

  3. 今宵、フィッツジェラルド劇場で

    「今宵、フィッツジェラルド劇場で」2007年 米
    ★★★★★
    とっても良かったです!
    私の好み。
    巨匠ロバート・アルトマン 監督の遺作となった今作品は、ひとつの時代の終わり
    とか人生の紆余曲折などを短時間で切なくも楽しい、涙あり笑いありのハート…

  4. 『今宵、フィッツジェラルド劇場で』’06・米

    あらすじミネソタ州セントポールのフィッジジェラルド劇場ではラジオの公開生放送が始まろうとしていた。司会者のギャリソン・キーラーや姉妹のカントリー歌手ロンダ(リリー・トムリン)とヨランダ(メリル・ストリープ)らおなじみのメンバーが続々楽屋入りする。だが、…

  5. 『今宵、フィッツジェラルド劇場で』

    今宵、フィッツジェラルド劇場で(2007/07/27)ロバート・アルトマン商品詳細を見る監督:ロバート・アルトマン CAST:メリル・ストリープ、ウディ・ハレルソン、ケヴィン・クライン…

  6. はじめまして。
    コメント有難うございました。
    フォークと言えば、吉田拓郎を思い出します(笑)
    世代は違いますが。
    フォークよりカントリー色が強かったように
    感じました。
    実在する本物のラジオ番組の方は
    アメリカでのカントリー人気同様に
    根強く続いてるようですね。

  7. YOSHIYU機さんへ
    初めまして!いつもTBありがとうございます。
    コメントもありがとうございました!
    そうですね、じつは、フォークとカントリーの呼び方の違いは、音楽性というより出身国だそうです。
    カントリーミュージックもフォークミュージックも、出所がどこかでそう呼ぶのですねえ。
    だから、今作はアメリカなので、カントリーでいいいんですね。
    私も後から調べて知りました。
    そうそう、このラジオ番組は、老舗だそうですね。

  8. 今宵、フィッツジェラルド劇場で

     『最後のラジオショウが終わるとき、 新しいドアが開く』
     コチラの「今宵、フィッツジェラルド劇場で」は、3/3公開になったロバート・アルトマン監督最後の作品で、あたしも好きなアルトマン監督の「ショート・カッツ」のようなアンサンブル・ドラマなんですが、観て…

  9. いつもとちょっと違う感じのアルトマン監督のこの映画もステキでしたね。 俳優さんたちの歌も楽しかったです。

  10. <今宵、フィッツジェラルド劇場で> 

    2006年 アメリカ 106分
    原題 A Prairie Home Companion
    監督 ロバート・アルトマン
    原案 ギャリソン・キーラー  ケン・ラズブニク
    脚本 ギャリソン・キーラー
    撮影 エドワード・ラックマン
    音楽 リチャード・ドウォースキー
    出演 メリル・ストリープ  リ…

  11. 『今宵、フィッツジェラルド劇場で 』を観たぞ??!

    『今宵、フィッツジェラルド劇場で 』を観ました。実在の人気ラジオ番組をモチーフに、最終回を迎えたラジオの長寿人気ショー

  12. みのりさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    アルトマンの最後の作品を飾るに相応しい雰囲気を持った作品、という印象でした!
    俳優さんたちは、本当に皆さん上手で、聞き惚れました!

  13. ≪今宵、フィッツジェラルド劇場で≫(WOWOW@2008/02/07@075)

    今宵、フィッツジェラルド劇場で
       詳細@yahoo映画
    解説:30年あまり続いた音楽バラエティショーが放送を終了する最後の夜の様子を、流れるようなカメラワークでみせる。実際、長年ラジオ番組の司会を務めてきたギャリソン・キーラー本人が舞台を盛り上げ、…

  14. 独断的映画感想文:今宵、フィッツジェラルド劇場で

    日記:2008年6月某日 映画「今宵、フィッツジェラルド劇場で」を見る(ネタバレあります). 2006年.監督:ロバート・アルトマン. 出演:メリル・ストリープ(ヨランダ・ジョンソン),リリー・トムリ

  15. 独断的映画感想文:今宵、フィッツジェラルド劇場で

    日記:2008年6月某日 映画「今宵、フィッツジェラルド劇場で」を見る(ネタバレあります). 2006年.監督:ロバート・アルトマン. 出演:メリル・ストリープ(ヨランダ・ジョンソン),リリー・トムリ

  16. とらねこ様
    TB&コメント,有り難うございました.
    音楽映画は好きですが,この作品はまた一段と良かったです.
    アメリカの俳優達って皆芸達者なんですね.
    中学・高校時代に慣れ親しんだメロディやハーモニーが,他の映画で見知っていた俳優達に演奏されると,何か不思議な感じがしました.
    群像劇としても味わい深く,アルトマンが惜しまれてなりません.

  17. ほんやら堂さんへ
    こんばんは!こちらこそ、TBありがとうございました!
    そうですね、この作品、なかなか良かったですね。
    不思議な感慨が押し寄せてくる、映画好きには堪らない映画でしたよね〜♪
    ほんやら堂さんは、これ音楽もご存知でいらっしゃったのですね。
    私は知らない音楽ばかりでしたが、楽しめました。
    自分で自分の幕を引くなんていう、用意周到さ。
    なんだか、素晴らしい映画人でしたね、アルトマン。




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