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#20.グエムル -漢江の怪物-

グエムル漢江の河原で売店を営む、パク家の家長、ヒボン(ピョン・ヒボン)とその息子、カンドゥ(ソン・ガンホ)。
ある日、漢江に突然変異で現れた、怪獣が姿を現し、そこら中の人を襲い、国はパニックに。
カンドゥは娘のヒョンソ(コ・アソン)を連れて勇敢にも戦うが、怪獣に食べられた、と見えた。



だが、携帯より「お父さん、助けて・・・」との連絡が入る。・・・

’06年、韓国。ポン・ジュノ監督。

韓国が珍しく作った、怪獣パニック映画ということで、昨年話題になった作品だった。
パニック映画・怪獣映画と見えて、なんだか、変なタイミングで妙なユーモアが入って来て、頭の中にクエスチョンマークが「???」点滅するのだ。
「うーんと、これは、笑うとこなんですよね」なんて、誰かに確認したくなる。

何より、シリアスなシーンで、「ここ一番」という時にズッコけたり、説明ナシに食料を手に入れていたり、「あのチビッコ兄弟のお兄ちゃんは、今どこ行ったの?」とか、ついつい一言言いたくなるような箇所もたくさんあって、いちいちツッコミを入れていたらキリがないようです。

でも、そうしたことでなくて、“家族の愛の物語”というドラマが一番表現したいことのようではあるのだけれど、何にしろ、私が韓国映画に詳しくないからか、それともこの監督のセンスというものが少しズレ気味なテイストを得意としているのか、どうも馴染めない、と言ったところが正直な感想なんであります。

そういったことを差し引いて考えれば、この怪物を倒すのに、「世界を救う勇者」が設定されているわけではなく、社会的に立場が弱い、言ってみれば下層階級の、貧乏な一家、
そもそもビシっと家族愛で一つにまとまった、小さい核家族ではなく、
“サザエさん”のような、複数の世代に渡る従兄弟・兄弟含めた、少しだけ大所帯のこの家族。

この怪物に娘がさらわれる、という事件の経緯の中で、だんだんと一人ひとりが一丸となっていく姿・・・そんなものが、無理なく描けているように思った。

以降、ネタバレで進みます:::::::::::::

 

 

 

一番活躍したのは、いい年をこいてなんだか頼りないお父さん、次の家長にふさわしくは決してなく、従兄弟にもバカにされ続けているカンドゥの変わっていく姿だった。
弟のナミル(パク・ヘイル)・・・韓国を民主化に導いたテロ活動の経験もある、学歴があるが、現在無職の彼からしたら、頭が悪いとしか思えなかったし、
もう一人の妹、ナムジュ(ペ・ドゥナ)・・・アーチェリーの銅メダリスト(だが、ここぞ、という時に実力を発揮できなかった)から見れば、勇敢であるとも思えず、単なる抜け作にしか見えなかっただろうと思う。

でも、初めから、私は、河原で勇敢に戦った姿が目に焼きついて、少々頭が弱く見えても、そんなことは気にはならなかったし、彼なりによく頑張っている、としか思えなかった。

家長のヒボンは、何かというと警察や官吏の役人に、裏金を掴ませて解決を図ろうという、
売店の店主ならではの長年の経験を持つ人物ではあるけれども、
おおらかで優しい人物だ、というのが目に映って、心の中で応援しながら見てしまった。

なので、見終わった時には、随所随所で見られた物語の粗さとか、ゲンナリするズレた笑いなんかは、はてさてどっかに行ってしまって、
「やっぱり、大事なのは、家族それぞれが思いやりを持つことだぁ〜」
なんて言いそうな自分がいつの間にか居る。

だって、家族なんて、近くに居ればその分だけ、相手の欠点ばかりが目についてしまうものなのだから、
「そういうことをいちいち文句言ったらだめだー」
という、父ヒボンの、退屈で眠りこけている家族に向かって、長々と説教たれる姿が、一番心に強く残った。

ヒーロー不在のこの映画は、一人ひとりは誰しも完璧ではないけれども、
不完全な人達が寄り集まって、その一団がようやく“一つの完成形”になる、
そんなメッセージだけはちゃんと響く、ヒューマニズムに満ちた、
変テコパニック映画だった。・・・

グエムル 漢江の怪物@映画生活

 

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コメント(72件)

  1. グエムル-漢江の怪物-

    グエムル-漢江の怪物- http://www.guemuru.com/原題THEHOST/怪物製作2006年上映120min監督ポン・ジュノ出演ソン・ガンホ、ピョン・ヒボンstory在韓米軍のある科学者が大量のホルムアルデヒドを漢江へ注ぐ下水道に捨てた。数日後のあるのどかな午後、漢江のほとりで売店…

  2. グエムル 漢江の怪物

    「グエムル 漢江の怪物」です。 ソウルの中心を南北に分けて流れる雄大な河・漢江(ハンガン)。休日で人の賑わう河岸に突然

  3. こんにちは〜♪
    素直に感じたことを書いちゃうと色々と問題になりそうだったのでなんとも煮え切らないレビューになっちゃったんですが、大好きな部分も多かった本作。でも、なんというか色んなものを棚に上げて“反米!反米!”って姿勢は、やっぱり好きになれないですねぇ^^;

  4. グエムル ??漢江の怪物?? (The Host)

    監督 ポン・ジュノ 主演 ソン・ガンホ 2006年 韓国映画 120分 パニック 採点★★★ 持ち前のワガママさと気まぐれさがあってか、人に対する好き嫌いが極端にハッキリしている私。「好き!!」って人にも「嫌い!!」って人にも、わざわざ言葉で説明する必要がないくらいに態度で…

  5. たおさんへ
    こんばんは〜☆コメントTBありがとうございます。
    え、問題になりそう?
    たおさんも、そういうこと考えるんですね。
    言いたいことを言ってる、根性座った人かと思ってましたw
    反米精神はそれほどキツく捉えなかったんですが・・そんなに気になるほどでした?

  6. 『グエムル-漢江の怪物』

    韓国発のモンスターパニック映画。ソウルを流れる漢江(ハンガン)の川辺に現れた怪物

  7. 映画『グエムル 漢江の怪物』

    原題:The Host
    盗作疑惑もあったりして、日本公開ではすっかりすべってしまったけど、モンスターパニック映画なのにコメディ要素がとっても効いててバランスはいいね・・・
    パク・カンドゥ(ソン・ガンホ)は、漢江の川辺でおじいちゃんのパク・ヒボン(ピョン・…

  8. こんばんは。
    韓国映画好き&怪獣好き&ペ・ドゥナ好きとしてはとても楽しめた1本でした。
    合同葬儀での過剰な悲しみの表現はお国柄が出てたし、「民主化運動ってのは火炎瓶を投げる事だ」もお国柄で笑えました。
    インスタントラーメンを皆ですするシーンもシュールで笑えました。
    このあたりは実に韓国映画らしい表現でした。
    怪獣やウイルスは「韓国国内におけるアメリカと米軍の存在」の比喩・メタファーであって、平凡な家族の闘いはそのまま韓国の国民を表しているように感じました。
    韓国映画が好きだから大アマかもしれませんが、私的には楽しめました。
    一部で話題の「盗作疑惑」もネタとして楽しめました。

  9. 『グエムル 漢江の(ハンガン)の怪物』 2006年127本目

    漢江:韓国の首都ソウルを南北に流れる大河。朝鮮戦争では逃げ惑う韓国市民が川を渡る為に押し寄せ、その後は北朝鮮軍が渡河の為に多くの血を流した川。
    『グエムル 漢江の(ハンガン)の怪物』
    漢江の河岸で売店を営むパク家。
    厳しいが長男には甘い父ヒボン。妻に….

  10. 健太郎さんへ
    こちらにもありがとうございます♪
    そうですね、この作品で、何とも“韓国らしさ”という事が言われていました。
    そうした、その国特有の文化のテイストに慣れていないと、ある種ズレや、しっくりこない感じを受ける作品なのかもしれません
    なるほど、グエムルに反米精神を見たのですね。この作品で表現されている物事は、一元的ではなく多義的で、いろんな物事を包括しているとも思える、骨太な作品でした。

  11. こんばんは。TB&コメントありがとうございました。
    「怪獣映画」なのにものの見事に「韓国映画」してて、おばはんがギャーギャー云ってるどうでもいい韓国映画じゃなくて、まともな韓国映画に慣れていないと少しきつかったかもしれませんね。
    反米云々は深読みしすぎかもしれませんが、観ててそう感じました。

  12. 健太郎さんへ
    こんばんは〜☆こちらこそ、コメントTBありがとうございました!
    この映画に関しては、健太郎さんには一家言ありそうですね☆
    確かにこの映画はいわゆる韓流映画とは一線を画す映画でしたもんね。
    自分は正直、韓国映画というと、まともに見ているのはキム・ギドクとパク・チャヌクぐらいですか。
    これまた、マトモな韓国映画ファンには怒られてしまいそうですね。
    後は、『友よ〜チング』『猟奇的な彼女』『シュリ』辺りは好きなんですが。

  13. こんな変てこな映画見たことがないと、ぼんやりと楽しく鑑賞してしまいました。 とらねこさんの記事を読むといろいろ思い出して参考になります。

  14. <グエムル 漢江の怪物> 

    2006年 韓国 120分
    原題 The Host
    監督 ポン・ジュノ
    脚本 ポン・ジュノ  ハ・ジョンウォン  パク・チョルヒョン
    撮影 キム・ヒョング
    音楽 イ・ビョンウ
    出演 ソン・ガンホ  ピョン・ヒボン  パク・ヘイル  ペ・ドゥナ
       コ・アソン  イ・…

  15. みのりさんへ
    こんばんは〜♪コメントTBありがとうございます!
    この作品は、あれやこれやと、いろいろ議論が飛び交う作品なんですが、確かにおっしゃる通り、一言で言えば「こんな変テコな映画みたことない」と言い切ることができますよね。

  16. グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-

     『お父さん、助けて!』
     コチラの「グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-」は、9/2公開になる韓国のパニック・ホラーなんですが、試写会で観て来ましたぁ〜♪想像してたよりも割とコミカルなシーンが多かったです。
     カンヌ映画祭で上映され上映作品の中で一番面白か…

  17.  試写会で見に行きました。本格的な怪獣映画と思っていたんですが実際は・・・変なモンスター映画でした。
    怪物が水中に適合したエイリアンみたいでキモかったです。
    あの人間を一度飲み込んで巣で吐き出して後で食うのは「モズのはやにえ」と同じなんでしょうね。
    それまで人間を吐き出していたのに急に人骨を大量に吐き出したのは心底気持ち悪かったです。
    ところで、最後にカンドゥに救出されたヒョンソちゃんは一体どうなったんでしょうか?
    (余談ですが、友人にカンドゥそっくりの奴がいます。絵に描いたように純朴な善人で性格までそっくりです。)

  18. わいさんへ
    アハ♪本当、「変なモンスター映画」でしたよね!(笑)
    うんうん、「水中に適合したエイリアン」。
    言い得て妙な表現をされますね!ププっ☆
    >モズのはやにえと同じなんでしょうね
    同じだと思います(爆)ウン♪
    >それまで人間を吐き出していたのに急に人骨を大量に吐き出したのは心底気持ち悪かったです。
    あ、そうでしたね!さすが、人と目のつけどころがちょっと違うみたいですな☆
    >最後にカンドゥに救出されたヒョンソちゃんは一体どうなったんでしょうか?
    これ、死んじゃったんですよね。そこら辺も、微妙な映画ップリだったんですよこれまたw。
    割と寝覚めの悪い感じになっていました。
    カンドゥみたいなご友人・・きっと、いい奴そうです。友情も長続きしそうですよね^^

  19. グエムル??漢江の怪物??って怖いの?

    モンスターパニックアジア
    ホラー映画初心者のすけきよです。すけきよ初の韓国作品「グエムル??漢江の怪物??」観ました。
    あらすじ:「助けて、お父さん!」ソウルの中心を南北に分けて流れる雄大な河・漢江に、突如現れた正体不明の怪物グエムルは、その不気味に…

  20. グエムル -漢江の怪物-

    THE HOST/怪物
    2006年:韓国
    監督:ポン・ジュノ
    出演:ソン・ガンホ、イム・ピルソン、イ・ドンホ、コ・アソン、ピョン・ヒボン、イ・ジェウン、ペ・ドゥナ、パク・ヘイル
    ソウルの中心を東西に貫く雄大な河・漢江(ハンガン)に、ある日突然、正体不明の巨大な生….

  21. グエムル考 の追加 (ネタバレ)

    ■ネタバレ
    物語を追うというより、敢えてメッセージ性について書く。
    普通は気が付くけれどそうじゃない場合も多そうなので。そして完全にわたし個人の想像でもあるのだけれども。
    明らかにこれは、
    米国主導のイラク攻撃・・・攻撃理由は大量破壊兵器・・・実はな…

  22. グエムル-漢江の怪物-(79点)評価:○

    総論:グエッ!ムルッ!この怪獣映画・・・最高っ!韓国・ソウルを流れる大河の漢江(ハンガン)に謎の怪物“グエムル”が出現!のどかな川辺が地獄の惨状と化す中、河川敷で小??.




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