rss twitter fb hatena gplus

*

81.ラビナス

ラビナス雪山で遭難した移民が、仲間の肉を食べて生き残ったという、実際に起こったドナー・パス事件を元に描かれた作品。
監督は、アントニア・バード。ガイ・ピアース主演、ロバート・カーライルも見物だ。
音楽は、マイケル・ナイマン&Blurのデーモン・アルバーン(でも、近年ではhiphopミクスチャーもありの彼の別プロジェクト、Gollirazの方が、本家Blurより売れている。これって、どうなのか・・・)


1847年のメキシコ・アメリカ戦争中、ボイド大尉(ガイ・ピアース)は、死体の山で死んだ振りをして生き延び、“戦争の英雄”として帰還する。
帰還を祝う席で彼は肉を見て吐き、辺境のスペンサー砦に赴任させられる。司令官ハート大佐を始め砦の連中は一癖ある男ばかりだ。


そこへ凍傷で死にかけた男(ロバート・カーライル)が迷い込む。男は、一緒に旅していたガイドが雪で遭難した時、互いを殺し合ってその肉を食べ、自分はそこを逃げて来たと語る。


一行は生存者を救うため、洞窟に向かうが、その洞窟には、綺麗に肉のなくなった死体の骸骨が5体吊るされていて、つまり、生き残ったこの男こそが、全員を殺し食したのだ、と気づく。・・・


ネイティブ・アメリカンのウィンディゴ伝説では、人肉を食した者が、相手の魂を取り込んで、その強さを得るという。しかし、一度カニバリズムを行った者は、その渇きに耐えることが出来なくなり、死ぬまでそれを止めることが出来ないとか・・・。


極限状態に追い込まれた人間の行動を描いた問題作、というよりは、それを扱ったサスペンス・スリラー。


正直、あまり現実感はないけれども、それなりに見て面白い。
つまり、あまりに現実感がないので、罪悪感もこちらに伝わってこないというか。
なのでファンタジーとしてこの世界を楽しめてしまうんだよね。これって、いいのか悪いのか。


特に見所は、ロバート・カーライルのキレた演技で、追い込んでいく者としての怪演ぶりで魅せる。
ガイ・ピアースの、迷いながらも人格が変わっていく様や、葛藤の有様なんかも上手い。


::::::::::この先、ネタバレです::::::::::


 


 


 


 


 


結核患者でうつ病でもあったアイブス大佐(ロバート・カーライル)。斥候の人肉を食すことにより、力がみなぎり、重度の結核も。うつ病も克服して、ほぼ不老不死伝説のようだ。
ネイティブ・アメリカンのウィンディゴ伝説では確か、無駄な殺戮を行うものではなく、魂を尊ぶものだったと理解していたが、誤解する人も多そうで、そこがちょっと不安要素だったりもする。

日本の’89年の宮崎勤の事件なんかも頭によぎった。
近代社会では一番のタブーとされているこのカニバリズムを扱うには、正直あまり生々しくその是非を問うものより、この映画のように、完全なるファンタジーにされている方が、逆にいいとも思ったり。


 

関連記事

『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義

80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む

『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの

一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む

『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究

去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む

『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン

心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む

1,184

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。

前の記事:

次の記事:

Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑